【救急医が答える】掃除機は使わないで!お餅をのどに詰まらせた時の対処法は背中を叩くこと
お正月にお餅を食べてのどに詰まらせてしまった場合、どのように対処したら良いでしょうか。呼吸困難で死亡する例もニュースで耳にします。救命救急の現場で活躍されていた小川智也(おがわともなり)医師に、お餅をのどに詰まらせた時の対処法についてお話しを伺いました。掃除機を使用して吸い込むことは、消防庁でも注意を呼びかけているようです。
掃除機で吸い込むのは危険!入れ歯が外れてのどの奥に押し込む可能性も
――お餅がのどに詰まったら、掃除機で吸い込むのは良い方法ですか?
大きく口を開けることができ、視野が確保できる場合、のどに詰まったお餅が見えることも時にはありますね。お餅がベローンと伸びていれば、直ちにかき出して取り除くことが一番早いです。
高齢者の場合は、入れ歯を取り外してから処置をおこなってください。というのも、処置の際に入れ歯でお口の中を傷付けてしまう可能性があるためです。また、餅を除去する際に処置者の視界を確保しやすくするためでもあります。
掃除機を使用してお餅を吸い出した方が良いと言われることもありますが、その際にも入れ歯には注意が必要です。入れ歯が外れてのどの奥に押し込んでしまう危険性があります。消防庁によっては、掃除機を使わないでくださいと注意を呼びかけているところもあるくらいです。焦らずに入れ歯などを速やかに除去することが重要です。
ですが、子どもの場合は異なり、背中をポンポン叩いて吐かせた方が確実です。要は、吐き出す力が強いのです。詰まっているものが明確である場合は、ぎゅっと背中を押して背中を力強く叩いてあげる、するとポンっとお餅の塊が出るようになります。
のどを詰まらせた場合は、前かがみにして左右の肩甲骨の間を力強く叩きます
――背中のどの辺りを叩けば良いですか?
背中の下の方を叩いてもあまり意味がなく、左右の肩甲骨の間あたりを勢いよく叩くことが重要です。ゲロを吐かせるような格好で、逆さまにするくらいの勢いでボンと叩き、吐く力と重力で詰まっているものが出やすくなります。
――姿勢は前かがみの状態ですか?
前かがみにした状態で背中を叩くのが良いですね。遠慮なく、強く叩くくらいで良いと思います。
編集部コメント:自分ではどうにもできないと感じた場合、救急車を呼びましょう
お餅をのどに詰まらせた時の対処法について小川智也医師に教えていただきました。詰まったお餅を掃除機でいきなり吸い込むことは、危険があるということを覚えておきましょう。正しい対処法は、前かがみの姿勢で左右の肩甲骨の間あたりを強く叩くことです。
食べ物が見えているようなら、手でかき出して取り除いた方が早いです。処置が遅れて呼吸ができない状態が続くと、手遅れになってしまう可能性もあります。自分では取り除くことができないと感じたら、すぐに救急車を呼びましょう。
取材日:2019年12月13日
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プロフィール
救急科専門医 MBA
2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。
国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。
2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。
2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画
自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たなサービスの創造を目指す。
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