花粉症シーズン後半戦!薬はずっと服用するべきか?【耳鼻科医が解説】
2020年は例年よりもスギ花粉が飛び始める時期が早かったそうです。花粉症でお悩みの方は、シーズンも後半に入りあとちょっとの辛抱ですね。
ところで、アレルギーの薬はいつからいつまで服用するのが正解なのでしょうか?
今回は耳鼻咽喉科の専門医である「とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科」院長 國井直樹(くにいなおき)医師に伺います。
花粉症の症状が出てから薬を服用するのは遅いでしょうか?
スギ花粉症の治療は、少しでも症状が出始めるか、またはスギ花粉の飛散が確認された時点で開始したほうがよいです。あらかじめ薬を処方してもらって、天気予報などで花粉の飛散時期が分かったら、その時点から服用を開始いただければと思います。
症状がひどくなってから薬を飲み始めるのに対して、早めに開始する治療を「初期治療」と呼んでいます。初期治療を行った場合と、症状がひどくなってから治療を行った場合では、飛散ピーク時の症状に差が出ることがわかっていて、早めに治療を始めたほうがよいとされています。
花粉症の治療薬で最も使われている「抗ヒスタミン薬」に関しては、即効性に優れた薬が多く開発されていますので、たとえば花粉が飛び始める1ヶ月も前から服用し始める必要はありません。 症状が出始めたとき、もしくは花粉の飛散が始まったときに薬の服用をスタートしていただきたいと思います。
抗アレルギー薬には色々な種類があり、それぞれ効果や副作用に差があります。患者様の症状や鼻の中の粘膜の状態、ライフスタイルに合わせて、最も適した治療を選択することができます。
アレルギーの薬はずっと飲まないといけませんか?
「鼻アレルギー診療ガイドライン」では治療に関し、スギ花粉などによる「花粉症」とダニやハウスダストによる「通年性アレルギー性鼻炎」を別々に扱っています。というのも、花粉症は通年性アレルギー性鼻炎に比べ、期間は短いですが非常に強い症状が出るので、花粉症の方がより強い治療が推奨されています。
スギ花粉症では、日々のスギ花粉の飛散数によって強く症状が出る日もあれば、症状の出ない日もあります。しかし、症状に関係なく花粉の飛散期には治療を休まず継続することが推奨されています。花粉シーズンには続けて治療を行ってください。
一方、通年性アレルギー性鼻炎に関しては、それぞれの症状に応じてご自身で薬を服用する量を調整しても構わないと、私は考えています。
くしゃみ、鼻づまりなどの症状に対してどんな薬を処方するのでしょうか?
まずは患者様が何を辛いと感じているか伺います。実は、アレルギー性鼻炎の重症度は患者様の症状と程度だけで決まるのです。アレルギー性鼻炎の治療は御本人に満足頂けるかが最も重要だからです。
症状を伺ったうえで鼻の粘膜や鼻水の性状を診察します。鼻中隔彎曲症や副鼻腔炎など、アレルギー以外の病気がないかを確認することはとても重要です。アレルギー薬が効かないと来院された患者様がひどい副鼻腔炎だった、というのはしばしば経験します。
アレルギーの症状と重症度、鼻の中の所見を合わせて、治療薬を選択していきます。通常、くしゃみや鼻水といったアレルゲンが入ってきて比較的早期に起こる症状に対しては抗ヒスタミン薬が有効です。一方、鼻づまりといった遅れて出てくる症状には、ロイコトリエン受容拮抗薬がよく効きます。鼻噴霧ステロイド薬はそのどちらにも良く効きます。実際にはこれらの薬を組み合わせて治療を行います。
スギ花粉症の場合、目のかゆみといったアレルギー性結膜炎の症状もしばしば見られます。眼の症状には抗ヒスタミン薬の内服に加え、抗ヒスタミン点眼薬を併用していただくこともあります。
ただし、これらの治療法はすべて症状を緩和する対症療法であり、アレルギー性鼻炎そのものを治す治療ではありません。根本的な治療として、舌下免疫療法が保険診療として広く行われる様になってきています。
医科歯科ドットコム編集部コメント
アレルギー性鼻炎には、季節性に症状が出る花粉症と、一年中症状が出る通年性アレルギー性鼻炎があるそうです。
スギやヒノキの花粉症は、花粉が飛散する期間にはアレルギーの薬をしっかり服用したほうがよいでしょう。
取材日:2020年2月13日
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プロフィール
院長 國井直樹(くにいなおき)
<経歴>
2003年3月 山梨医科大学 卒業
2008年3月 千葉大学大学院博士課程 卒業
2008年4月~ 千葉大学耳鼻咽喉科 助教
2009年4月~ 船橋市立医療センター耳鼻咽喉科 医長
2010年4月~ 米国ペンシルバニア大学に留学
2012年4月~ 帰国後は千葉大学にて耳鼻いんこう科診療や免疫学の研究、学生教育に従事
2019年5月~ とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科開院
<資格>
医学博士
耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医
耳鼻咽喉科専門研修指導医
アレルギー学会認定 アレルギー専門医
がん治療認定医
耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医
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