歯科医師が答える!歯の着色を防ぐ日々のちょっとしたコツとは?
「歯の色が汚くて見栄えが良くない……」と思ったことはないでしょうか。
他には、「ホワイトニング治療をしたのに最近歯の色がくすんできた……」などという人もいると思います。
「歯の着色」はとても悩ましい問題ですよね。毎日歯はきちんと磨いているのに、なかなか歯の色が落ちないという方は、他に原因があるかもしれません。
今回は、歯の着色を防ぐためのちょっとしたコツをご紹介します。家庭ですぐにできることが多いので、習慣化して歯の美しさを守りましょう!
歯の着色はなぜ起こる?
そもそも、なぜ歯の着色は起こってしまうのでしょうか?歯の表面というのは、一見するとつるつるしているように見えます。
しかし実際に拡大してみてみると、歯の表面はデコボコしているのがわかります。この表面のデコボコ部分に着色汚れの原因となるステインが付着することにより、歯磨きでは簡単に落ちないような歯の黄ばみが発生してしまうのです。歯をきちんと磨かずにステインをそのまま放置しておくと、汚れが上にどんどん重なっていきます。
そうなると歯の表面に着色しやすくなってきてしまいますし、下の方の汚れをとるのもだんだん手間がかかるようになります。こうして歯の色が白から黄色に変わっていってしまいます。こうした汚れをためないためにも、毎日の丁寧な歯磨きが大事になってくるわけですね。では、歯磨き意外に有効な手立てはあるのでしょうか?
※ステイン=歯の黄ばみ・くすみなどの着色よごれ。コーヒー、茶、タバコのやになどによる。
オフィスホワイトニング
写真提供:ミライノデンタルクリニック
●色の濃い食べ物・飲み物をセーブする
色の濃い食べ物・飲み物は歯の着色の主な原因の一つです。例を挙げると、カレー、コーヒー、ワインなどが代表的です。
食べ物ではありませんが、タバコも歯の色に大きな影響を与えます。これらのものを一切断ちなさい、というのは流石に無理があります。
しかし、日々の生活の中でこれらを食べたり飲んだり吸ったりすることをセーブすることはできます。
また、もし着色しやすいものを食べたりした場合は、なるべく歯に色が移らないうちに早めに歯を磨いたり口を濯いだりするというケアが有効です。
歯の着色
写真提供:ミライノデンタルクリニック
●こまめに口をゆすぐ
上に挙げた食べ物や飲み物以外でも、普段から食事の後や休憩時間などにこまめに口をゆすぐ習慣をつけることもおススメです。
特に外食の後などはすぐに歯を磨くことができません。そのため色の固着をなるべく和らげるためにも、口をゆすぐだけでもこまめにするように心がけましょう。
口を濯いである程度汚れを流しておけば、歯磨きをする際に長い時間をかけて一生懸命やらなくても十分に汚れを除去できるようになります。
●ホワイトニング用歯磨き粉を使用する
日々使用する歯磨き粉のほかに、ホワイトニング用歯磨き粉を歯磨きに取り入れるのも効果的な対策です。
ホワイトニング用歯磨き粉にも研磨剤が含まれており、歯の表面、その奥に付着したステイン・着色を落としてくれます。
この研磨剤により歯についてしまったステイン・着色が落ちて白くなったと実感できるという訳で、実際に歯の表面を白くしてくれるわけではないことに注意しましょう。
以上のような効果がありますが、磨きすぎには気をつけましょう。
ホワイトニング歯磨き粉を用いて歯に力を込めて磨いてしまうと、逆に歯のエナメル質が傷ついてしまったり、歯茎を傷つけたりして虫歯・歯周病に繋がることもあります。
また、歯の表面が傷ついてしまうことで余計に表面が着色しやすくなったり、エナメル質が薄くなってしまうことにより歯の内部の象牙質の色が目立ってしまい、余計に歯が黄色く見えてしまう可能性もなくはありません。色が特に気になるところにだけ使用し、優しく磨くのが効果的な使い方といえると思います。
●ガムをかむ
歳とともに唾液の分泌量は減ってきます。この唾液は、歯の色素沈着を防いでくれるはたらきがあります。
歯の表面を唾液で濡らしておけば、コーヒーなど色素沈着しやすい食べ物・飲み物による着色もおさえてくれます。ですからなるべく唾液は多く分泌させるべきなのです。
そこで、無理矢理唾液を出すために、休憩時間や家にいるときはなるべくガムをかむようにすることも対策の一つです。
ガムでなくても、珍味やクッキーなどかみごたえのあるものを食べるのもよいでしょう。
物をかんで顎を動かし、唾液を多く出すように習慣化することによっても歯の着色を防ぐ効果が期待できます。
【まとめ①】
歯医者さんで汚れを落としてもらう(PMTC「プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング」)。
コーヒー・紅茶・タバコ・赤ワインといった日常生活の中で着色のリスクはたくさんあります。
上記の方法で着色しにくくはできますが、歯の表面についたしつこい汚れやステインは簡単には落ちません。
まずは歯医者さんに行って、専用の器具でステイン除去と表面をツルツルに磨いてもらってから、着色しにくい工夫を行うのがおすすめです。
ホワイトニングの効果を高める事前準備とは?
ホワイトニングをする際、実際の施術に入る前には重要な下準備があります。これをすることでより白く綺麗な歯を手に入れることができます。
理想の美しい歯を実現するための『下ごしらえ』をご紹介いたします。
●ずばりポイントはクリーニング
ホワイントニングをする前にやること、それは歯のクリーニングです。
歯が汚れた状態でホワイトニングを行なっても効果は薄いのです。そのため、丁寧に歯のクリーニングを行なってあげることがホワイトニングの成功には欠かせないのです。
汚れの度合いによって回数はまちまちですが、2回から3回程度クリーニングを行なえばホワイントニングへの準備は整います。
ここで言うクリーニングとは、歯石の除去と着色の除去になります。
歯のクリーニング
写真提供:ミライノデンタルクリニック
●歯石の除去
歯石を除去することにより、歯の表面にホワイトニングを施すことができます。
また歯石除去は一般に虫歯や歯周病などの予防になりますので、ホワイトニングの際に行なってしまえば一石二鳥といえるでしょう。
一般的には3,000円程度でできますが、保健適用外の場合は5,000円以上かかることもあります。
時間は1回30分~60分程度です。しつこい歯石の場合は何度も通院する必要があります。
●着色の除去
いわゆるステインと呼ばれる歯の着色は日々の生活の中で自然に起きてしまいます。
カレーやワイン、コーヒーといった食べ物の中に含まれるポリフェノールと歯の表面のペリクルというタンパク質が結合したものがステインです。
この成分は水に溶けることがないので、歯ブラシや口でゆすぐ程度では取れないことが多いのです。またタバコのヤニによるステインはより歯への染み付きが強く頑固です。
市販の歯ブラシや歯磨き粉などでも日ごろから対策は十分にできます。ただし強く磨けばエナメル質を破壊してしまい逆効果になったり、自分ではどうしても取れないステインがあったりします。
病院に行くことでステインは確実に取り除くことができるのです。
●ホワイトニング直前には歯ぐきのガードを
安全のためにホワイトニング材が歯茎につかないよう、しっかりとガードします。
ここまで行なえば理想の歯を手に入れるための準備は万端といったところです。
オフィスホワイトニング
写真提供:ミライノデンタルクリニック
銀歯もホワイトニングする時代
被せ物、詰め物として広く利用されている銀歯。実際に銀歯を使用している人は、鏡などでふと自分の口を見たときなど、「見栄えが悪いなぁ……」と感じたことはありませんか?
銀歯は目立ちますし、白い歯の中だとなんとなく汚く見えてしまうので敬遠されがちなのが実情です。
今は銀歯よりも白いセラミックの被せ物などが多く使用されているほどです。
しかし、なんと今ではこの銀歯まで白くしてしまうことができるのだそうです。
今回は、銀歯のホワイトニングについてご紹介していきます。
被せもの
写真提供:ミライノデンタルクリニック
●コンポジットレジンで白く
歯の一部分に詰めてある小さな銀歯がある場合に限られますが、この部分を白くして目立たなくできる治療法があります。
その治療にはコンポジットレジンという素材を使用します。
まずは詰めている銀歯を外し、歯と同じ色の白いコンポジットレジンをその場所に詰めて、そして光を当ててそれを固める方法です。
保険内で行うことができる治療で、多くの歯科医院で利用されている治療法の一つです。
●ホワイトコーティング
銀歯はそのままで、銀色を白色に変える方法もあります。
歯科治療に使う用のいわゆる「歯のマニキュア(上記のコンポジットレジンの技術を応用したコーティング剤)」を歯の表面に塗り、特殊な光を当てて固める方法です。
銀歯はもちろん、神経を抜いてしまって変色してしまった歯など、一般的なホワイトニングでは白くすることができない歯でも白くできるところが利点です。
●硬質レジンの被せ物を使う
銀歯を被せている場合は、それをとりのぞいて、硬質レジンという歯科用プラスティックでコーティングされた被せ物を被せる方法があります。
いわゆる差し歯です。上記のコンポジットレジンで補えないような範囲が大きい場合になりますが金属でできているため丈夫で、個人個人の歯の色の微妙な違いも再現できるので審美的な面から言うと硬質レジンを使う方法もあります。また、ジャケット冠という金属を使用しない被せ物もあるので、金属アレルギーが心配な方でも治療ができます。
デメリットとしてレジン・プラスチックは吸水性があり経年的に使っているとだんだん着色してくることもあります。
硬質レジンの被せ物
写真提供:ミライノデンタルクリニック
【まとめ②】
いかがでしたか?
今の時代、どうしても銀歯を付けなければならないというわけではありません。生まれた時から持っている「天然の歯」に勝るものはありません。
自分の歯を大切にしながら、もし万が一治療となった時はよく歯医者さんと話し合って決めてくださいね。
監修日:2020年2月26日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
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