【歯の根元が黒ずんできた!】意外に危険な6つの原因と対処法をご紹介
口は顔の印象に大きな影響を与えるだけに、歯や歯茎の色に異変があると気になるところでしょう。
例えば、「歯の根元が黒ずんできた」という悩みを持つ人は、結構多いのではないでしょうか?
歯と歯茎の境目が黒ずんでくるのにはいくつか原因があり、それぞれ治療法や予防法が異なります。
そのおもな原因と対処法、予防法をまとめてご紹介します。
歯の根元が黒ずむ6つの原因
歯と歯茎との境目が黒くなっている場合、原因としては以下のようなものが考えられます。
●原因1 虫歯
虫歯は、虫歯菌の出す酸により、歯のエナメル質からリンやミネラルが溶け出す「脱灰」という作用が、唾液の働きでリンやミネラルが歯に再吸収される「再石灰化」という作用の速度を上回り、歯が溶けてしまう病気です。
リンやミネラルを失った歯は、徐々に黒くなっていきます。
虫歯といえば「削って詰める」治療が当たり前というイメージがありますが、初期段階なら削らずにケアをしながら再石灰化を促すことで回復する場合もありますので、早めに歯科医院を受診することが大切です。
「毎日しっかりブラッシングをすること」「定期的に歯科医院で異常がないかチェックすること」が予防につながります。
●原因2 汚れ
コーヒーやワイン、カレーといった色素が強い食べ物を日常的にとったり、タバコを吸う習慣があったりすると、歯に「ステイン」と呼ばれる着色汚れが蓄積されていきます。
汚れは、歯と歯茎の境目や歯と歯のあいだに溜まりやすいため、これらの着色汚れが原因で黒ずんで見えることがあります。
この場合は、ホワイトニング成分を配合した歯磨き粉やヤニ取りグッズを使うことで歯をきれいにすることができます。
汚れがこびりついているようなら、歯科医院でプロによるクリーニング(PMTC)を受けるのがおすすめです。
なお、予防方法としては、「着色性の強い物を食べたらすぐに歯を磨く」「禁煙する」などして、汚れの蓄積を防ぐのが基本となります。
●原因3 歯石
歯周病が進み、歯茎が下がってくると、歯茎の中に隠れていた黒い歯石が見えてくることがあります。
その際に、歯と歯茎の境目が黒ずんでしまっている場合もあります。歯石とは、歯垢(プラーク)が唾液と混じり合って固まった物です。
通常は白色ですが、歯茎の内側にできる歯石の場合は、血液の成分による影響で黒くなります。
歯石は、歯周病菌にとって最適な住みかです。歯周病を悪化させる元凶なので、歯科医院で歯周病治療を受けて必ず除去してもらいましょう。
予防には、「日頃のブラッシングで歯石の原因となるプラークをしっかり取り除くこと」や「定期的に歯科医院でメインテナンスを受けて歯石を取ってもらうこと」が有効です。
●原因4 被せ物の露出
治療して被せ物をした歯の根元が、数年経って黒ずんでくるという場合があります。
「加齢により歯茎が下がったことで、被せ物の内側に使われていた金属が露出してしまった」
「被せ物に使った金属の成分が歯茎に流出して黒っぽく変色してしまった」
などが原因です。
また、被せ物のフレームに使われている金属が、透過してくる光を遮断するため、歯茎が陰になって歯と歯茎の境目が暗く見えている場合もあります。
治療法としては、黒ずみの原因となっている被せ物については、「金属を使わないセラミックなどの被せ物と交換すること」が挙げられます。また、「最初から金属以外の素材を選ぶこと」を心掛けると良いでしょう。
●原因5 詰め物の劣化
小さな虫歯や前歯の虫歯などに使われる素材「コンポジットレジン」は、3~4年で劣化して徐々に黒くなります。
虫歯が広範囲に広がっている場合は削って治療することになりますが、軽度の場合は研磨することできれいになる場合もあります。
このような素材の劣化による黒ずみは、「審美性が高く劣化が少ないセラミックなどの素材を使うこと」で予防できます。
●原因6 神経がない歯の変色
歯の根の中には神経や血管が通っており、さまざまな刺激を脳に伝えたり、歯に栄養や酸素を供給したりする役目を担っています。
一方で、「虫歯治療の過程で神経を取った歯」または「交通事故や転倒などで歯を強く打って神経が死んでしまった歯」は、いわば枯れ木のようなものです。すぐに抜けたりはしませんが、徐々に黒ずんでいき、衝撃によっては抜けてしまう場合もあります。
神経がなくなれば神経の中に含まれる、血液にヘモグロビンという成分があります。そのヘモグロビンは鉄を含む為、この鉄が硫化水素と結合して硫化第一鉄となり、青みがかった黒い歯となります。
歯が黒ずんでしまうのは止めようがないので、セラミックなどの被せ物をすることになります。
「虫歯にならないよう普段からケアを行うこと」と「もし虫歯になっても神経を抜くまえに治すこと」が予防となります。
「歯の根元が黒ずんでいる」といってもいろいろなパターンがあり、原因によって対処法もさまざまです。被せ物の中に使われている金属など、意外なことが原因となっている場合もありますので、歯と歯茎のあいだの黒ずみが気になるようなら、まずは歯医者さんに相談してみてはいかがでしょうか。
医科歯科ドットコム編集部コメント
歯の黒ずみにも、色々な原因があることがわかりました。
でもやはり自分で判断してなんとかするのは難しいものです。少しでも気になるなら、すぐに歯医者さんに診てもらってください。
監修日:2019年10月8日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
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