医療費控除という制度知ってますか?自費料金の決め方は?矯正治療はなぜ高い?
最近は子供だけでなく、成人の方もしている人が多い矯正治療。
歯並びや噛み合わせを矯正することは将来的にプラスにはたらくので、多少費用がかさんでも矯正に踏み切る人が多いです。
そうはいっても矯正治療における経済的負担は、普通の歯科治療と比較するとかなり大きいものがあります。
そもそも、なぜこのように矯正治療は高額になってしまうのでしょうか?
今回は、矯正治療と歯科の自費料金についてみていきたいと思います。
矯正治療がなぜ高いのか?(1)
矯正治療ときくと、銀色の器具を着けて行う治療、というイメージをお持ちかと思います。
あの器具が高いのか?と思われる人もいますが、それも一つの理由です。
しかし、料金が高い根本の理由は、単純に「矯正治療に保険が適用されない」ということなのです。
基本的に「病気」とされたものについて治療するとき、保険が適用されます。
これは国民皆保険制度という制度のおかげで、日本国内において保険証を持っていれば誰でも治療に払うお金は一部負担で済みます。逆に言うと、保険がきかない治療というのは「病気」ではないということになります。
「歯並びの悪さも噛み合わせの悪さも病気ではないのか?」と思う人もいるかもしれませんが、現状、これらは病気にはあてはまらないとされているのです。ちなみに、歯科治療で保険が適用されるのは通常の矯正治療のみでは治らないような場合です。例えば、外科手術が必要になる顎変形症などがそれにあたります。
矯正治療がなぜ高いのか?(2)
治療費が高い一番の理由は、高度な医療技術と専門知識を必要とし、それを習得するには何年もの月日とお金がかかります。
その為、一般的な保険治療とは一線を画するものであるが為、「保険がきかないこと」です。
その上で矯正治療には治療過程が何段階もあります。
まず初診でお金がかかり、その後歯の状態を見る検査にお金がかかり、器具を付けた後のメンテナンス料がかかり……というように、そのときどきでお金がかかります。
治療期間が長いので、それだけ治療費も嵩んでしまうのです。
さらに、使用する器具が高価であることも大きな要因です。
みなさんのイメージしやすい銀色のワイヤーだと、だいたい数十万円と高価なものがほとんどです。
そこに諸々の費用を加えて総治療費は約100万円程度になると言われています。
表側にワイヤーをつける場合が通常ですが、目立つのが嫌な人向けに歯の裏側にワイヤーをつける治療もあります。
その場合は表側につけるよりも技術料の分でさらに高くなります。
今はこれらより安く済む、「マウスピース矯正」というのがあります。
なるべく安く済ませたいというのと、審美的な面でマウスピースを使って矯正したいという人が今は多いです。
いずれにしても数十万円の支出は免れないので、よく考えて判断したいところですね。
自費料金の決め方
自費料金はどう決められているのでしょうか?
自費料金は確かに医院側の裁量で決められますが、もちろんいい加減に好き勝手に決められているわけではありません。
自費料金は症状によって決定されるものではなく、また結果の良し悪しによって決定されるものでもありません。
きちんと個々の診療行為を細分化して、ある程度適正な料金に決められているのです。
そもそも不当に高く設定している歯科医院には人が集まりませんよね。
そのあたりは、相場があってある程度の金額に収まっているのでしょう。
医療費控除という制度
どうしても費用が高いと治療をしようかどうかためらってしまいますよね。
実は、矯正治療の場合でも医療費控除が受けられる場合があります。
医療費控除とは、自分や家族のために一年間で10万円以上の医療費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度のことです。
確定申告の際に申請を忘れても、5年前までさかのぼって医療費控除を受けることができます。
矯正を担当する医師が「噛み合わせ(もしくは歯並び)が悪く機能的な問題があるので矯正治療が必要」と診断して、確定申告の際にその診断書を提出すれば、医療費控除を受けられます。
注意したいのは、審美的な理由での矯正治療では控除は受けられないということです。
医療費控除とは、医療費が多くかかった年に、かかった医療費の一部を税金から控除することです。
年間の医療費が10万円を超える場合、医療費の控除が受けられます。
例えば、矯正歯科治療やインプラントを行うために支払った医療費は、自由診療(保険外治療)のため全額自己負担となりますが、「医療費控除」の対象ですので、お近くの税務署に申請をすれば、医療費の控除が受けられます。みなさまも考慮してみてはいかがでしょうか?
<参考>
国税庁ホームページ
http://www.nta.go.jp/
監修日:2019年12月10日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
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