インプラントの値段の中身と格安インプラントの落とし穴を歯科医師語る【参考価格表示】
インプラント治療は、失われてしまった天然の歯を補うための治療法の1つです。
人工の歯の根を埋め込んで人工の歯を固定するため、隣の健康な歯に負担をかけない、天然の歯とほぼ同じように噛めるなど数々のメリットがありますが、ネックとなるのはその治療費です。
平均して1本約30万~40万円という費用がかかることから、治療を受けるべきか迷っている人もいるのではないでしょうか。
また、相場より安く治療を行っているクリニックを見つけても、今度は「こんなに安くて大丈夫かな」とも思ってしまいがちです。
「お得」なクリニックを見抜くためには、治療費の内訳について知っておくことが役立ちます。そこでここでは、インプラントの治療費の内訳について紹介していきます。
治療費の内訳はこうなっている
※インプラント治療は内容や設備、保証内容などによって変化します。下記は参考価格ですのでご了承ください。
インプラントそのものの代金(12万~30万円前後)
まず、間違いなく発生するのはインプラントそのものの代金です。
インプラントは大きく分けると、歯の根の役割を果たす「人工歯根」と上部の「かぶせ物」、それら2つを繋ぐ「アバットメント」という3つの部品で構成されています。
その価格は素材やメーカーによって大きく変わりますが、相場の目安はあります。
①人工歯根
現在世界に流通しているものは約100種類、日本国内で使用されているものだけでも約30種類はあると言われており、メーカーごと、種類ごとに価格が異なります。
国産のものでは1本5万~10万円、海外の有名メーカーだと10万~15万円が目安といわれています。
必ずしも高いものがよいというわけではなく、それぞれに特徴があるので、歯科医師が患者との相性を考えて選ぶのが普通です。
②かぶせ物
通常のかぶせ物や詰め物と同様、素材によって価格は変わります。
例えば、オールセラミッククラウンの場合では1本7万~17万円、メタルボンドの場合は5万~15万円前後が目安とされています。
③アバットメント
人工歯根と一体化したタイプと、別部品になっているタイプの2種類があります。
別部品タイプの場合は3万~5万円が目安とされています。
検査代・診断料(1.5万~5万円前後)
インプラント治療のためには、治療計画を立てるための診断やCT撮影などが必要です。
歯科医院により検査内容はまちまちですが、費用はおよそ1.5万~5万円ほどになることが多いです。
手術代(5万~10万円前後)
執刀医の技術料や手術室の維持費、CTやマイクロスコープなどの機器の使用料・麻酔代・手術器具の消耗品などのお金です。
5万~10万円ぐらいであることが多いです。
メインテナンス費用(0.3万~1万円前後)
インプラント治療を行った後になりますが、長期的に安定した状態で使い続けていくには定期的なメインテナンスが欠かせません。
口の状態の確認、レントゲン撮影、歯のクリーニング、噛み合わせのチェックなどを行うメインテナンスの費用は1回3,000円から1万円が相場です。
その他の費用
顎の骨が痩せているなどの場合、先に骨を増やす(つくる)処置が必要になる場合もあります。
格安インプラント治療の落とし穴
このように、インプラント治療費は安いものではありません。
またそこに目をつけて「格安」を掲げるインプラントサービスを展開するクリニックも増えてきました。
一見とても魅力的ですが、あまりにも安い場合は保証期間や保証内容などを確認しておくことが必要でしょう。
納得して治療を受けるためにも、次のようなところをチェックしておくのがおすすめです。
歯科医院の環境
CTやマイクロスコープなどの機器、専用の手術室などの設備がない歯科医院は、それだけ設備投資費用を抑えられる分、治療費が安くなっている場合があります。
その場合、CT検査が必要なら他院に出向くことになりますし、手術室がない場合は空気中の塵などの混入を防ぐために、事前の入念な掃除や手術中の環境管理があるのが一般的です。
納得できる環境かどうかは、必ず確認しておきましょう。
インプラントの種類
どのメーカーのどの種類のインプラント部品を使うのか、なぜそれを勧めるのかは歯科医師に必ず聞いておきたいところです。
この質問に答えてくれないようなら、そのクリニックでの施術は見合わせたほうがいいというほど重要です。
ある程度普及しているものを選んでおくと安心です。
メインテナンス費用や保証内容
インプラントを使い続けるには定期メインテナンスが欠かせません。
格安インプラント治療を掲げるクリニックの中には、手術は安い代わりにメインテナンスが高いところもあるので、アフターケアのことも考えてクリニックを選びましょう。
またインプラントがうまく定着しなかった場合の保証内容や保証期間が整っているかも確認したい点です。
返金制度や施術のやり直し費用を負担するなど、保証内容を充実させているところもあります。
インプラント治療は医療費控除の対象になる
インプラント治療は、事故による顎骨の欠損など、ごく一部の場合を除いて、保険適用にはなりません。
しかし、審美矯正と違って医療費控除の対象にはなるので、年間10万円以上支払った場合は、確定申告をすることで還付金を受けとることができます(サラリーマンの場合)。
なお自営業者などの場合は所得税の控除を受けられます。
インプラント治療は、必ずしも治療費が高ければ質が良く、安ければ質が悪いというものでもありません。
なぜ高いのか、安いのかを見極めて、自分の条件にあったクリニックを探してみてください。
医科歯科ドットコム編集部コメント
本記事中にも「インプラント治療は内容や設備、保証内容などによって変化します。」とあったことからわかるように、同じ治療内容でもクリニックによってその価格はバラバラです。
それじゃあ値段を調べるのが面倒だ、と思う方に便利なのが医科歯科.comです。
様々なクリニックの価格情報が簡単にわかります。
監修日:2020年1月20日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
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