意外に知られていない歯垢の恐ろしい正体!デンタルフロスを使う必要性とメリット・正しい使い方
歯ブラシの毛先が届かない歯と歯の間の汚れや歯垢(プラーク)を取り、虫歯を予防するためにはデンタルフロスが有効です。
よく海外の映画やTVでは、両手の指にフロスを巻き付け、大げさに歯をむき出してギシギシと歯間をこするシーンがみられます(もちろん海外でもフロッシングは他人に見えない場所でやるのがマナーで、これは誇張されたギャグです)。それだけフロッシングが一般に普及しているということなのですが、まだまだ日本では一般的な習慣とはいえず、使い方を知らない人も多いようです。
そこで、デンタルフロスを使う必要性とメリット、そしてデンタルフロスの正しい使い方について説明したいと思います。
意外に知られていない歯垢(プラーク)の恐ろしい正体!
一般に、歯垢(プラーク)とは「口の中に残った食べ物のカス」と考えておられる方が多いのではないでしょうか。
しかし歯垢(プラーク)の実態はもう少し恐ろしいものです。
歯垢(プラーク)とは、単なる食べカスではなく、食べカスが口の中で腐敗して細菌の巣となったものです。
たった1ミリグラムのプラークの中には300種類・10億個もの虫歯菌(ミュータンス菌)や歯周病菌が生息しており、歯垢(プラーク)の75%が菌で、そして残りのうち20%は菌がつくりだした粘着物質でできています。
歯垢(プラーク)がもともと食べカスであることには間違いありませんが、もはや食べカスとは別の、文字どおり「細菌の巣」と考えるべきでしょう。
さらに歯垢(プラーク)がやっかいなのは、虫歯菌や歯周病菌がバイオフィルムを形成しているということです。
バイオフィルムとは単に菌同士が絡みあっているだけでなく、お互いに助け合う「共同体」となったものです。
異なる菌同士が栄養を供給しあったり協力したりして抗菌薬を拒んだりするため、非常に強力で処置に困ります。
歯ブラシの毛先の顕微鏡写真を見たことがありますか? まるで古い洋館の外壁にびっしりと絡まったツタのように、細長い歯垢(プラーク)がベットリと絡みついているのです。
よく「歯ブラシは1ヶ月程度で交換しましょう」と言われますが、一度この写真を見れば、1ヶ月どころか、(決して大げさではなく)いっそ使い捨てにしてしまいたくなるほどです。
デンタルフロスの役割とは?
歯垢(プラーク)は強い粘着力で歯のあらゆる部分に貼りつきます。
歯ブラシで歯の表面のプラークは落とせても、歯と歯のわずかなすき間、歯と歯茎の間のくぼみなどの歯垢(プラーク)は落とせません。
ましてや、洗口液でゆすいだくらいではどうにもならないのです(洗口液の役割は歯垢(プラーク)になる前の食べカスを洗い流したり、歯の表面をコーティングしたりというものです)。
そこで登場するのがデンタルフロスです。デンタルフロスの糸は非常に細い繊維を束ねたもので、狭い歯のすき間にも無理なく入るようになっています。
デンタルフロスの正しい使い方
デンタルフロスにはY字型のものや糸巻き型(ホールタイプ)のものなどがあります。
ここではシンプルで使い方の難しい(使いこなすと効果が高い)ホールタイプの使い方を例にとります。
1.デンタルフロスを指先からひじの先端くらいの長さ(40cm程度)に切り、両手の中指に巻き付け(片方は短く、片方は長く巻き付けておきます)、人差し指と親指でつまんでピンと張ります。糸の長さは10~15cmぐらいが使いやすいでしょう。
2.前歯は、フロスを小刻みに揺らしながらゆっくり歯の間に滑り込ませていきます。
3.歯は中間の部分でもっとも強く接触し、根元の部分では若干すき間が広くなっています。それを意識し、左右それぞれの歯にフロスをこすりつけるように前後させます。ノコギリのように往復させたのではしっかり歯垢(プラーク)が取り切れません。「奥から手前へ歯垢(プラーク)をかき出す」ことをイメージしてください。
4.次の歯間に移動する際は、一度使った部分が別の歯に触れないよう、フロスをどちらかの指に巻き取ってずらします。フロスの同じ部分を使い続けるとせっかくかき出した菌が別の歯に付着してしまいます。
5.奥歯の歯間は、短く持ったフロスを人差し指の先に乗せ、指を口の奥に差し込むようにしてフロスを挿入させます。そのままフロスを動かすことは困難なので、前に向かって左右交互にフロスを引っ張ります。
なお、デンタルフロスには歯の間を滑りやすいようワックスが塗られたものとそうでないものがあります。
ワックスのついていないフロスのほうが歯垢(プラーク)をかき取る効果は高いのですが、慣れないうちは使いやすいワックスタイプを選びましょう。
また、ホールタイプの扱いが難しい場合は、Y字型のフロスホルダーから始めるのも良いでしょう。
まとめ
フロッシングは毎日1回以上、すべての歯の間を掃除するのが原則です。
せっかくかき出した歯垢(プラーク)が再び歯に貼り付くことのないよう、フロッシングの後はしっかり口をゆすいでください。
<参考URL>
APAGARD オーラルペディア 【歯垢】
http://www.apagard.com/oralpedia/basic/details/Vcms4_00000085.html
サンスター Mouth&Body PLAZA プラークとバイオフィルム
http://www.mouth-body.com/school/classes/beauty/O23001
サンスター デンタルフロス/歯間ブラシの使い方
http://jp.sunstar.com/useful/usage/interdentalbrush/
医科歯科ドットコム編集部まとめ
私も時々フロスを使うのですが、フロスの同じ部分を使うとかやってしまいがちでした…。早速やり方を改めようと思います。日頃からのケアのやり方って、わかった気になっていても実は間違っていることが多いですよね。なので一度専門家の話を聞いておくのがいいのかもしれません。
監修日:2019年10月29日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
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