歯科医師が語る!虫歯予防するフッ素を活用との上手なつき合い方とは?
「フッ素」は虫歯予防に有効な成分とされています。
そのフッ素の活用方法はさまざまで、市販の歯磨き粉に含まれているものを使用したり、歯科医院で直接フッ素を塗ってもらうこともできます。
様々な方法でフッ素を活用することができますが、どの方法が一番有効なのでしょうか?
今回は、フッ素の様々な知識と、一番有効な使用方法をご紹介していきたいと思います。
フッ素配合の歯磨き粉を使用
現在市販されている歯磨き粉のほとんどにフッ素が配合されています。
これだけ広く取り入れられていますから、やはり一定の効果はあると言えるでしょう。フッ素を歯の表面に付着させることによって、虫歯菌が作る酸の量を抑制し、歯の再石灰化を促し、そして歯の表面のエナメル質を強化するという3つの効用が期待できると言われています。
このフッ素の効き目をより発揮させるためには、歯ブラシで歯垢や汚れを丁寧に落とす必要があります。
なぜかというと、フッ素は歯の表面に付着して初めてその効果を発揮するのですが、せっかくフッ素配合の歯磨き粉を使用しても、歯の表面に汚れや食べかすが大量についたままだと、フッ素の効果が歯の表面まで届かないと言われています。
そのため、いくら使用している歯磨き粉のフッ素濃度が高くても、実質的な効果はなくなってしまう可能性があります。
そういったことを防ぐため、研磨剤が含まれている歯磨き粉を使用するのも一つの手であるといえるでしょう。
研磨剤が多く含まれていると、それだけ歯の表面をこする力が強くなるので、表面の歯垢も綺麗に取り除くことができると考えられています。
しかし、研磨剤が入っているからといって磨きすぎは禁物です。強く磨いたり多く磨きすぎると歯の表面が傷ついてしまうということも併せて理解しておきましょう。
歯医者でフッ素塗布
口の中の汚れを歯磨きだけで完璧に落とすことは、テクニックもそうですし長い時間が必要なため、なかなか難しいのが現状です。
そのため、定期的に歯医者にいって汚れをとってもらい、その上でフッ素を塗ってもらうという方法もおススメです。
口内の状態により差はありますが、だいたい1年に2~4回のフッ素の塗布を継続することである程度高い確率での虫歯の予防が期待できると言われています。
歯医者で行うフッ素塗布の方法は、
①歯面塗布法
②トレー法
③イオン導入法
などの方法があります。
①歯面塗布法の塗布法の特徴
この方法は、丸めた綿や綿棒や歯ブラシをフッ化物に浸していき、それらで歯1本ずつに満遍なくフッ素を塗る方法です。
一般的な方法であり、子供から大人までできますし、時間も長くかからないので多く行われている塗布方法です。
②トレー法の塗布法の特徴
これは、トレー、いわゆるマウスピースにフッ化物を入れて、これを口にくわえて行う塗布方法です。
上の顎と下の顎に分けて各3~4分間程くわえ続け、フッ素を浸透させます。トレーを一定時間くわえる必要があるため大変かもしれませんが、より細部までフッ素をいきわたらせることが可能です。
③イオン導入法の塗布法の特徴
これは②と同じ状態にして、人間の感覚では何も感じない程度の弱い電流を流してフッ素を浸透させていく方法です。
電流を流すことによって、フッ素がより歯の表面により付着しやすくなります。
フッ素は毒性あり?
一方、フッ素は危険だからあまり使うべきではないという主張もあります。
フッ素分子というのは空気よりもわずかに重く、猛毒の分子でもあるといえます。さらに恐ろしいことに、この分子はガラスやプラチナでさえも侵してしまいますから、保存することもできない危険な物質であるともいえます。
ただ、歯磨き粉に含まれていたり歯医者で塗るフッ素は「フッ化物」(フッ素を構造中に持つ化合物のこと)であって、歯に猛毒をそのまま付着させているわけではありませんので、きちんと理解することが大事でしょう。
しかし、何事にも限度というものはあります。フッ化物も身体の中に多く蓄積してしまうと悪影響が出る可能性はあります。
どれくらいの量までなら有益でどのくらいの量を超えると有害なのかという問題については未だに結論が出ていませんが、いずれにせよ塗り過ぎには注意しなければならないということが言えます。
歯医者であれば、歯科医師と相談して塗布する回数と期間に間隔をあけるようにしましょう。歯磨き粉であれば、必要以上に磨きすぎたり誤って飲み込んでしまわないように気を付けましょう。
一番有効な方法は?
では、虫歯予防のためのフッ素利用において一番有効な方法とはなんでしょうか?
これは「個人による」というほかありません。きちんと時間をかけて丁寧にブラッシングできるのであれば市販の歯磨き粉でも良いでしょう。
しかし、歯医者で使用するフッ素は市販の歯磨き粉に含まれているフッ素よりも高濃度なので、細部まできちんとフッ素を行きわたらせるようにするためには、やはり歯医者で塗布をしてもらったほうが、虫歯予防にとっては有効であると考えられています。
監修日:2019年12月25日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
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