【消化器外科医が解説】感染症じゃないから気が付けない!がん検診を受けたほうがいい理由
2人に1人は生涯でなにかしらのがんになるといわれています。しかし怖いなと思って気を付けていても、初期のがんは自分で気付くことはできないそうです。
今回は消化器外科医として第一線に立たれたのち、今は地域の健康を守っている わかさクリニック院長 間嶋 崇(まじま たかし) 医師に初期のがんと、その検査方法について教えていただきました。
“外から感染するものでないから”進行しないと気が付くことができない
初期がんというのは本当に分かりづらいです。なぜなら自分の細胞が悪性化するので、がんは分かりづらいのです。
外部から細菌やウイルスが入ってきたら防御反応で咳が酷くなったり、熱や吐き気がでるなど、自分の不調がわかるのですが、それがありません。
ものすごくがんが大きくなれば、ご飯が食べられない、体重の減少、吐き戻し、がんからの出血による貧血などが起きます。
ですがこのような症状がでるのは、すでにかなりがんが進行した状態です。
重度にならないと自覚ができないということです。
ですので、健診で早めに見つけるのがとても重要です。症状が出た時には、もう重度の段階なのだと覚えておいていただきたいです。
内視鏡でしか見つからない平坦な異常がある
検診で胃がんが見つかる場合は、早期の段階で見つかることが多いです。胃カメラ(内視鏡検査)をするようになってからは本当にごく早期のがんが見つかるようになりました。
胃がんというとポリープのような形を想像されるかもしれませんが、早期の発見の場合、まったく平坦なこともあります。見た目が赤くなっているからそこに異常があり、おそらくがんだろう、と見つかることがあるのです。
これは胃カメラで見ないと分かりません。
色が赤くなっていたり、ちょっと変な色になっていたりとか、粘膜の模様がおかしかったりすると、がんの可能性を疑って検査をします。
若い女性にも多い、スキルス胃がんは表面に変化が出て来ないので比較的見つけづらいですが、ぼこぼことしたひだの幅が通常よりも太くなっているなどの特徴があるので、専門家が胃カメラで見れば分かる場合も多いです。
バリウム検査の場合は、胃の影を映すものですので、胃の表面にへこみがない変化には気が付けません。
今は、検査をするのなら内視鏡検査のほうがいいと思います。健診でも徐々にバリウム検査から内視鏡検査を受けるように変ってきています。
検査が気持ち悪いなら経鼻内視鏡の選択を
胃を検査する内視鏡は、口から入れることが多いですが、苦手な方も多いと思います。吐き気がすることもあり、やはり太い管を口から入れるのは辛いものです。
今一般的になってきているものに、鼻から入れる経鼻内視鏡というものがあります。
鼻から、口に通じる細い通り道があり、そこに細い管を通します。口から入れるのと比べると苦しさが少なく、身体の負担は少なくなります。
入れる内視鏡の管が細くなったといっても、検診で必要な程度の解像度に影響することはなく、十分色の変化を捉えることができます。
小腸の検査はカプセル内視鏡でもできる
カプセル内視鏡という飲みこむカメラもあります。
しかし、胃などは袋状ですので、中にカプセルが落ちて全部がちゃんと撮影できるかとなると難しく、検診ではあまり使われません。
このカプセル内視鏡が得意なのは小腸など細いところです。そのような場所の検査で使うのであれば、飲み込む際の身体の負担も少なく、撮影も十分することができます。
医科歯科ドットコム編集部コメント
初期のがんに気が付くには、検診が欠かせませんね。会社などで受ける一般健診で気になる箇所があればオプションなどで検査をすることができます。
内視鏡検査をためらわれる方も多いかと思いますが、受けるところによって経鼻内視鏡があったりなど身体の負担も変わりますので、ご自身にあう方法をぜひお選びください。
取材日:2020年2月5日
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