【耳鼻科医に聞く!】「花粉症」 鼻水を調べるだけでアレルギーかどうかが分かるって本当?
花粉に悩まされるシーズンになりました。鼻がぐすぐすしているのに、花粉症だと認めたくない方もいるでしょう。できれば適切な薬を飲んで快適に過ごしたいものです。
そもそも自分が花粉症かどうかを知るために、病院ではどのように診断をするのでしょうか?必ず血液検査をするものなのでしょうか?
今回は花粉症かもしれないと思って受診した患者さんにどういう検査をしていくのか、「とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科」院長 國井 直樹(くにい なおき)医師に伺います。
花粉症について、どのように診断されるのでしょうか?
まずは問診をして、いつからどのような症状が出て、今は何に困っているのかを聞きます。そのうえで鼻の中の粘膜の状態、鼻水の性状を確認します。
それらを複合して診たうえで、スギ花粉症の疑いが強いかどうかを判断しています。問診と所見だけでスギ花粉症の可能性が高いだろうという場合には、そのまま投薬治療を行うこともあります。
鼻水の検査をするだけでもアレルギーかどうかは分かります!
問診と所見だけではスギ花粉症の診断は確定できません。検査には大きく分けて2種類があります。ひとつはアレルギー性鼻炎かどうかの検査、もうひとつはアレルギーの原因が何か調べる検査です。
アレルギー性鼻炎かどうかを調べる検査として最も簡単なのは、「鼻汁中好酸球検査(びじゅうちゅうこうさんきゅう)」です。鼻水の中にアレルギー症状を引き起こす好酸球が入っているかどうかを調べます。
アレルギーの原因抗原を調べる検査としては血液中の特異的IgE抗体を調べる検査が汎用されています。1回の採血で数種類の抗体を調べることができる検査です。
鼻汁中好酸球検査というのは綿棒の先に鼻水を少量付けてから、それをスライドグラスに伸ばして顕微鏡でみるという検査です。痛みはありませんので、小さなお子さんでも行うことができます。
鼻水の検査ではアレルギー性鼻炎があるかは診断できますが、スギ花粉によるアレルギーなのか、ダニによるアレルギーなのか、といったことまでは分かりません。何に対してのアレルギーなのかを調べるためには、血液検査で血液中の抗体価を調べる方法が最も行われています。
血液検査は何のアレルギーなのかを細かく調べることができる
血液検査では血液中の抗体価を調べますので、かなり細かく何のアレルギーなのかを調べることができます。
鼻のアレルギーに対するガイドラインでは、皮膚反応テストと鼻誘発テストも推奨されています。皮膚や鼻の粘膜にテスト用アレルゲンを入れて、皮膚が腫れたり痒みが出ないか、くしゃみや鼻水がでるかどうか反応をみます。
どちらも一度に検査できるアレルギーの種類が限られることと、苦痛を伴った検査であることから、現状では大学病院の専門外来など限られたところでしか行われていません。一般的にはスギ花粉症の検査として、血液検査が行われています。
医科歯科ドットコム編集コメント
鼻水に含まれている成分を調べると、アレルギー反応があるかどうかが分かるそうです。お子さんにも抵抗の少ない検査方法になるでしょう。
また、何にアレルギー反応が出ているのかを知りたいときは、血液検査で調べることが多いようです。
自分が花粉症かどうか知りたい場合は、病院できちんと診断を受けましょう。
取材日:2020年2月13日
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プロフィール
院長 國井直樹(くにいなおき)
<経歴>
2003年3月 山梨医科大学 卒業
2008年3月 千葉大学大学院博士課程 卒業
2008年4月~ 千葉大学耳鼻咽喉科 助教
2009年4月~ 船橋市立医療センター耳鼻咽喉科 医長
2010年4月~ 米国ペンシルバニア大学に留学
2012年4月~ 帰国後は千葉大学にて耳鼻いんこう科診療や免疫学の研究、学生教育に従事
2019年5月~ とねり耳鼻いんこう科・アレルギー科開院
<資格>
医学博士
耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医
耳鼻咽喉科専門研修指導医
アレルギー学会認定 アレルギー専門医
がん治療認定医
耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医
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