【現役医師に聞く】あなたも突然白血病に!?その診断方法や発症率は?
前回に引き続き、白血病をテーマに江戸川病院の腫瘍血液内科副部長である明星智洋(みょうじょうともひろ)医師に、白血病の原因や発症について教えていただきます。
誰でも突然なりうる白血病
白血病は生活習慣病とは違い、どのような人にでも突然発症します。
例えば糖尿病とか高血圧、高脂血症などというのは普段の食生活や運動不足が原因でなることがお分かりかと思いますが、白血病はある日突然発症します。
先週まで元気だった人が今週にはもう歩けなくなっていたり、酷い貧血になっていたり、高熱が出てしまうなど。
通常、熱があったらクリニックに行くと思いますが、風邪薬を処方されてそれでもなかなか治らない場合は、白血病を原因の一つに考える必要があります。
急速に病状の進行する急性白血病の種類と発症年代
急性白血病の中には、急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病があります。
白血球の中でも骨髄球が癌化するのか、リンパ球が癌化するのかによって病名が変わり、抗がん剤の治療法も、治療期間も治療成績も全く異なってきます。
ですので、そこを見極めるということが臨床上非常に重要なことになります。
急性骨髄性白血病であっても急性リンパ性白血病であっても、どの年齢でも起こりえます。
0歳や1歳でもなることがあり、80歳や90歳でもなることがあるので、すべての世代でなることがあるだろうと言われています。
ただ、統計的に急性リンパ性白血病は小児に多いです。
白血病の診断は白血球の数値測定から
白血病はまず診断をするということが極めて重要です。
採血をした場合、通常白血球の正常値というのは4,000から9,000くらいが正常値ですが、白血病の場合はその数値が極端に多いか、極端に少ないかになります。
その数値が異常値であれば白血病の疑いがあるため、その日のうちに診断して、その日のうちに抗がん剤を入れる治療に移る場合もあります。
遅れると命にかかわってしまうということも多いのです。
若年層に多い急性リンパ性白血病の発症率は10万人に1人の確率
急性リンパ性白血病は人口10万人いたら1年間に1人か2人くらいという発症率です。
(※1)たとえば人口100万人のところであれば年間に10人前後の人が新規に発症するということになります。
急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の患者さんの数でみると急性骨髄性白血病の方が全世代で発症する可能性がある分、数が多いです。
(※1)〈参考〉
国立がん研究センター:国立がん研究センターがん情報サービス,HOME,それぞれのがんの解説,「急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫 基礎知識」 閲覧日:2020/01/20
医科歯科ドットコム編集部コメント
急速に進行してしまう急性白血病は大変怖いですね。
発症率も想像していた以上に多い印象です。
急性白血病の場合、自身含め身近な人に起こったら一刻も早く気が付きたいと思いますが、分かるものなのでしょうか。
次回は自覚症状についてお話いただきます。
取材日:2019年10月16日
プロフィール
腫瘍血液内科副部長
明星 智洋 医師
<資格>
日本内科学会認定内科認定医
日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、指導医
日本血液学会認定血液専門医、指導医
日本化学療法学会認定抗菌化学療法認定医、指導医
日本癌治療学会認定がん治療認定医
インフェクションコントロールドクター(ICD)
Total nutritional therapy修了
<略歴>
2001/3 熊本大学医学部卒業
2001/4 岡山大学医学部附属病院腎・免疫・内分泌・代謝内科
2001/10 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 内科
2003/4 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 血液内科医員
2004/4 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 血液科
2005/4 癌研究会有明病院 化学療法科・血液腫瘍科
2009/4 江戸川病院 腫瘍血液内科
2009/10 同医長
2012/4 同副部長
2016/1 東京がん免疫治療センター長(兼任)
2016/10 Hyper medical creator就任
2018/2 プレシジョンメディスンセンター長(兼任)
<専門分野>
がん薬物療法(抗がん剤治療) 血液疾患(良性・悪性含む)
感染症管理、免疫療法日々、市中病院にてがん診療の最前線で抗がん剤中心の治療をおこなっている。
Hyper medical creatorとして、上場企業やベンチャー企業と、医療現場をつなげることをライフワークとしており、ユーグレナ、資生堂などとも連携している。
オンライン診療や栄養、人工知能、職場の環境改善など幅広い領域で、橋渡しをおこなっている。
その傍ら、趣味として梅酒が健康にどう影響するのか、どの料理と合うのかなど探究し、一般社団法人梅酒研究会設立、全国での梅酒まつりや品評会を主催している。
<出演・監修>
朝日放送 たけしの『みんなの家庭の医学』出演
映画『ゆめはるか』医療監修、出演
映画『サクラ花』医療監修
土曜ワイド劇場『切り裂きジャックの告白』医療監修
映画『うまれる ずっといっしょ。』アドバイザリーボード
その他、新聞などのメディアへの掲載多数
著書『先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』(すばる舎)
<その他>
株式会社オリィ研究所 顧問
株式会社マイロプス 顧問
一般社団法人梅酒研究会 代表理事
MRT株式会社 取締役
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