【救急医に聞く】おせち料理でアレルギー反応が出る前に!気をつけたい食材やその症状を緩和するには?
年末からお正月休みの期間は、ついつい食べ過ぎてしまう季節だと思います。元日に食べる「おせち料理」でお酒が進む人も多いかもしれませんね。
縁起の良いえびや紅白のかまぼこが入っているおせち料理も多いですが、家族で食べるときや特に子どもが初めて食べるときは、少しアレルギーのことを気に留めておくと良いでしょう。
そこで、えびやかになどの甲殻類で起きる「甲殻類アレルギー」について、救急救命医をされていた小川智也(おがわともなり)先生に、おせち料理に入っている食材で気をつけた方がいいものやアレルギー症状についてお話を伺いました。
アレルギー反応は食べるだけでなく触れただけでも起こる!?
「甲殻類アレルギー」は、えびやかにを食べたりすると、口や唇の食べたところがかゆくなってきたり、腫れたりすることが多いです。また食べるだけでなく、えびやかにに手が触れるだけでも起きます。
接触しやすい口や口腔の粘膜などに症状が出やすく、蕁麻疹が出ることも多いです。同じ食物アレルギーである「そばアレルギー」は、そば粉などを吸い込んだだけでもアレルギー反応が起こる場合があります。
そばに関しては食べるだけでなく、吸入した場合にも喘息の発作のように息苦しくなってくることも起こり得る点が「甲殻類アレルギー」と違うところです。
知らないうちにえびやかにを食べている場合も
おせち料理には、甲殻類が含まれていることが多いです。練り物やかまぼこ、または佃煮やちりめんじゃこなどにも、えびやかにが含まれてることがあり、知らないうちに食べてしまいアレルギー反応が起こる場合があります。
なので、「アレルギー反応のようなものが出たけど原因が分からない!」という患者さんはたくさんいます。ですがそのアレルギー反応が出ている患者さんをみて、「ひょっとして、甲殻類アレルギーってありますか?」と聞くと、「今日はえびもかにも食べてないですよ」と言われることがあります。
ご本人が気にして食べていなくても、何かの食べ物に甲殻類が含まれているか、もしくは甲殻類を調理した同じまな板を使って刺身を切る、ということでも反応が出ることがあります。
甲殻類アレルギーの人は貝類にも注意が必要?
えびやかにのような甲殻類と、イカやタコといった軟体類、それと貝類に関しては交差反応といったようなものがあります。例えば、えびアレルギーの約60%の人は、かにでもアレルギー症状を示すといわれており、甲殻類アレルギーの人は、軟体類、貝類にも約20%の人がアレルギー反応を起こしてしまうのです。
そして貝類に関しても、「甲殻類アレルギー」の約10%~20%くらいの人はアレルギーが出るともいわれています。
アレルギーには抗原(アレルゲン)というものがあり、えびやかになどの甲殻類に含まれているアレルギーのたんぱく質と似たような構造が含まれていると同じ反応を起こしてしまうんですね。
それが甲殻類と貝類では少し似通ったところがあるので、貝類も注意した方がいいです。
注意すべき症状は、息苦しさと呼吸困難
甲殻類アレルギーの反応は、蕁麻疹(じんましん)やお口の中のかゆみなどから発生することが多いですが、時に呼吸困難などが起こりうるため注意が必要です。
喘息のように気管支が細くなり呼吸困難が起こる場合や舌・唇・喉頭が急激に浮腫み(むくみ)、息苦しくなることがあるのです。
アレルギーの症状を緩和するには?
甲殻類にしてもそうですが、貝類やそば、花粉症でもヒスタミンという物質が出て、それによって反応して蕁麻疹が出たり息苦しくなったりします。
なので、抗ヒスタミン薬を飲んでおくと、食べ物のアレルギーが出にくいかと思います。抗ヒスタミン薬を服用しておいた方が、アレルギー症状が出ても治まりが早いです。
編集部コメント
「本人が意識せずに、おせち料理に入っている紅白かまぼこや佃煮を食べて甲殻類アレルギーを起こすケースがある」と小川智也先生。
また、えびやかになどの甲殻類にアレルギー反応が起こる人は貝類やイカ・タコも気をつけた方が良いとのことでした。日頃、食品などのアレルギーが気になる人は、抗ヒスタミン薬などの予防手段を病院で相談してみてはいかがでしょうか。
取材日:2019年12月13日
プロフィール
救急科専門医 MBA
2002年 山田赤十字病院勤務
2004年 大阪府立千里病院救急センター勤務
2005年 国立病院機構大阪医療センター救命救急センター勤務その後も、プライマリ・ケアから高度救命救急医療に至るまでの知識と技能を幅広く習得。
国内トップクラスの症例を誇る医療機関で救急医療を実践する傍ら、
英国MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)資格を取得し、
救命治療・集中治療に限らず、ドクターカーで災害現場に出向き医療を行う等、救急災害医療にも従事。2012年 英国国立ウェールズ大学院MBA取得
医師としての専門的視点とMBAとしての経営的観点を交えた広い視野で国内の医療システムの問題点解決に向けた取組みを行うべく、現職のMRT株式会社に入社。医療課題の解決を事業に活かすべく医師の視点を活かし、ITを活用した医療サービスを提供。2019年4月 MRT株式会社代表取締役社長に就任
2019年11月 ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社である、MONET Technologies株式会社が設立した「MONETコンソーシアム」に参画
自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を融合させたAutono-MaaS事業へ、他の参画企業と連携しながら
「移動における社会課題の解決や新たな価値創造」という目的において医療分野での社会的課題を解決する新たな
サービスの創造を目指す。
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