【現役形成外科医に聞く】子供の時にできた傷跡は大人になってからきれいになる?
今回はきずときずあとのクリニック豊洲院の村松英之院長にお話しを伺いました。
「子供の時にできた傷跡は大人になってからきれいになるのか?」など、なかなか治療で受診したときには聞けないようなお話を聞いてきました。
いまどきの治療現場について大変興味深い話を聞くことができました。
形成外科と整形外科はどう違う?
形成外科は整形外科と全く違う科になります。
形成外科は何をしているところかというと、大きく4つのものがございます。
①皮膚のできもの(皮膚腫瘍)
②「先天的に何か奇形を持っている(例えば口唇口蓋裂という唇が荒れていたりとか、耳がおかしかったりする方、耳の形が変になっている方)
③怪我や火傷
④再建(乳房など)
その4つを通じて外観とか機能を再建することによって、その人のクオリティオブライフ(QOL)といって生活をよくすることが形成外科の一番の根本になっております。
整形外科というのは、機能とかも治しますが、折れた骨を治したり、怪我を治したりとかなので似ている部分もありますが大きく違ってきます。
子供の頃に出来た傷は大人になってからきれいになりますか?
大人になってからもたくさんの治療法はあります。
一番よくあるのは手術で大きなあざとかを切って取るとかもあるのですが、最近ではレーザーの進歩など非常に優れたものがあります。
特に保険治療で出来るレーザー治療などもありますので、大人になって治療法なんてないよと思っている方もたくさんいらっしゃいます。
例えば子供のときに病院を受診してレーザー治療できませんかと聞いて断られた方も10年くらいたっていると世の中が進歩していてレーザー治療ができるようになっている場合もございますので大人になっても子供のときに断られたからダメだったのではなく、諦めずにもう一度相談していただくことをおすすめします。
5~10年前に比べてどのような患者さんが増えてきましたか?
当院では怪我や火傷や傷跡などを治療するクリニックではありますが、以前に比べて怪我や手術などの傷跡に対して非常にきれいになってほしいと考える方は多いと思います。
以前は、怪我や火傷をしても治ればいいという方がほとんどでしたが、最近は治るのは当たり前でそこからどれだけきれいに治るということを気にする方は多いと思います。
最近、相談が多い治療と、おススメする治療方法を教えてください
最近当院で多いのは傷跡の悩みの中で、傷跡の悩みが非常に多いのですが特にリストカットの患者さんが多いです。
例えば若い頃(10代の頃)にリストカットをしてしまってそれに悩んでいる方、特にお母さんなど女性が多いのですが、子供に対してなんて言うふうにこの傷跡を説明したらいいのかわからないとか、レーザー治療をしてきたけれどもなかなか治らないとか、そういう方に対して治療を行っています。
戻し植皮というそこの皮膚を一度とってしまってまた植えるような手術を当院ではしております。
そのあとの傷跡を全く違う傷跡に変えるのでリストカットに悩んでいる方には非常におすすめの治療だと思います。
先生が注目されている最新治療について
一番はやはりレーザー治療です。以前に比べて、例えば傷跡などもレーザーによって少しずつ目立たなくさせるという治療も出てきています。ただまだまだ不十分な部分もありますので今後もっとレーザー治療が進んでいって傷跡に対してももっともっといい傷跡の治療が出来るんじゃないかと注目しています。
もう1つは、脂肪移植です。これは形成外科に特化しているものではありますが、例えばどっか組織がなくなってしまった方に脂肪移植をする。傷跡で凹んでしまった場所に脂肪移植をするなどは今後メインの治療になってくるではないかと思っています。
先生ご自身が病気にかかった際に、相談に行く先生を教えていただけますでしょうか?
やはり自分は大学病院で勤務して、これまでの友人関係などもありますので大学時代の友人などを頼って診てもらうことになるかと思います。
形成外科を受診することに悩まれている方にメッセージお願いします。
形成外科は、まず何でかかっていいかわからないという方やどこにあるかわからないという方が非常に多いと思います。
今はホームページなども色々とありますし、形成外科の学会などみていただければどこに形成外科の医師がいるか、どこの施設・どこの病院で形成外科を診てくれるか、どんな病気があるかなどはすぐにわかる時代になってきています。
今まで傷と怪我とか火傷とかそういうものでどこへかかっていいかわからないという方は、是非一度近くの形成外科を受診してみてください。
そこで何かヒントとか治療できるとこがあるかと思いますので是非一度ホームページなどを見て、受診していただければと思います。
医科歯科ドットコム編集部コメント
インタビューをしていて感じたのは、村松院長は単に傷を治すだけでなくその傷を負った患者さんの気持ちをくみ取った治療をされているという印象を受けました。
傷は治れば痛みは引きますが見た目による心の痛みは尾を引きます。
医療の最前線ではそんな患者さんの気持ちに寄り添った進歩を遂げていると感じさせてくれました。
取材日:2019年7月2日
プロフィール
院長
村松 英之 医師
福岡和白病院 形成外科
西尾市民病院 形成外科
埼玉県立小児医療センター 形成外科
聖マリア病院 形成外科
太田西ノ内病院 形成外科
前橋赤十字病院 形成外科
KK Women’s & Children Hospital Plastic Surgery,Singapore
昭和大学形成外科
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