最近食事が偏りがちじゃないですか?ファストフードが虫歯の原因になる4つの理由
もちろんファストフードにもさまざまなメニューがあり、全てが体に悪いというわけではありません。
しかし、ファストフードばかりを食べ続けると、どうしても油脂や糖分・塩分過剰になりやすく、栄養が偏りやすいという問題点が挙げられます。
さらに、ファストフードの多食は虫歯の原因にもなりやすいとされ、その具体的な理由が4つ挙げられています。ここでは、その4つの理由を紹介します。
1.炭水化物や糖分の摂り過ぎ
昔から「甘い物を食べると虫歯になる」とよく言われます。
その理由は、食事後に口腔内に残った糖分が菌の栄養源となり、口腔内に多数生息する虫歯の原因菌が糖分を酸に変えてしまうからです。
そして、その酸によって歯が侵され、穴があいてしまった状態を「虫歯」といいます。
また、ご飯やパン、パスタなどの炭水化物も口腔内の酵素(アミラーゼ)によって糖に変化していきますから、やはり菌の栄養源となり、虫歯の原因になります。
ファストフードの食材の中心はパン・パスタ・ご飯などの炭水化物で、これらは甘みの強いドリンクやデザートと一緒に食べられることが多いと思います。このため、虫歯の原因となりやすいようです。
2.唾液不足で歯が再石灰化できない
ファストフードは、あまり噛まずに飲み込める柔らかいメニューが中心です。
そのため忙しく時間がないときでもパパッと空腹を満たせるというメリットがある反面、ファストフードばかりを食べていると、あまり噛まずに短時間で食事をしてしまうという好ましくない食習慣が身についてしまう可能性もあります。
食べ物をよく噛まずに短時間で飲み込んでしまう習慣がつくと、食べ物を消化するために必要な唾液が十分分泌されません。唾液が分泌されるメカニズムはおよそ次のとおりです。
A.食べ物を見て、臭いをかぐと、条件反射で唾液の分泌が始まる。
B.食べ物が口に入ると、舌の粘膜が刺激(味覚)を感じ、また口腔内や歯が食べ物の存在を確認する。これらの刺激が神経で脳に伝達される。
C.脳は耳下腺・顎下腺・舌下腺という3つの大唾液腺に「唾液を分泌するように」という指示を送り、本格的な唾液の分泌が始まる(唾液をおもに分泌するのは大唾液腺ですが、そのほか、多くの小唾液腺があります)。
このため、食べ物をしっかり噛めば噛むほど唾液の分泌が活発になりますし、十分な量の唾液が分泌されるためには、ある程度時間をかけて食事をすることが必要です。
しかし、オーダーするとすぐに食事が提供され、あっという間に食べ終えてしまうファストフードでは、本格的に唾液が分泌される前に食事が終わってしまいます。
では、なぜ唾液が十分に分泌されないと虫歯になりやすくなるのでしょうか。
虫歯の原因は、口腔内の虫歯菌がつくる酸であることはすでに説明しました。
この働きをもう少し詳しく説明しましょう。菌がつくる酸は歯の表面からリン酸カルシウムなどのミネラルを奪う「脱灰」という現象を引き起こします。
脱灰が続くと歯の表面はしだいにスカスカの状態になり、ついに虫歯になってしまうのですが、唾液に含まれたミネラルが歯に補給されることで「再石灰化」という現象が起き、歯は健康を取り戻すことができます。
しかし、唾液が十分に分泌されないと歯は酸に奪われたミネラルを補給できないため、次第に虫歯が進行していきます。
3.柔らかい食べ物は歯にこびりつきやすい
ファストフードの食材には、油脂を多く含み、粘着力が高く、ベタベタと歯にこびりつきやすいものが多くみられます。
また、唾液には歯にこびりついた食べかすを洗い流す作用もあるのですが、上で説明したようにファストフードの食事では唾液が十分に分泌されないことが多いため、唾液の洗浄力も期待できません。
この結果、ファストフードを食べた後にすぐデンタルケアをする習慣がない人の口腔内は、長時間にわたって歯に食べかすが付着した状態が続き、虫歯菌の原因菌によってつくられる歯垢が溜まりやすい状態になります。
歯垢は虫歯菌の塊であり、食べかすよりもさらに強い粘着力で歯と歯の間や、歯と歯茎の間など除去しやすい場所に溜まります。
ファストフードをよく食べる人は、一般的な食生活をしている人よりもさらに歯磨き・デンタルフロスなどのデンタルケアを熱心にする必要があると言えます。
4.食物繊維(野菜など)が不足している
食物繊維を多く含む野菜は、飲み込むまでにしっかり噛む必要があるため唾液の分泌にも大いに役立ってくれますが、噛みしめる際に、歯の表面についた食べかすや歯垢などをかき落としてくれる作用もあります。
もちろん「野菜をしっかり食べれば歯磨きは不要」などという極端なことは言えませんが、直接的にも間接的にも歯垢を減らし、歯を虫歯になりにくい状態に保つために役立ってくれるでしょう。
さらに、食物繊維を多く含む根菜類などは噛み応えが強く、よく噛むことで顎の筋肉が活発に動き、また歯茎にも適度な刺激を与えてくれるため、口周りのマッサージ効果が得られます。
これによって歯茎や口腔内の血行がよくなり、虫歯や歯周病になりにくい環境を得られます。
ところが、ファストフードのメニューでは十分な量の野菜を摂ることは簡単ではありません。
ファストフードを食べた日の夕食などは根菜類や豆類など、食物繊維を豊富に含み、噛み応えのある食材をふんだんに使った料理をゆっくり食べるのがおすすめです。
医科歯科ドットコム編集部まとめ
「ファストフードは健康に良くない」という話はよく耳にするかと思いますが、歯の健康にとってもあまり良くありません。
食事が偏りがちという方は、栄養のバランスだけではなく虫歯にならないようも気をつけてみてはいかがでしょうか。
<参考>
炭水化物・糖質
編集部コメント
バランスの良い食事を心がけて歯も体も大切にしたいですね。
監修日:2019年11月13日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
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