知ってる?体にやさしい「まごわやさしいの法則」を歯科医師が答える!
「まごわやさしいの法則」という言葉をご存じでしょうか?
「まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ、いも」といった伝統的な和の食材の頭文字を並べたもので、日本人が現代の食生活で不足しがちな、そしてだからこそ積極的に摂取したい食材のキーワードとして、ダイエットや生活習慣病の予防によく用いられています。
「まめ、ごま、わかめ……。うーん、体に良いのはなんとなくわかるような気がするけれど、どれも地味な食材だし『なんでそれなの?』という感じ。いまひとつピンとこないなあ。
それにダイエットならともかく、なぜ歯にもいいの?」と不思議に思う人もいるでしょう。
そこで今回は、「まごわやさしい」の大切さや魅力、そして、どうしてこれらの食材が歯にいいのかについて掘り下げてみたいと思います。
「まごわやさしい」の深い意味
「まごわやさしい」の各項目をもう少し深く掘り下げてみましょう。
●ま
豆類。大豆、小豆、黒豆など私たちの生活によく登場する豆類は、乾燥重量のほぼ半分以上が炭水化物ですが、良質なたんぱく質を20%も含み、脂質はわずか2%程度です。
また、多くの豆がビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群を多く含み、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛といったミネラル分も豊富です。
さらに、豆類に含まれるたんぱく質には、人間の体内で合成できない必須アミノ酸が豊富に含まれているため、豆とご飯を一緒に食べる食文化は、栄養バランス面でも非常に優れています。
「炭水化物が多いのなら、ダイエットによくないのでは?」と心配する方もいらっしゃるでしょう。
しかし実際には、豆類には白米の約10倍ものビタミンB1が含まれているので、糖質を効率的にエネルギーに転換して太りにくく疲れにくい体づくりに役立ちます。
豆類に豊富なミネラル分は歯の再石灰化に欠かせません。
また、豆類にはごぼうの2倍、さつまいもの3倍もの豊富な食物繊維が含まれており、適度に噛みごたえがあるため、歯茎に適度な刺激を与えて虫歯予防の効果が期待できます。
口内環境を整えて免疫力UP!歯の再石灰化も助ける食材ラインナップ!
●ご
ごまだけでなく、クルミなどのナッツ類を含みます(ごまも種実類で、立派なナッツの仲間です)。
これらの食材には抗酸化作用があり、活性酸素の排出に役立つため、歯茎などを中心とした歯周病予防にも効果が期待できます。
●わ
わかめ、昆布、ひじき、海苔など、日本の伝統的な食卓には海藻が豊富に並びます。
海藻は天然ミネラル分の宝庫で、歯の再石灰化に欠かせないカルシウムも豊富です。
また、虫歯菌の栄養となる糖質が少なく、よく噛まないと飲み込みにくい海藻が多いことから歯の再石灰化を助ける唾液の分泌を促します。
●や
野菜類全般です。
まず緑黄色野菜はベータカロテンや抗酸化作用のあるビタミンB2、Cなど、さらにカリウム、カルシウム、鉄などのミネラル分が豊富です。
また、食物繊維が豊富ですからよく噛むことになり、海藻と同様、唾液の分泌を促します。
続いて根菜類ですが、これは緑黄色野菜に比べてビタミン類は少ないものの繊維はさらに多く、繊維が食べ物のカスを掃除して歯垢(プラーク)ができにくい口内環境を整えてくれます。
えっ、そんな働きまで? 身近な食材に意外な新発見!
●さ
さかな、つまり魚類全般を指しますが、特に青魚は、善玉コレステロールを増やすαリノレン酸、DHA、EPAなどのオメガ3不飽和脂肪酸が豊富です。
煮干し(カタクチイワシなど)や目刺し(ウルメイワシ)、イワシ・サンマ・アジ・サバなどの大衆魚(今は高級食材化してきていますが…)は、伝統的に日本人の食卓を賑わせてきました。
もちろんカルシウムの宝庫でもありますが、オメガ3脂肪酸であるDHAやEPAには抗炎症作用があり、歯周病の発生や進行を抑える働きをしてくれます。
●し
しいたけを筆頭にビタミンDを豊富に含むキノコ類全般を指します。
日本の「だし」に欠かせない干ししいたけなど、加工品の栄養価の高さも見逃せません。
また、キノコ類にはフィトケミカル(植物由来の抗酸化力や免疫力を高めてくれる物質)が豊富で、しいたけの抽出物であるSF4は歯の脱灰を抑制することで、虫歯の予防や進行を抑える効果が期待できます。
●い
いも類を指します。
伝統的な和食にはジャガイモやサツマイモのほか、山芋や里芋などさまざまないも類が取り入れられてきました。
豊富な食物繊維によって、豆類や野菜類と同様、口内環境を整えてくれる働きが期待できます。
また、伝統的な和食ではいも類をシンプルに焼く・蒸す・煮る・干す(干しいも)などの方法で間食にすることも多く、「砂糖類を使わない自然な甘さを持つおやつ」として虫歯の予防にも役立てられそうです。
まとめ
いかがでしたか?「まごわやさしい」の大切さを知り、新たな魅力を発見していただけましたか?身近で地味だからこそ忘れられがちな「まごわやさしい」。
ファーストフードなど便利な食べ物が食される事により、今まで日本人が大切にしてきた食材の使用頻度が少なくなった事で、虫歯や歯周病をはじめ、私たちを悩ませるさまざまな生活習慣病の大きな原因となったのかもしれませんね。
もちろん、いきなり「昔の日本人の食生活に戻れ!」と言われても、私たち現代人にとっては困難なことかもしれません。
しかし、昔ながらの知恵を賢く現代の食生活に取り入れていく工夫も大切なのではないでしょうか。
医科歯科ドットコム編集部コメント
最近は海外セレブの間でも日本食が話題になっていますが、やはりとっても体に良いんですね。
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監修日:2020年01月06日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
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