【医師が解説】「自宅でできるがんチェック!」がん予防の為に避けるべき生活習慣
「がんを治す時代から予防する時代へ」2人に1人ががんになると言われていますが、がんを予防できればその数字は変わっていくはずです。2020年2月15日(土)、江戸川病院主催の講演会が開かれました。
本講演では、江戸川病院腫瘍血液内科副部長の明星 智洋(みょうじょう ともひろ)医師が登壇し、「正しいがん検診の受け方」について解説します。本パートでは、自宅でできるがんチェックと、がん予防の為に避けたい生活習慣について取り上げています。
明星医師は、がん診療の最前線で現役の医師として活躍しており、日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医、そして日本血液学会認定 血液専門医でもあります。
自宅でがんチェック!まぶたの裏側が白くなっていたら注意
明星 智洋 医師:がん検診は基本的に病院で検査するしかありませんので、自宅でできるがんのチェック方法をお伝えしたいと思います。その方法をふたつ、お教えします。
ひとつ目は、あっかんべーです。鏡の前で目の下を指で引っ張り、まぶたの裏側を見てください。見る部分は黒目でも白目でもなく、まぶたの裏側のピンクの部分です。
この部分がいつもと違って白くなっていたら、貧血があるというサインです。貧血があるということは、どこかで出血しているか、がんの可能性があります。
普段はピンクなのに急に白くなったら、すぐに病院に行っていただいた方がいいです。これは非常に簡単にできますので、毎朝顔を洗うときに鏡の前であっかんべーをして、健康チェックをしてほしいと思います。
自宅でがんチェック!リンパ節を触って腫れがないか確認
もうひとつ、自宅でできるがんのチェック方法は、リンパ節の触診法です。リンパ節を触ってチェックするということです。
リンパ節は全身にあります。頭の先にはないですが、耳のあたりから足の付け根くらいまで全身にあります。お腹の中や胸の中にもあります。
内臓に近いリンパには触ることはできないですが、身体の表面で触ることができるリンパもあります。
まず首です。人差し指と中指の2本をくっつけてピースを閉じるようにし、首の側面を、円を描くように触っていきます。また、あごの下、鎖骨の上、わきの下、足の付け根などでチェックできます。
鎖骨の上が腫れていると、乳がんや胃がん、大腸がんの可能性があります。特に左側の鎖骨が腫れると、がんの可能性が高いです。
わきの下は動脈や神経がたくさん通っていますが、リンパも通っています。わきの下が腫れると乳がんや肺がんの可能性があります。
お腹の中や胸の中は触ることが難しいですが、足の付け根は触ることができます。服を着ている状態ではなかなか難しいので、お風呂に入ったときにやっていただくといいと思います。
リンパ節のチェックは、月1回くらい日を決めて行う
リンパ節は、昨日なかったのに今日できるというような、急に現れるものではありません。ゆっくりと徐々に大きくなってくるものなので、毎日やると分からなくなってしまいます。
月に1回くらい日を決めて、お風呂に入ったときに石鹸を付けた手で、2本指か3本指で円を描くように触って、「先月と違うものがあるな。」と感じたらリンパ節かも知れません。
そういうときは、早めに病院へ行っていただきたいと思います。このふたつが、自宅でできるがんチェックの方法です。
がん予防の為に避けたい生活習慣!一番ダメなのは喫煙
その他、これは絶対やってはいけないという習慣があります。がんになりやすい習慣です。なんとなく分かっていると思いますが、たばこは絶対にダメです。
喫煙が及ぼす影響は、肺がんや食道がん、胃がんや咽頭がん、喉頭がんだけでなく、膀胱がんのリスクも増えます。直接関係がないように思いますが、統計学的にはそのように出ています。
たばこを吸って寿命が増えるというデータを、私は一度も見たことがありません。たばこは吸わない方がいいでしょう。
がん予防の為に避けたい生活習慣!肥満と過度な飲酒にも注意
肥満もがんのリスクがあります。乳がんや子宮体がん、大腸がんも太っている人ほど、がんになりやすいと言われていますのでダイエットが必要です。
もうひとつ、過度な飲酒も良くないです。お酒を飲みすぎると食道がんや肝臓がんのリスクが高くなります。ただ、一滴も飲まないと人生楽しくないですよね。私もお酒が大好きで毎日飲んでいますが、適量であれば大丈夫です。
適量とはどういう量でしょうか?一日あたり、純アルコールで20gまでならいいですと厚生労働省が言っています。具体的には一日あたり、ビールなら500ml、ワインならグラス2杯、焼酎なら0.5合、日本酒なら1合までであれば、毎日飲んでも大丈夫です。
それを超えると過度な飲酒になります。これを参考に、適量の飲酒に努めていただけたらと思います。まずは、がんにならないように、こういう生活に気を付けていただくことが重要だと思います。
がんは遺伝するの?たばこはどれくらい悪い?がんに関する疑問の本を出版
がんは遺伝するのか?がんは人からうつるのか?たばこはどれくらい悪いのか?禁煙しらたリセットされるのか?もしがんになってしまったら、どうしらたいいのか…?
こういった疑問について、『先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』という本にたくさん書いています。本講演で話した、がん検診の受け方についても詳しく書いていますし、次世代がん治療についても書いております。
2019年、すばる舎から出版されています。1,600円(税別)で販売されていて、Amazonでも購入が可能です。宜しければ読んでいただければと思います。
医科歯科ドットコム編集部コメント
この日、小岩アーバンプラザの会場には、300人近い聴講者で大盛況でした。誰もが、できれば健康で長生きしたいと思うようで、健康情報への関心の高さが伺えます。
がん検診を受けることも重要ですが、自分で身体の状態を把握することも大切です。セルフチェックを行うことや生活習慣を整え、がんになりにくい体つくりをしていきましょう。
<講演概要>
テーマ:「正しいがん検診の受け方」
開催日:2020年2月15日(土)
主催:江戸川病院地域連携室
後援:江戸川区ほか
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講師プロフィール
腫瘍血液内科副部長
明星 智洋(みょうじょう ともひろ)医師
<資格>
日本内科学会認定内科認定医
日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、指導医
日本血液学会認定血液専門医、指導医
日本化学療法学会認定抗菌化学療法認定医、指導医
日本癌治療学会認定がん治療認定医
インフェクションコントロールドクター(ICD)
Total nutritional therapy修了
<略歴>
2001/3 熊本大学医学部卒業
2001/4 岡山大学医学部附属病院腎・免疫・内分泌・代謝内科
2001/10 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 内科
2003/4 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 血液内科医員
2004/4 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 血液科
2005/4 癌研究会有明病院 化学療法科・血液腫瘍科
2009/4 江戸川病院 腫瘍血液内科
2009/10 同医長
2012/4 同副部長
2016/1 東京がん免疫治療センター長(兼任)
2016/10 Hyper medical creator就任
2018/2 プレシジョンメディスンセンター長(兼任)
<専門分野>
がん薬物療法(抗がん剤治療)血液疾患(良性・悪性含む)
感染症管理、免疫療法日々、市中病院にてがん診療の最前線で抗がん剤中心の治療をおこなっている。
Hyper medical creatorとして、上場企業やベンチャー企業と、医療現場をつなげることをライフワークとしており、ユーグレナ、資生堂などとも連携している。
オンライン診療や栄養、人工知能、職場の環境改善など幅広い領域で、橋渡しをおこなっている。
その傍ら、趣味として梅酒が健康にどう影響するのか、どの料理と合うのかなど探究し、一般社団法人梅酒研究会設立、全国での梅酒まつりや品評会を主催している。
<出演・監修>
朝日放送 たけしの『みんなの家庭の医学』出演
映画『ゆめはるか』医療監修、出演
映画『サクラ花』医療監修
土曜ワイド劇場『切り裂きジャックの告白』医療監修
映画『うまれる ずっといっしょ。』アドバイザリーボード
その他、新聞などのメディアへの掲載多数
著書『先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』(すばる舎)
<その他>
株式会社オリィ研究所 顧問
株式会社マイロプス 顧問
一般社団法人梅酒研究会 代表理事
MRT株式会社 取締役
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