【薬剤師に聞く】「高血圧」風邪薬でさらに血圧が上がるリスク!?葛根湯なら大丈夫?
市販の風邪薬を買う時に、注意書きはチェックされていますか? 風邪の様々な諸症状に効くとうたっている薬は複数の成分が使われているので、副作用が起こる可能性も様々です。
今回は特に高血圧の方に気を付けていただきたい成分について、薬剤師の 成田 理恵(なりた りえ) さんに教えていただきました。
風邪薬の中には血圧を高める成分もある
風邪薬には血圧を高める副作用を起こす可能性がある成分が配合されていることがあります。「メチルエフェドリン」や「プソイドエフェドリン」がそれにあたります。
メチルエフェドリンは呼吸を楽にして咳の症状を緩和する成分でして、プソイドエフェドリンは交感神経を刺激し、血管の収縮作用により鼻粘膜の血管に血が溜まった状態である、うっ血を改善し鼻づまりを緩和します。
これらは、血管を収縮させる作用により、血圧を上昇させる作用があるため注意が必要です。
葛根湯など漢方薬も注意が必要!
風邪の初期に飲まれる方も多い葛根湯には、マオウ(麻黄)、カンゾウ(甘草)が含まれていますので、飲み合わせにはご注意ください。
花粉症などの鼻炎症状に使われる小青竜湯にもマオウ、カンゾウが含まれています。
特に複数の漢方を服用している方はカンゾウが重複している可能性があるため注意が必要です。
[マオウ・カンゾウの成分と作用]
― マオウ(麻黄)
主成分にエフェドリン類という交感神経刺激作用により末梢血管収縮をさせる成分がありますので、血圧の上昇に関係する可能性があります。
― カンゾウ(甘草)
グリチルリチン類という成分になります。水分貯留と言ってナトリウムや水分を溜めることによりカリウム排泄を促進をすることによる、偽アルドステロン症という副作用があり、それにより血圧上昇やむくみが起こる可能性があります。
長期的に服用する場合は成分の重複に注意!
漢方薬であっても、薬の成分の重複はできるだけ避けていただきたいことです。
購入の際にひとつずつ成分をチェックしていただき、成分が重複してしまった場合は許容の範囲なのかを薬剤師などにご相談いただければと思います。
特に長期に渡り服用するお薬ですと、副作用のリスクが上がることが心配されます。
薬の成分を増やしたからといってその分、効果が出るわけではなく副作用が出る可能性もありますし、飲む必要のないものは飲まないほうがいいということを意識いただければと思います。
「鼻づまりに効く」が要注意ワード
鼻づまりは血管の拡張が原因となって起こるのですが、解消するために血管収縮剤を使うことがあります。
血管収縮剤は血圧が上がる可能性がありますので、血圧の高い方は避けたほうがよいかと思います。
風邪薬の箱に「鼻づまりに効く」などのコメントが書いてあるものは避けたほうがいいかもしれません。
血圧をしっかりコントロールされている方で鼻詰まりがつらいという方は、薬剤師や医師に相談をして、必要に応じ最小限で使用してください。
医科歯科ドットコム編集コメント
風邪の薬とまとめがちですが、専門家である薬剤師さんに教えていただくとそれぞれ成分が違い、作用も決まっていることが分かりますね。
多様な成分や副作用を覚えて選ぶのは大変なことですので、持病がある方に限らず、不安に思われたら薬剤師さんやかかりつけの先生に相談して、ご自分の身体にあった薬を選択ください。
取材日:2020年2月26日
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プロフィール
成田 理恵 (なりた りえ)
昭和大学卒業
ミネ医薬品株式会社にて11年勤務
ヨガのインストラクターを取る為同社退職
結婚後現在も薬剤師として勤務
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