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2020-03-30 掲載

医療を受ける子どもにとって重要な「遊びの専門家CLS」【専門職インタビュー】

 
病院にかかる子どもは、大人に比べて多くの不安を感じています。
 
そのような医療を受ける子どもたちを支える存在として、チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)がいます。
 
まだ日本では全国32医療機関と拡大の途中ですが、すでにアメリカでは小児医療には欠かせない存在と言われています。
 
今回は、CLSはどのような役割と業務を担っているのか、またその中で重視される「遊び」はなぜ大事なのかをCLS協会の会長を務める井上 絵未(いのうえ えみ)さんに、お伺いしました。
 

 

CLSは医療に受動的になりがちな子どもを「遊び」をベースに「支え」、復帰に「繋げていく」

チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)が取り組んでいる業務を私は3つの柱で捉えています。
 
1)遊ぶ:子どもの強さを引き出し、入院生活を充実させるサポート
まず大事な柱として、重視しているのは遊ぶことです。
 
お子さん自身が十分に遊べる環境があること、専門職である私たちCLSと一緒に遊ぶこと、そして親御さんとお子さんが遊べるということも重要です。また医療者ともできれば遊んでほしいと思います。
 
この遊ぶということは、CLSが行う支援において、一貫して重要な軸となっています。
 
2)支える:医療・病気と向き合う力のサポート
2つ目の柱は支えることです。病院に来るお子さんは皆さん病気や怪我をしてらっしゃるので、その治療と向き合う為、検査への心の準備や、病気の理解などを含めたサポートを行います。
 
3)整える、つなげる
病院から子どもたちが退院して、元の社会に帰っていくとき、どのように繋いでいくか、整えていくか、というのが3つ目の柱になります。
 
学校との橋渡しや、大人になっていくにあたっての支援などを行います。

 

遊びは子どもにとって多くの意味のある活動

遊びは子どもの発達にとって欠かせない活動です。
 
身体的な発達はもちろん、物事の捉え方に関わる認知的発達、感情を豊かに広げていく情緒的発達、他者との関わりを広げる社会的発達と様々な側面が遊びによって促されていきます。
 
また、遊びは子どもが自由に自分の思うままに行う活動でもあります。
 
その自由な活動の中でストレスや不安が軽減されることもあれば、言葉にならない気持ちが表出、発散される場合もあります。
 
遊びは、子どもにとってただ楽しいというだけでなく多くの意味をもつ活動といえます。

 

子どもを理解するために遊ぶ

子どもの発達は、それまでの経験や個性などによって個人差が非常に大きいものです。1人1人の知識や使う言葉も違えば、得意なことや好きなことも異なります。
 
そのようなお子さん1人1人をよく知るためには、大人に行うような言葉での問診では不十分なこともあります。
 
専門職の視点をもってお子さんと遊ぶことでより深くそのお子さんを理解していくことが重要となります。

 

知り合いを増やし居心地をよくするためにも遊びを活用する

一緒に遊ぶことで、CLSは子どものことを知れますし、逆に子どもにも知ってもらうことができます。
 
病院が知らない人だらけの環境でなく、一緒に遊んで楽しませてくれる知り合いのいるところ、と変わります。それが信頼関係の土台になります。
 
またそれを目的に医師や、看護師など、医療従事者と子どもの関わりを取り持つこともあります。
 
例えば、私が子どもとベッドサイドで黒ひげ危機一髪ゲームで遊んでいるときに医師が訪れるとします。私はその医師を誘って1本剣を刺してもらいます。
 
ほんの数秒、数分でも遊びに加わってもらうことで子どもにとって「ただのお医者さん」が「一緒に遊んでくれた人」になります。
 
そのように「知っている人」が増えることでも子どもの居心地がよくなるきっかけになります。

 

セラピュティック・プレイ(治癒的遊び)で課題や困難に向き合う

子どもが抱えている課題や困難と向き合い、解決していくことも目的としたセラピュティック・プレイ(治癒的遊び)という関わりがあります。
 
提供する側としては意識的に行いますが、子どもにとっては特別というふうにせず普段の遊びの中に取り込みながら行います。
 
例えば採血が苦手なお子さんがいたとして、普段色んな遊びをしている中で、今日はちょっと違う遊びも用意してきたよ、と選択肢として提案します。
 


 ― 実際に子どもが遊ぶ、お医者さんごっこセット

 
いつも遊びはいくつかの選択肢から選んでもらうのですが、選択肢の中にお医者さんごっこや工作の提案の1つとして注射器(シリンジ)を使ったものを入れておきます。
 
注射器で色水を吸って、色を混ぜていくような工作などです。
 
自分が注射をされるときは怖さでいっぱいですが、安心できる楽しめる環境で実際に注射器に触れてみることで理解を深めたり、恐怖心が緩和されることがあります。
 
いつもお医者さんが使っている物を今日は自分が使っていいの?とやりたがる子どもも多いです。もちろん、選ばないこともあります。
 
注射器を使った遊びの中で、その仕組みを知ったり、なんで血をとらないといけないんだろう、血をとると何が分かるんだろうというような話をして知識をつけていくと、自分が受けている医療行為や治療に興味を持つきっかけになります。
 
普段自分が受け身になってされていることを自分がする側になることで、されている行為への理解を深め、主体的にその行為を捉えることにもつながります。
 
子どもは自分がしたことのないことをされるのはとても苦手ですが、自分が知っていることや得意なことには自信をもって臨むことができます。
 
次に本当の採血の機会がきたとき、注射器をみて、僕はこの前これよりもっと大きいやつで遊んだよ!とか、引っ張るときすごくいっぱい力が必要なんだよね、という話になることも多いです。
 
このような積み重ねで、注射などが怖いだけの存在ではなくなっていくことを目指していきます。

 

CLSは子ども1人1人に「遊びを処方する」

「子ども」と一口に言っても、小児科には0歳から思春期のお子さんがいます。
 
発達段階ごとの特徴が様々にありますので、それを理解した上で遊びを絡めて専門的に関わっていく、というのがCLSの一番の特徴と言えます。
 
たとえば自信がなくなっている子がどうすれば自信が取り戻せるかなと言った場合、それでは好きなことを遊びの中に取り入れて、それをみんなに見てもらおう、などその都度その子、その課題に合わせて関わり方を検討していきます。
 
CLSは「遊びを処方する」と例えられることもあります。
 
何を一緒にすることでその子が向き合っている課題に変化を与えられるか、遊びの要素を取り入れながら関わっています。

 
取材日:2020年2月19日

 

プロフィール

井上 絵未(いのうえ えみ)氏
 
済生会横浜市東部病院こどもセンター チャイルド・ライフ・スペシャリスト
米国Association for Child Life Professionals(チャイルド・ライフ協会)認定チャイルド・ライフ・スペシャリスト
社会福祉士
 
〈経歴〉
2002年 立教大学コミュニティ福祉学部卒業
2003年 社会福祉士取得
2007年 米国カリフォルニア州ラバーン大学大学院教育学部チャイルド・ライフ専攻修士課程修了後、チャイルド・ライフ・スペシャリスト認定を受ける。
 
大学院在学中、米国カリフォルニア州CHOC Children’s(チョックこども病院)にて720時間(およそ半年)のチャイルド・ライフの臨床実習を経験。在学中、病院や病児キャンプでのボランティア活動に参加。
 
2007年7月より現職。済生会横浜市東部病院は、全国でも珍しい小児肝臓消化器科を有しており肝臓消化器慢性疾患の子どもたちへの心理社会的サポートを中心に活動を行っている。また、がん診療連携拠点病院・救急病院であり多部署・多職種との連携により子育て世代のがん患者、救命救急患者の子どものサポートに力を入れている。
 
2019年 チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会会長に就任。
チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会
医科CLS医療従事者井上 絵未 氏子ども
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