突然家族や友人から病気であること・余命何ヶ月であることを告げられたらあなたはどのように言葉を返しますか?
ある日突然家族や友人から突然病気であること・余命何ヶ月であることを告げられたとき、あなたはどのように言葉を返しますか?
この時の家族や友人の心理は一瞬では理解しがたいといえるでしょう。
医師からどのように告げられるのかは、経験者以外はドラマのシーンで思い浮かぶと思います。
もし身近な人から打ち明けられたら下記のことを考えると思います。
●どのような反応して良いのか
●どんな声掛けをしてあげたら良いのか
●言ってはいけない言葉はあるのか
●どのように寄り添ってあげたら良いのか
上記のことは経験がなくとも想像できるのではないでしょうか?
昔よりも医師も告知する場面が増えて、残された時間を有意義に過ごしてもらうことに目を向けてもらえるようになりましたが、問題もたくさんあります。
まずはどのように医師から患者へ告知がされるかを知りましょう。
病気を患者へ告知する時は、発見されたからといってすぐに伝えられるものではありません。
家族や家族同然の身近なキーパーソンとなる方と医師が話し合い、告知するべきかどうか患者の精神面も配慮し、予後のことも考えながら決断します。
病院によっては、家族と患者が同時に告知を受ける場合もあります。
注目すべきはインフォームドコンセント
告知とインフォームドコンセントは深い関係があります。
ただ病名を告げるだけではありません。
インフォームドコンセントは簡単に言うと、病気の状態や治療方法、リスクや効果などを医師から充分な説明をし、納得した上でサインするものです。
いわゆる「説明と同意」になります。
そのため、治療を開始することや緩和ケアを行うにしても、病気のことを本人が知り納得した上で治療を選択しなければいけません。
インフォームドコンセントでは何を説明されるか?
●現在考えられる疾患名
●疾患に対しての治療薬や検査について
●手術が必要な場合は手術方法・麻酔について・リスク等
●輸血の有無・合併症について
●延命措置の有無
●予後について
これらを、医師だけでなく看護師やソーシャルワーカーなども交えて行う場合もあります。
今や日本人の2人に1人はがんになるといわれているため、家族や身近な友人が告知を受けることは少なくないかもしれません。
私は以前、消化器内科と腫瘍内科の混合病等病棟に勤務していたため、がん患者の方や家族と接する機会が多かったのですが、告知された時の気持ちや心境を話してくれることもありました。
●がんと聞いた時、頭が真っ白になった
●真っ先に家族の顔が浮かんだ
●先生や看護師の話しが全く頭に入ってこなかった
●受け止めきれずとてもショックを受けた
●自分が死ぬことを突きつけられたようで電撃がはしった
など心境を打ち明けてくれました。
例えば「がん」の告知をされた時、下記のような心理をたどる「フィンクの危機モデル」があります。
第1段階
第一段階は衝撃というストレスが加わると、人間はパニック状態になり事態が把握できなくなります。医師から病名を告げられたことに対して「え?そんなこと嘘だ」「理解できない」などになってしまいます。
第2段階
第二段階は防御的退行であり、「私ががんなはずがない」「なにかの間違いじゃないですか?」と否定することで自分を守ろうとします。
第3段階
第三段階は承認になり、自分ががんであることを大きな不安や悲しみを示しながらすこしずつ受け入れ認めます。
第4段階
第四段階は適応となり、完全にがんと向き合い積極的に治療や検査を受けたり予後をどのようにして生きるか考え行動します。
このような段階をたどって病気と向き合うようになります。
第一段階の衝撃や第二段階の防御的退行の段階では、本人もパニックや無力状態であることが考えられます。
身近にいる家族や友人には「ほっといてほしい態度」をとったり悲観的な発言をしたりするため、家族や友人は頻回に声掛けをするよりは本人がぶつけてくる強烈な不安や悲しみを受け止めるように寄り添い傾聴することが望ましいでしょう。
第三段階目の承認は現実から逃げられないと悟り、現実を受け止め始めます。この時期に抑うつ状態になってしまう人も少なくありません。
この時期は現実と向き合い始め、第一段階とは違う不安が大きいため、一緒に現段階を再確認し励ましの言葉や治療することで改善するメリットなど伝え一緒に乗り越えていくことなど伝えましょう。
第四段階では病気を受け止め新しい自分の価値観を見いだし、前を向いて治療を積極的に行ったり、予後を充分にやりとげるための準備や行動をし始めます。
そのため、治療した良い結果やプラスになりそうなことは本人にフィードバックしていくことが重要となります。
上記のプロセスのように人間の心は段階を踏んで回復するように出来ています。
患者の口から出た言葉や感情をフィンクの危機モデルに当てはめて考えてあげると、今どのような接し方や声がけをしたら良いのか少し参考になると思います。
なにより大切なのは、がんに限らず短くも長くも病気とつき合っていかなければいけない状況に大切な家族や友人が置かれてしまった場合、側に寄り添い一人ではないことを伝えることが、病気と向き合うことができる一番の治療であると考えます。
プロフィール
水野 恵梨香 看護師
現在東京トータル美容クリニックに勤務。
幼少期アトピーで悩まされ肌にコンプレックスを抱き美容業界へ。
元エステティシャンであり社会人経て、東北大震災をキッカケに看護学校へ入学。
消化器内科・腫瘍内科を経て美容クリニックで介助や施術を行っている。
その他、美容や健康のコラムを執筆。
美容を健康面から考え役立たずに立てる情報を発信できるようにします
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