【医師が解説】心筋梗塞も?!インフル感染がきっかけとなる怖い病気!3月も注意
国内でも214人(2001年)から多い時には3325人(2018年)の死者数を出しているインフルエンザ。重症化や合併症が命に大きく関わります。
今年は例年より早く感染する人数が減ってきていますが3月もまだ流行シーズンであり、これからも毎年繰り返し訪れるリスクです。
今回はインフルエンザの合併症、重症化について津田 健司(つだ けんじ)医師に教えていただきました。
インフルエンザは多くの臓器に影響を与える
肺炎リスクが一番高い!細菌との合併感染でより重症に
インフルエンザの合併症は色々ありますが、一番多いのは肺炎です。
通常のインフルエンザの症状から進み、インフルエンザウイルスによるウイルス性の肺炎になることがあります。
最近話題になっているコロナウイルスの肺炎と同様に、ウイルスによる肺炎です。
これとは別に、肺炎球菌などの細菌感染による肺炎もあります。ウイルスと細菌は医学的に分けていますが、ウイルスに細菌が合併感染することがあり、その場合はよりひどい肺炎がおきます。
インフルエンザにはそういった合併感染での重症な肺炎が起こるケースがあります。インフルエンザでの肺炎と言っても、ウイルスだけの肺炎と、細菌との合併感染での肺炎という2パターンあるといういうことです。
心筋梗塞リスク6倍!?インフルエンザ回復後にも注意が必要
またこの頃の話題となっているのが、インフルエンザ後に心筋梗塞が多いというデータがニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという世界で一番有名な医学誌に乗りました。
この1-2年のトピックとなっています。
インフルエンザと診断されて7日以内は、心筋梗塞になるリスクが6倍になると言われています。
インフルエンザA型とB型のそれぞれのリスクの違いとしては、B型のほうが高く10倍と言われ、A型の場合5倍ほどと言われています。
これは感染のストレスによって血管に炎症が起こり、血管の内部が傷ついてしまったり、血栓ができやすくなってしまうのではないかと言われています。
研究では診断されてから7日間なので、普通の方はインフルエンザ自体が治ったと思われるその後でもリスクがまだ高いと考えられています。
インフルエンザ脳症など中枢神経へのダメージは未知も多い
主に5歳以下のお子さんに出ることで知られているインフルエンザ脳症ですが、けいれんや意味不明な言動、呼びかけに反応しない意識障害などが起きます。
免疫系の暴走や脳のむくみが原因と言われています。
この他、中枢神経と言われる脳や脊髄に炎症が広がり脳炎、脊髄炎などになることもありますが、頻度としては高くなく、わかっていないことも多いです。
医科歯科ドットコム編集部コメント
今年は大丈夫だったとしても、また来年もインフルの流行時期はやってきます。感染症が流行った時に重症化しないように、不調があれば医療機関にもしっかり頼り、リスクの回避をしていきましょう。
取材日:2020年2月12日
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プロフィール
<略歴>
1984年生まれ/千葉県出身
2003年開成高校卒業
2010年北海道大学医学部卒業/同年より亀田メディカルセンター初期研修医
2012年より同院血液腫瘍内科後期研修医
2013年より帝京大学ちば総合医療センター血液・リウマチ内科後期研修医
2014年より助手
2015年より帝京大学大学院医学研究科第一臨床医学専攻博士課程
2018年博士課程早期修了/博士(医学)
2018年合同会社ケンワーク代表社員
<資格>
日本医師会認定産業医
日本血液学会血液専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会認定医
抗加齢医学会抗加齢専門医
<YouTubeにて医学専門知識をわかりやすく解説中♪>
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