【医師に聞く!】最近よく耳にする「眼瞼下垂」ってなに?「眼瞼下垂」によってどんな症状がおこる?
最近、有名芸能人が治療したとのことで認知度が一気に広まった眼瞼下垂(がんけんかすい)。今回は眼瞼下垂をはじめとして、多くの方が気になるスキンケアやお肌の治療などについて医師の立場としてのお話しをビクアスクリニックの伊藤秀憲院長にお話を伺いました。
眼瞼下垂とは?
眼瞼下垂とはまぶたが下がって黒目がしっかり出ていない状態のことをいいます。簡単に言うと、リラックスした状態で正面から見て上まぶたが黒目に3㎜以上かかっている状態です。まぶたに関して、人は1㎜の差でもしっかり認識できます。上まぶたが黒目に3㎜以上かかっていると眠たそうに見えます。一方で黒目にかかる幅が1~1.5㎜程度であれば、ぱっちりとした目に見えます。
眼瞼下垂の原因は様々で、先天性のものもあれば、後天性のものもあります。最も多いのは、後天性で腱膜性眼瞼下垂と呼ばれるものです。これは、正常では瞼板に付着している挙筋腱膜が加齢やこすれ、ハードコンタクトレンズの長期装着によって瞼板から外れてうまく力が伝わらないことで目の開きが悪くなります。また、加齢の場合は上眼瞼皮膚弛緩症と言ってまぶたの皮膚のたるみが多くなり黒目を覆うことがあります。この上眼瞼皮膚弛緩症に加えて腱膜性眼瞼下垂も併発している状態を老人性眼瞼下垂とも言います。
眼瞼下垂によってどんな症状がおこりますか?
眼瞼下垂は黒目がしっかり出ていない状態を言いますので、人から眠たそうに言われたり目が小さくなったと感じます。
両眼に起こることが多く、物が見えにくくなるだけでなく、眉毛を上げて上まぶたを挙げる手助けをするため、おでこに皺が生じます。また、視野を確保するために顎を上げて物を見るようになります。その状態が続くことによって、眼精疲労や頭痛、肩こりや自律神経失調症(不眠、便秘、うつ状態)などが起こったりすることがあります。
また、目の開きは保たれていても二重の幅が広がったり、二重が乱れて三重になったりすることも眼瞼下垂を起こしているサインです。挙筋腱膜が瞼板から外れると奥に引き込まれます。その上にある眼窩脂肪も一緒に引き込まれる為、くぼみ目となります。上眼瞼皮膚弛緩症の場合、皮膚のたるみによって二重幅が狭くなったり、三角目になったりします。診察では、まぶたを挙げる機能がどのくらいあるのかを写真と実際に触診で行います。
その結果、眼瞼下垂と診断された場合は保険が適応されます。眼瞼下垂は自然軽快することはなく多くは進行性です。そのため治療は手術になります。まぶたのたるみ上眼瞼皮膚弛緩症の場合は、一般的に術後の仕上がりが自然な眉下切開を行うことが多いです。また、挙筋腱膜が外れたり緩んだりする腱膜性眼瞼下垂の場合は挙筋腱膜を瞼板に固定、短縮する挙筋前転術を行います。
⽪膚全層治療とは?(トータルスキンプログラムとは?)
当院で行っている皮膚全層治療であるトータルスキンプログラムは、患者様一人一人の肌の状態を専用の皮膚解析ソフトを用いて分析、診断して様々な機器を用いて皮膚全体の若返りを行うものです。お肌のくすみを改善し、シミを薄くするだけでなくシミ予備軍と呼ばれる将来出てくるシミの発生を抑えて、さらに皮膚にハリを出す治療です。まずお肌は紫外線や加齢とともに表皮のターンオーバーが遅くなり、ケラチノサイト(角化細胞)にメラニンが溜まることでお肌のくすみ、シミをもたらします。
また紫外線やお肌の炎症などによってメラニンを産生するメラノサイトの機能が亢進することでシミが出てくるだけでなく、将来シミとなる隠れシミがどんどん産生されてしまいます。トータルスキンプログラムではメラノサイトとケラチノサイトそれぞれにアプローチすることで、今見えているシミやくすみを改善するだけではなく、シミ予備軍の発生も抑えることでシミになりづらいお肌に導きます。
お気軽に治療が継続できるようにダウンタイムがほとんどないメニューにしております。具体的には、ケラチノサイト(角化細胞)内の必要以上に増えたメラニンを減らす光治療、フォトフェイシャルとも呼ばれていますが、この施術とメラニンを産生するメラノサイトの機能を正常化にさせるトラネキサム酸の内服を基本に、患者さまのお肌の状態を見て肝斑治療のレーザートーニングや、皮膚に熱を与えてお肌にハリを出す器機の施術を約6か月かけて行っていきます。また、このトータルスキンプログラムでは正確に治療経過が分かるように肌診断ソフトを使用します。
⽪膚全層治療のメリット・デメリットについて
例えば、お顔にいくつかシミがあり、くすみもあったとします。そのうち一つのシミをレーザーで除去するよりもお顔全体のくすみやハリを出してあげたほうが若々しい印象になりアンチエイジング効果は高いです。お顔を一つの容器として、その容器全体をよくしていこうというのが当院で行っているトータルスキンプログラムです。
また、お肌の若返りは一つの施術をずっとし続ければよくなるというわけでもありません。状態に応じて最適なメニューを毎月ご提案できるのがトータルスキンプログラムの大きなメリットです。
次にデメリットですが、このトータルスキンプログラムはダウンタイムのほとんどないメニューでお気軽に継続できるお肌の若返り治療ですので、シミ取りのレーザーや、ほうれい線にヒアルロン酸注入をするような直後から結果が目に見えるものではありません。
また、治療の効果は、お肌のターンオーバーにもよりますので治療効果に数か月と時間を要します。また、この治療を行っていれば何もしなくていいわけではなく、お肌を必要以上にこすらない、紫外線対策はしっかりしていただくなど、患者様にも協力していただく必要があります。
予防として、日常の肌ケアで気をつけたほうが良いことは?
まず、大前提として紫外線対策をしっかりすることです。紫外線の曝露が多いと活性酸素が皮膚の中にたまってしまい、光老化と言ってシミができるだけでなくシワ、たるみの原因にもなります。
また、お顔のこすりすぎは肝斑とよばれるシミの原因にもなりますのでメイクをするとき、落とすときの際は必要以上にこすりすぎないことです。意外に知られてないのですが、よく小顔マッサージといってご自身でお顔をゴリゴリされるのもよくないです。お顔には骨から皮膚につながっている靭帯がありますが、その靭帯が伸びてたるむと、お顔のたるみにもなります。専門の知識がなくご自身で行うのはその靭帯をたるませることにもなりかねないので解剖学的には、お奨めできるものではありません。
〇〇を食べればよいなど医学的にみて効果は?
例えば、抗酸化作用のある食べ物とかはよく耳にしますよね。ポリフェノールとか、レモン何個分のビタミンCとか。確かに抗酸化作用のあるものを食事で摂取するのはアンチエイジングの観点から重要ですし、効果もあります。ただ、その食材から一定の効果を得ようとすると量が必要になります。
その点、有効成分をダイレクトに血中に入れることのできる点滴、注射療法はより高い効果が期待できます。また、基礎代謝を上げる、抗酸化作用の高いなど有効成分に特化したサプリメントもよいと思います。
自分で行っている肌ケア、アンチエイジング
アンチエイジングには、とても心掛けています。アンチエイジングのキーワードは抗酸化です。体内の酸化が進むとしわやたるみが増えるだけでなく、癌にもなりやすいことが分かっています。そのため、抗酸化作用の高い高濃度ビタミンC点滴は定期的に行っています。また、ここ数か月は、抗酸化作用の非常に高いメロン抽出物のサプリメントも摂取しています。
あと、食事にも気を付けています。同じ食材でも、調理方法によって酸化物質が出てきます。体内の酸化の指標であるAGEsが上がらないように揚げ物を控えて、蒸したりゆでたりしたものをなるべく食べるように心掛けています。当院には、このAGEs測定器がありますので定期的にチェックしています。
自分が病気になったときに相談する先生
病気の内容にもよりますが、内科的なことであれば北里大学の血液内科の鎌田先生です。大学時代の先輩でもあり、プライベートでもよくしてもらっています。内科専門医でもありますので、まずは鎌田先生に相談するかと思います。
また、皮膚のことに関しては、はなふさ皮膚科の花房先生に相談するかと思います。皮膚科の知識だけでなく皮膚外科も専門にされていますのでとても頼りになる先生です。
最後に形成外科的なこと、特に自分の手術が必要な程度の眼瞼下垂になった場合、福岡大学の大慈弥教授にお願いするかなと思います。眼瞼下垂でも非常に著名な大慈弥教授は私の形成外科医としての恩師です。間近で手術を見させていただき、手術指導もしてくださいまして今の私の眼瞼下垂手術の基礎になっております。
編集部まとめ
今回、伊藤秀憲院長にお話を伺う中で医学的な見地からのスキンケアやアンチエイジングについてもお聞きすることができて大変有意義なインタビューを行うことができました。インタビュー第二弾では育毛剤や飲む日焼け止めについて医師の立場から貴重なお話を伺えているのでこちらもあわせてご覧ください。
取材日:2019年6月27日
プロフィール
院長
伊藤 秀憲
2007年 北里大学医学部卒業
2009年 北里大学病院形成外科・美容外科 北里大学病院救命救急センター
2010年 独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター形成外科
2010年 JA長野厚生連 北信総合病院形成外科・美容外科
2012年 福岡大学病院形成外科・美容外科美容外来担当
2017年 医療法人社団美翔会 聖心美容クリニック
2019年 大田区蒲田にて、ビクアスクリニック開業
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