薬が効きすぎる!?グレープフルーツジュースで飲むリスク【薬剤師に聞く】
お薬は水で飲んでください、というのはよく言われますが、なぜ他のものではだめなのかご存知ですか?
製薬会社での効果のチェックが水で行われているというのもそうですが、実は飲み物によっては一緒にからだに入れると薬の効果を変えてしまうことがあるそうです。
その代表格と言われる「グレープフルーツジュース」について、何故ダメなのか、一緒に飲まなければいいのか、などを薬の専門家である薬剤師 成田 理恵(なりた りえ)さんにお伺いしました。
代謝酵素を阻害してしまう成分がジュースに入ってしまう
グレープフルーツジュース中のフラノクマリンが、腸内のCYP3A4(シップスリーエーフォー)という代謝酵素を阻害してしまいます。
果汁よりも果皮の部分に多く入っている成分ですので、濃縮果汁などでは、より注意が必要となります。
代謝酵素が阻害されると、飲んだ薬は体の中で想定した以上に効きすぎてしまうことがあります。
本来、分解される成分まで吸収してしまうため、血中の有効成分濃度が上がり薬の効きが強くなるため副作用のリスクが増大する仕組みになります。
大きく効果が変わる薬の時は薬剤師さんからも注意が
薬と一緒に飲んだ時に、効きが強くなることで、からだへの影響がどう変わるのかを考えるのが重要かと思います。
有名なもので血圧の薬(カルシウム拮抗薬)の一部がありますが、お薬の成分が体から消えていくのが遅くなるので、血圧が思ったより下がる可能性があります。
睡眠薬の一部(ハルシオン)でも、血中濃度のピークが先伸ばしになるので、効くまでの時間が少し遅くなります。
そのため、朝の寝起きが少し辛く感じる可能性があります。
しかしながら薬によって、代謝酵素の血中濃度上昇率はそれぞれです。
変化がかすかでほぼ影響が考えられない場合は薬剤師からも特にお伝えせずに、心に留めておくこともあります。
しかし、成分の血中濃度上昇率が高い薬の場合は、グレープフルーツジュースをお好きな方であっても、服薬をする期間は飲まないでくださいとお伝えすることがあります。
てんかんなどの命に関わるお薬は特に注意をするようにお伝えしています。
他の柑橘類にも注意が必要なものがある
実は柑橘類の中でも気をつけないといけないものと、大丈夫なものがあります。
グレープフルーツと同様に気を付けていただきたいのはザボン類のスイーティ、メロゴールドです。
少量であれば摂取してもよいとされる柑橘類にはレモン(果汁のみ)、日向夏(果汁のみ)などがあり、フラノクマリン類が含まれないとされる柑橘類には温州ミカン、デコポンなどがあります。
医師や薬剤師から注意を受ける薬の時は、一応気を付けていただきたいです。
影響が2~3日続くこともある
実はこの代謝阻害は不可逆的で、その影響は2~3日かかります。
そこまで言い出すと切りがないとは思います。
もし、どうしても毎日グレープフルーツジュースを飲んでいるという方は、医師と相談の上で、お薬を変更する事で対処出来ることもありますので医師に相談していただければと思います。
そもそも人によっても差がある
代謝酵素は人により、そもそも違っています。ですから、薬の効きも実は全員一緒ではないと思います。
お酒の飲める飲めないの差があることを考えるとイメージしやすいかと思います。
また、グレープフルーツジュースの成分は有名ではありますが、この他にも代謝に関係する酵素自体、数多くありますので、薬の効きには様々な差が出てくると思います。
従って、細かく気にしすぎる必要はないかと思いますが、気になる場合には薬剤師や医師にご相談ください。
医科歯科ドットコム編集コメント
処方をしてくれた先生や薬剤師さんからの注意があった場合は、しっかりお気をつけください。
取材日:2020年2月26日
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プロフィール
成田 理恵(なりた りえ)
昭和大学卒業
ミネ医薬品株式会社にて11年勤務
ヨガのインストラクターを取る為同社退職
結婚後現在も薬剤師として勤務
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