【歯科医師が答える】歯の移植はここまで進んでいる!歯科用CTで撮影し、コンピューターでシミュレーションもおこなう
けがや虫歯などで歯を失ったとき、症状によっては自分の歯を移植できる可能性があるということをご存知でしょうか?
移植する歯の鮮度が成功のカギを握るため、歯を抜く前に移植先の穴を整えるそうです。
とても難しそうな治療ですが、現在では歯科用CTの導入やコンピューターでシミュレーションをおこなうなど、歯の移植の治療法は昔と比べて精度がかなり良くなっているようです。
歯の移植をおこなっている「中村歯科クリニック」院長の中村 貴則(なかむら たかのり)歯科医師にお話を伺いました。
失敗のリスクを減らすため、コンピューターでシミュレーションしています
――移植後の不具合が起きないように気を付けていることはありますか?
できるだけ移植後の不具合や失敗が起きないように、術前に歯科用CTでお口の中を撮影して状況を診ています。
そして、移植の歯の根っこがきちんと入るか、コンピューターでシミュレーションをしています。
場合によっては3Dプリンターなどで、人口の歯の根っこを作り、きちんと植えられるかの確認をすることもあります。
術前にしっかりとパターンの分類をおこない、どういった術式が良いかきちんと判断した上で進めるようにしています。
意外と長い歴史がある歯の移植の治療法
――歯の移植の治療法は、いつからおこなわれていたのですか?
現代の歯の移植の治療法は、40年前くらいからアンドレーセン(Andreasen)先生や、日本では下地勲先生や月星光博先生などがされています。
術式が難しいということと、歯科用CTがないと歯根の形状が分かりづらかった為、これまで成功率は高いと言えませんでした。
その為、歯科医師によっては敬遠される方もいらっしゃったと思います。
歯科用CTの導入により、歯の移植の治療は昔より良くなっています
――歯科用CTを導入したことで、歯の移植の成功率は良くなりましたか?
現在では、歯科用CTなどでお口に中をしっかり把握した上、より良い治療法を診断していますので、成功率はかなり良くなっています。
これまで80症例のうち、虫歯になっていたからと抜かれてしまったものを含め、2症例のみが継続できていない案件でした。
それ以外は、ほぼ噛める状態まで機能しています。昔と比較してかなり良くなったと思います。
医科歯科ドットコム編集部コメント:歯の移植に対応していない歯医者さんもあるので事前に確認を
「中村歯科クリニック」院長の中村 貴則(なかむら たかのり)歯科医師に、歯の移植の治療法の歴史について教えていただきました。
以前は成功率が高くなかった為、あまり聞かない治療法だったのかも知れません。
歯医者さんによって、歯の移植に対応していないこともあるようです。
ご興味を持たれた方は調べていただき、対応しているところで相談しましょう。
取材日:2019年11月28日
プロフィール
中村 貴則(なかむら たかのり)歯科医師
<経歴>
平成11年3月 神奈川大学附属高等学校卒業
平成11年4月 日本歯科大学歯学部入学(剣道部に所属)
平成17年3月 日本歯科大学歯学部卒業(学術優秀賞)
平成17年4月~平成22年7月 医療法人社団歯愛会 須貝歯科医院 勤務
平成22年7月~ 医療法人社団健歯会 中村歯科クリニックでの診療開始
<資格>
日本歯周病学会 認定医