インプラントは自分の歯よりメンテナンスが必要!その寿命は全身の健康状態も関係?
自分の歯と違って気を付けることも多くありそうなインプラントのメンテナンスはどれくらい手間がかかるものなのでしょうか?インプラント治療専門クリニックを持つ、医療法人Imamiya Medical Alliance理事長 今宮克明先生にお話を伺いました。
インプラントと天然歯は何が違う?治療後に気を付けるべきことは?
インプラントと天然歯の大きな違いは「歯根膜」というクッションがあるかないかです。
歯根と骨の間にある歯根膜というクッションが、インプラントにはありません。
ただその「歯根膜」は感覚受容器でもあるので、逆にインプラントは感覚受容器をもっていないということです。ですので、ある程度完成した状態においても、インプラントは大きな圧力がかかっても感じないということです。
感じないということはプラスマイナスがあることですが、通常の食事の際にも気にせず、自分の歯と同じにして大丈夫です。
またインプラントは歯髄がないので、冷たいものを冷たいと感じず、知覚過敏もありません。これもプラスマイナスがあることですが、インプラントというのは機械的に咀嚼を行えるということです。天然のご自身の歯に100%代われるものは存在しません。
「なるべくご自身の歯で一生噛んでいくこと」が努力目標ではあるべきだと思っています。
インプラントの寿命は自身のメンテナンスと全身の健康状態が関係
自分の歯がいつまで持つか計算不能なところがあるようにインプラントも同様です。
金属に金属をはめ込んでいるわけでなく、ご自身の生体の中、固定部はご自身の骨の中に入れているので、その骨の状態やインプラントの周辺組織がどのような状態で維持されるかによります。
ですので、患者さん自身のメンテナンスや、全身の健康状態にも大きく左右します。インプラントが未来永劫に一生持つということは残念ながら言えません。
ただ定期的なメンテナンスをすることや、全身疾患が起こった時にもしっかり治療することで、インプラントの寿命も長くすることができます。
骨が溶ける前に!定期的なメンテナンスと骨のチェックを
基本的にはきちんとしたクリーニングの実施です。
また、インプラントは大きな負担過重がかかった場合にはその圧力によって支えている骨が溶けてしまうことがあります。
ですので、しっかりと噛み合わせが維持されているかというチェックも必要です。3か月から半年に1回くらいの頻度で通院していただき、レントゲン含めてチェックして、その上で必要な処置をおこなうことが大切です。
28年のインプラント治療の経験から言えること
インプラント手術をしだしてから28年が経ちますが、すべてのインプラントがすべていい状態で残っているわけではありません。
それでも非常に高い確率で、良い状態で残っていることが多いので、予後のいい処置だと言えます。
また、感謝のお手紙をいただいたことや、医療知識の十分にあるご夫婦が今いい予後を過ごせているのはインプラントのおかげだと、インプラント治療の受診者として講演会に出席いただいたことなどもあります。おおむねインプラントをして良かったという声が多いです。
手術はありますが、現在は苦痛を軽減する方向になっています。また自分の歯と同じように食事ができることは他では得ることができないものだと思います。それを患者さんたちも感じていただいていると思います。
医科歯科ドットコム編集部コメント
自分の歯はもちろん、インプラントであってもしっかりとメンテナンスをすることは大切なのですね。また全身の健康状態にも気を遣うことが大切ということが分かりました。
選択の機会が来たら今回伺ったお話を参考にしたいと思います。
取材日:2019年12月19日
プロフィール
歯学博士
北海道医療大学 臨床教授
厚生労働省認可 歯科指導歯科医
東京ミッドタウンデンタルクリニック顧問
青山学院大学大学院・修士課程修了(MBA取得)
国際口腔インプラント学会(ICOI) 専門医
日本口腔インプラント学会(JSOI) 専門医
NPO法人 近未来オステオインプラント学会(IPOI)指導医
公益社団法人 日本歯科先端技術研究所 フェロー
京セラメディカルPOIインプラント公認インストラクター
日本顎咬合学会所属
ミシガン大学インプラント審美歯周外科サーティフィケィト取得
北日本インプラント研究会 理事
北海道医療大学歯学部卒