治療器具を使い回している歯医者さんがあるという話を、聞いたことはありませんか?歯科医療は特に、虫歯や歯周病は細菌感染と言われていますので、他人からの唾液や血液などによる感染症が気になります。
院内感染の対策として、歯医者さんではどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?また、衛生管理の観点から歯医者さんを選ぶポイントについて考えてみました。
目次
1.感染対策は患者さんごとに器具を交換して滅菌
治療器具の感染対策について、歯科医師に回答をいただいていますのでご紹介します。
このエアータービンですが、
使用する際にはダイヤモンドのバー等で水を出しながら高速回転で歯を削っていきます。
もちろん口腔内で使用されるため、唾液や血液が付着するため、
当然のことながら滅菌が必要なのですが、
単にエアータービンが汚れが付くだけではなく、
回転を止めた際に、器具の中に水分が僅かに後戻りして入り込むことが報告されています。
そのため、使用後にエアータービンの表面をアルコール消毒しただけでは不十分であり、
タービンの中に入り込んだ感染原自体を取り除くことが重要になってきます。
エアータービンの表面だけを消毒しても
タービン内に入った感染原は、
次に使用する際に、水と一緒に出ていきます。
これが問題なのです。
通常は患者様ごとにエアータービンを交換し、
専用の高温滅菌器具で消毒をしています。
この滅菌作業は結構大変なんですよね。
まずエアータービンの数を揃えておかないといけません。
患者さんの数が多い歯科医院であれば、20〜30本以上揃えておくことが必要です。
規模の小さい歯科医院でも10〜15本は必要ですね。
エアータービン1本の値段は10〜15万円程度しますので
数が増えれば増えるほどコストがかかります。
もちろん滅菌する器具自体も高価です。
しかし、最低限必要なことであることは間違いありません。
基本的に多くの歯科医院では滅菌していると考えられますが、
そうでない歯科医院がいることも考えられます。
ご心配な方は、通院されている歯科医院でどのような滅菌対策を行っているか聞いた方が良いでしょう。
歯科医院で聞いてみて、
きちんとした回答がないような場合には
転院した方が良いかもしれません。
きちんとした滅菌対策を行っている歯科医院であれば
このような質問は失礼なことはなく、
積極的に滅菌対策について回答してくれるはずです。
多くの歯医者さんでは、歯を削る際の治療器具を患者さんごとに交換し、消毒・滅菌に取り組まれているようです。しかし、滅菌対策にはコストがかかるため、なかにはしっかりと滅菌ができていない歯医者さんもあるようです。
滅菌の方法は様々あり、「高圧蒸気滅菌器」で滅菌後、「滅菌パック(滅菌バッグ)」に入れて保管をするなど、衛生管理の方法は歯医者さんによって異なります。実際に「どのような滅菌対策をしていますか?」とは少々聞きづらいですので、その滅菌対策が目で見て分かることが一番良いと思います。
診療台に案内された際に、清潔さに不安があるようでは問題があります。院内は清潔か、衛生管理はできているかをよく観察して、不安であれば思い切って歯医者さんを変えてみることも良いかもしれません。
2.衛生管理の観点から歯医者さんを選ぶポイント
今回は、治療器具の滅菌について歯科医師に回答をいただきましたが、衛生管理で気を付けたいことは、治療器具の滅菌だけではありません。衛生管理の観点から歯医者さんを選ぶポイントについて、下記にまとめました。
1.医院検索の際、文章内で衛生管理の取り組みを提示している歯医者さんを選ぶこと
2.診療台ごとに仕切りがあり、歯の削りカスや唾液が周囲へ飛散しない院内構造
3.ゴム手袋など使い捨てのものを採用し、患者さんごとに交換していること
歯科医師が使用するゴム手袋を患者さんごとに交換して診療を行うことや、周囲へ歯の削りカスや唾液の飛散がないことも重要なポイントです。筆者が歯医者さんへ行った際、診療台に仕切りがなく隣の患者さんの歯の削りカスや唾液が飛び散るんじゃないかと気になった経験がありました。
個室や半個室、パーティションで仕切りを設けるなどの工夫があれば、歯の削りカスや唾液の飛散を心配する必要はなくなります。周囲へ飛び散らせないように歯を削ることも、歯科医師のテクニックかも知れませんが、なかには「口腔外バキューム」という飛散物を吸引する機械を導入している歯医者さんもあります。
院内感染防止のために、治療の際に使用する水にまでこだわっている歯医者さんもあります。そういった衛生管理の観点から歯医者さんを選ぶことも重要です。医院検索の際は、衛生管理の取り組みについて提示している歯医者さんを選びましょう。より良い歯医者さんが見つかることを願っています。