「歯科予防処置」に大切なのは、何といっても毎日の歯磨きです。しかし、「毎日しっかり磨いているから、別に定期検診は必要ないよ」と考えてはいないでしょうか?
確かに歯磨きはとても大事な習慣なのですが、残念ながら決して万能ではありません。歯科予防処置における歯磨きの役割と、その弱点の補い方をご紹介します。
日本人が歯を失う原因No.1!「歯周病」はなぜ起こる?
日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病です。その割合は42%にも及びます。虫歯は第2位で、32%となっています。(厚生労働省 e-ヘルスネット「歯の喪失の原因」)しかし、「自分は歯周病(またはその予備軍)である」という自覚のある人は多くありません。
その原因は、歯周病は気付かないうちに徐々に進行するため、初期段階では痛みがほとんどない病気であるためです。また、社会的に、「歯医者は痛みがあるときに行くもの」という意識が強いため、多少の違和感を覚えても歯医者に行く人が少ないことなどが挙げられます。
歯磨きではプラークを落とし切れない
歯周病は、歯と歯茎の隙間に潜むプラーク(歯垢=細菌の塊)が出す毒素によって歯茎が炎症を起こす病気であり、その予防のために、プラークを除去してあげることが何より大切です。そう聞くと真っ先に思い付くのが歯磨きですが、実は自分で磨けたつもりでも磨けていない人が大半というのが現実です。プラークを除去するには歯磨きは非常に有効な手段ですが、それだけですべてのプラークを除去できるというわけではないのです。
歯科医院の検診は、自分では気付かない点をカバーしてくれる
では、歯磨きで落としきれないプラークを除去するには、いったいどうすれば良いのでしょうか?それを補ってくれるのが、歯科医院で受ける定期検診です。定期検診の目的は、口の中に異常がないかをチェックし、プロならではのクリーニングで歯磨きだけでは落とし切れなかったプラークを落とすこと。また、磨き残しの癖をチェックして、磨き方の指導なども行ってくれます。自分だけでは気がつけない点をカバーしてもらえるので、歯磨きだけより格段に高い予防効果が期待できるのです。
歯磨きについては、自分では完璧なつもりでも磨き残しがあるのが普通です。セルフケアのみではどうしても限界がありますので、その弱点を補うためにも、歯科医院の定期検診を利用してみてはいかがでしょうか。
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監修日:2019年11月18日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医