【医師に聞く！】低温熱傷とは？ ホットカーペットや湯たんぽにご用心！

 
冬になると防寒対策としてホットカーペットや湯たんぽを使うかたも多いと思います。ですが、使い方を間違うと深いやけどにつながることもあるそうです。
 
皮膚科医師であるはなふさ皮膚科クリニック 理事長 花房火月（はなふさひづき）医師が低温熱傷（ていおんねっしょう）について警鐘を鳴らすお話をされています。
 
低温熱傷とはどんな症状でどんな治療法があるのでしょうか？

低温熱傷はどんな場合に起こる症状なのでしょうか？

低温熱傷はですね、冬の風物詩といっていいケガで、たとえば湯たんぽを布団のなかに入れてそのまま寝てしまうと発症しやすいです。
 
湯たんぽを布団のなかに入れて寝ると、たとえば寒い日だと本能であったかいほうに人間は近づいていきますので湯たんぽが足にくっついたまま寝てしまい、朝起きたときに低温熱傷になっているというわけです。
 
これは湯たんぽの使い方が間違っていて、湯たんぽは、本来は布団を温める道具なので、布団を温めておいて寝るときには湯たんぽを外すさないといけないです。そのまま湯たんぽを入れたまま寝てしまう人が多いので、そうすると低温熱傷が起こりやすくなります。
 
低温熱傷というのは、最初に受傷した当日は赤くなっているだけなのでたいしたことないかなと思う方が多いのですが、それは実はⅢ度熱傷といって一番深いやけどのことが多くて、重症化して治療に数ヶ月かかることがままあります。

低温熱傷の自覚症状として痛みはありますか？

痛みが少ない、ということがポイントです。
 
要は皮膚が全層性といって全てやられてしまっているので、神経も破壊されてしまっているので痛くない、ということが特徴です。
 
ホットカーペットの低温熱傷も増えています。ホットカーペットの低温熱傷になりやすい人というのは、じつはすごく痩せている人が多いです。
 
痩せている人がホットカーペットの上で寝てしまうと、たとえば腰骨と皮膚のあいだが短いので腰骨で皮膚がぎゅっと圧迫された状態になるわけです。
 
そうするとその部位の血流が悪くなっているので、ホットカーペットの熱が溜まりやすくなり低温熱傷になりやすいといわれています。すごく痩せているかたは注意が必要だと思います。

うっかり低温熱傷になってしまったときの対処法や治療法について

低温熱傷に関しては、一度発生してしまうと普通にやけどの薬を付けていくとなるのですが、通常1週間から2週間のあいだに皮膚が崩れていって潰瘍化してしまう、といったことが多いです。
 
潰瘍化してしまうと、デブリードマンといって汚れた組織を外科的に取り除いてまた軟膏をつけて、という手当てが必要になってきます。
 
範囲が広い場合は植皮術（しょくひじゅつ）・・・ご本人のどこか別のところから皮膚をとってきて貼り付けるというような手術が必要になることもあります。
 
通常は手術をすることではないのですが、低温熱傷は一度なってしまうと範囲が4cmくらいの低温熱傷だとしても治るまでに3ヶ月くらいはかかりますので、3ヶ月も待っていられないというかたであれば植皮術を選択することもあります。
 
範囲が4cmくらいの低温熱傷になってしまうと、通常は治癒までに数ヶ月かかることがあるんです。
 
まず2週間くらいかけてそこが潰瘍化して皮膚が崩れてきて、その汚れた組織を取り除いて軟膏を付けて傷を治していくということになるので、ものすごく時間がかかります。

医科歯科ドットコム編集部コメント

うっかりホットカーペットで寝てしまったり、湯たんぽに足をつけたまま寝ることで起こりやすい低温熱傷。
 
「痛みは少ないけれど実はⅢ度熱傷といって一番深いやけどのことも多い」と花房火月医師。
 
冬の防寒対策として暖房器具を使うときは、その使い方に気をつけたほうが良いですね！

 
取材日：2019年10月4日
 
▶皮膚科における低侵襲手術について
 

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