【医師に聞く】遺伝的な要因が多い?膠原病の可能性も!「しもやけ」は急に温めると腫れることがある!?

 
かなりの人が寒い季節に悩まされるという「しもやけ」。
 
秋冬のなかでもどんな条件で症状が出やすいのでしょうか?
 
はなふさ皮膚科クリニック 理事長 花房火月(はなふさひづき)医師にお話を伺います。

 

しもやけはどんなときに起こりやすいですか?

「しもやけ」というのは、じつは今もかなりの人がかかる病気でして、冬に手の先が腫れてきたり、珍しいタイプでは赤いブツブツができることもあります。
 
とくに冬のはじまりと冬の終わりに多いと言われています。要は気温差が高く、基本的には寒い時期でそのなかでも1日において気温の差が大きい時期に発症しやすいです。
 
指が腫れて手の指や足の指が腫れて痛くなる、ということが主な症状ですね。
 
しもやけは遺伝的な要因が多く、なりやすい人となりにくい人がいます。
 
たとえば毎年なるという人と、一度もかかったことがないという人に分かれると思います。なりやすい人は特に注意が必要です。
 
しもやけは循環不全といわれていますが、はっきりした原因がわかっていない病気ですね。
 
なぜか抹消の血管が循環不全を起こして血が指先や足先に鬱滞(うったい)してしまい、鬱滞した血によって炎症が起こって腫れてしまうという病気です。

 

診断が難しい場合はありますか?

指が腫れてしまう、足の指が腫れてしまう、という場合はすぐ分かると思うのですが、赤いブツブツができてしまうパターンもあります。
 
そういう場合はかなり診断が難しくて、一般の方が判断するのは少し難しいと思います。大学病院で生検(せいけん)という皮膚を切り取った検査の後に、しもやけだと分かったというケースも知っていますので、我々医師からみても診断が難しい場合があると思います。

 

しもやけに関して注意する点はありますか?

しもやけに関して注意しないといけないことは、通常はしもやけは冬に起こる病気なのですが、たとえば5月や6月になっても症状が続いている場合は膠原病(こうげんびょう)の可能性もありますので注意が必要です。
 
たとえば、シェーグレン症候群や膠原病ですと凍瘡様皮疹(とうそうようひしん)という、しもやけに似た皮疹が有名で、その場合はただのしもやけではなく膠原病の可能性があるので、病院を受診する必要があります。

 

しもやけの対処法や治療法について教えてください

しもやけに関しては、冷たい刺激とあったかい刺激が交互に繰り返されることによって発症すると考えられていますので、寒い時期に外に出る場合は暖かい手袋をしたり暖かい靴下をはいて、冷やさないようにすることが一番大事です。
 
そして一度発症してしまったら、これも対症療法でしかないのですがビタミンEの飲み薬やビタミンEを含有している軟膏をつけたりします。あとは一部に生姜を含むような漢方薬を飲んでいただき、血行を改善させることもあります。
 
ここで注意が必要なのは、しもやけになってしまったら急に手を温める人がいるのですが、しもやけの本質というのは血管の血流不全によって血が鬱滞(うったい)していることが原因で、急速に温めるとさらに腫れが酷くなってしまう場合があるので、温めるにしても急速に温めることは避けたほうがいいですね。ゆっくり温めることが大事です。

 

例えば生姜入りの紅茶など身体を温める飲み物について効果ありますか?

私はそういった飲み物も効果的だと思っていますね。
積極的に飲む習慣をつけておくといいかもしれませんね。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

しもやけは遺伝的な要因が多いといわれているそうです。
「冷たい刺激と温かい刺激が交互にあると発症しやすいと考えられています」と花房火月医師。
 
そして症状が出たときに急激に温めれば良いというわけではないのですね。
しもやけになりやすい方は、日頃から身体を温める習慣をつけて冬のしもやけを乗り切りましょう!

 
取材日:2019年10月4日
 

 

 

 

 
皮膚科における低侵襲手術について
 

プロフィール

はなふさ皮膚科クリニック 理事長
花房 火月 医師
 
2006年4月~2007年3月 癌研究会有明病院(初期研修医)
2007年4月~2008年3月 東京大学医学部附属病院(初期研修医)
2008年4月~2008年6月 東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科(専門研修医)
2008年7月~2008年11月 東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科(助教)
2008年12月~2010年6月 NTT東日本関東病院皮膚科(医員)
2010年7月~2011年6月 東京厚生年金病院皮膚科(レジデント)
2011年3月 東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科後期研修終了
2011年7月~ 三鷹はなふさ皮膚科開設
2014年6月~ 新座はなふさ皮膚科開設
2015年6月~ The Japan Times紙によりアジアの次世代を担うリーダー100人に選出
2015年7月~ 国分寺駅前はなふさ皮膚科開設
2016年5月~ 久我山はなふさ皮膚科開設
2017年8月~ 志木はなふさ皮膚科開設
2019年4月~ The New York Times紙によりNext-Era Leaders2019に選出
2020年2月~ 大宮はなふさ皮膚科開設
 
<その他>
著書『ぜんぶ毛包のせい。 薄毛・AGA ニキビ ヒゲ・体毛 ニオイ 汗