飲酒×お風呂はNG!血圧維持がヒートショックによる事故を減らす!?【現役医師インタビュー】


前回の冬場の癒し空間が一変!?年間2万人が亡くなる「ヒートショック」の危険性とは?【現役医師インタビュー】でヒートショックとは、もともと建設業界から派生した用語で寒暖差によって血管に影響が出てしまい失神してしまう大変危険なものと言うことが分かりました。
 
今回は、そのヒートショックのリスクを減らすにはどうすればよいか、飲酒後にお風呂に入る危険性について引き続き、内科医であり、ヘルスケアの連携に関わる活動をされている「あすかクリニック」院長 織田 聡 先生にお話を伺いました。

ヒートショック予防には血圧の維持がカギ!

寒い場所にいるとき、人体は体温を奪われないように末梢血管をきゅっと収縮させます。そしてお風呂に入り身体が温まると、緊張していた抹消血管がふわっと開きます
 
そのように抹消血管が開くと足のほうに血液がいってしまい、いわゆる血圧が下がった状態になるのですが、本来であれば身体は恒常性を保つホメオスタシスが働いて、心臓が脈打って血圧を上げるために頑張るといった自律神経の反応が起きます。
 
しかしその恒常性が働かない場合、意識消失が起きていると思われます。

加齢はやはり要因になる

座っていて急に立ち上がったときに、立ちくらみを起こす現象とよく似ていると思われがちですが、血圧を保つという反応がしづらくなっている人が危ないです。その血圧を保つ反応がしづらくなる理由のひとつが加齢です。
 
ヒートショックで亡くなる方は独居のお年寄りが多いイメージがありますが、やはりご高齢の方が寒い脱衣場からお風呂に入って、それからしばらく連絡がつかないなと思っていたら亡くなっていた、というのは典型的な事例です。
 
ですので、独居で血圧を維持する力が落ちてきているような高齢の方は、リスクが高くなるといえるでしょう。

飲酒後のお風呂は失神のリスクを高める

お酒を飲むと血管が開きやすくなっているので、意識が落ちやすくなります。そのため、飲酒後の入浴というのはリスクが高いといえます。
 
ヒートショックということを抜きにしても、酔ってお風呂で寝てしまって溺死するということもあります。深酒をしたときに、1人でお風呂に入るのは非常に危険ですので、避けていただきたいですね。

編集部コメント

寒い冬の時期に深酒をしていきなり熱いお風呂に入ってしまうと、寒暖差のある環境では血圧が下がるリスクがあり、心臓への負担も危険度も上がってしまいます。
 
血圧に不安がある方はもちろん、いつもは血圧に問題がないという方も、自分は大丈夫だと過信せずにリスクを避ける意識が大切です。
 
次回は、ヒートショックのリスクを減らすには具体的にどうしたらいいのか、織田先生に教えていただきます。
 
前回の記事
冬場の癒し空間が一変!?年間2万人が亡くなる「ヒートショック」の危険性とは?【現役医師インタビュー】
 
取材日:2020年1月8日

プロフィール

織田 聡医師

医師 薬剤師 医学博士 僧侶
医療法人社団聡叡会あすかクリニック院長
一般社団法人健康情報連携機構代表理事
LITERRAS MEDICA株式会社 CEO 代表取締役社長
株式会社アクセルレーター 取締役
 
日本型統合医療を提唱し、西洋医学と補完医療の有機的連携構築が専門。東洋医学的哲学を基盤に、ICTやAIなどを活用した先進的医療にも精通する。
 
現役医師として臨床業務の傍ら、少年野球からe-Sportsまで多くのスポーツ振興に関わり、ヘルスケアデバイスの開発や医療用アイソトープ国産化など種々の事業にも参画している。
 
また、僧籍(臨済宗妙心寺派)をもち、早くから禅の医療や介護への利用を模索している。寺院を活用した地域コミュニティ再生にも期待されている。