以前より歯列矯正をおこなう人が増えているようにも感じますが、現状はどうなのでしょうか?
また、一時的ではなく健康的な歯を長く保つために、子どもには歯医者さんを嫌がらないでほしいものです。
「中村歯科クリニック」院長の中村貴則(なかむらたかのり)歯科医師に、お子さんとの向き合い方についてお話を伺いました。
お口の健康に対して、親御さんの意識が高まっているように感じます
――矯正をする子どもは日本でも増えてきていますか?
親御さんの矯正や口元に対する意識は高まっているように感じます。
健康観とも言いましょうか、皆さん歯並びを整えて見栄えを良くしようという感じではなく、成長して歯並びがきれいになることで、自分のように虫歯や歯周病で苦労することがないようにという考えで、お子さんの歯の矯正を考える方が多いように思います。
特に2011年の震災の後くらいでしょうか、皆さん生きることや健康に対する意識が強くなったように感じます。
歯医者さんに慣れるところから始めて、人生に寄り添えたらいいですね
――歯医者さんを嫌がる子どもをうまく連れていく方法はありますか?
どうしても歯医者さんが嫌いで、親御さんがすごく苦労して連れてくる子は多いです。
椅子に座った瞬間、ポロポロ泣いてしまったり。
まずは、歯医者さんに慣れるところからでいいと思います。
まずは、何もなくても年に3回くらい、親戚のおじさんに会いに行くように、お口の中を見せて「あーきれいに磨けてるね、よかったねー」と、お話しをするような感覚で通ってもらえると良いと思います。
万が一、虫歯ができたとか歯並びが悪くなったとかの場合でも、あのおじさんに診てもらおうという意識でいいと思います。
そのような形で、うちは子どもの歯科検診によく来てもらっています。
そうなると余談ですが、高校生くらいになった時に将来の悩みについて相談されることがあります。
検診の時とかに、「この頃どう?悩んでいることとかない?」と聞くことがあります。
僕は最初歯について聞いているつもりなんですが、「実は将来何になろうか悩んでいるんです。」と話してくれる子もいて、「そうか、一緒に考えよう!」なんていうようなこともあります。
そういう面では、小さい時もそうですが、人生に寄り添えるような歯医者さんになれたらいいんじゃないかなと思います。
――歯にその人の生き方などが現れるのかなと思いますが、いかがですか?
やはりそこで成功体験ではないですけど、なにか自分が自慢できる、自信になるというものをもっていると、その後の人生でプラスになるのではないかと思います。
指しゃぶりをやめない子どもの対処法
――子どもだと指しゃぶりをする子もいますが、そういった子に対してどういう指導をされていますか?
特に低年齢の子に関しては、それも一つのストレス解消や不安の解消のためにしていることだと思いますので、特に無理やり辞めさせるということはしません。
小学校の中くらいになっても、まだ指しゃぶりが終わっていない子に関しては、どうしてもそれによってあごが歪んできたり、歯並びが悪くなってしまいます。
その時はご本人とお話しをしながら少しずつ理解してもらい、ご本人がそれに気づいて徐々に変えていけるようにしています。
編集部コメント:指しゃぶりに関しては辞めさせようと焦らなくてもいい
「中村歯科クリニック」院長の中村貴則(なかむらたかのり)歯科医師に、お子さんとの向き合い方について教えていただきました。
幼少期の数年で子どもの人生全体にプラスのことを残せるのは大きなことですよね。
指しゃぶりが歯並びに影響することもありますが、小さなお子さんに関しては無理やり辞めさせる必要はないようです。
自然と辞めるのを待つか、お子さんがお話を理解できるようになってから、少しずつ変えていければいいようです。
取材日:2019年11月28日