【歯科医師が回答】日本の歯並びの悪さは先進国の中で最低レベル!歯並びの種類と弊害とは?

 
現役の歯科医師である佐藤美嘉(さとうみか)歯科医師にインタビューし、歯並びの種類とそれぞれの弊害について教えていただきました。
 
遺伝や幼児期の癖で、歯並びが悪くなってしまうことがあるようです。
 

 

歯並びの種類とそれぞれの弊害について教えてください

出っ歯(上顎前突)

出っ歯と呼ばれる歯槽性(しそうせい)の上顎前突(じょうがくぜんとつ)で、原因の一つとしてあげられるのは、子どもの頃の指しゃぶりや爪噛みなどの習癖です。骨格性の場合は、顎骨を後ろに下げる必要も出てきます。
 
まずは、原因がどこにあるのかを調べる必要があり、そこから治療方針が決まります。歯科医師によってやり方も様々な為、しっかりと歯科医師と話し合うことが重要です。
 
弊害として一番多いのが開口、口呼吸です。どうしても口が「ぱかー」と空いてしまうということ、そして話し方で「さしすせそ」が抜けてしまうという方が多いです。見た目の問題と話し方の問題が弊害としてあります。

 

受け口(反対咬合、下顎前突)

受け口にも骨格性と歯槽性の2種類があり、骨格性の場合は遺伝的要因が大きい場合が多いです。歯槽性の場合はブラケット治療等で治療することが可能となりますが、骨格性の受け口の場合は大がかりな手術が伴うこともあります。
 
大学病院などで、顎骨を後ろにさげる外科的なオペが必要になるケースも少なくありません。受け口も原因因子を歯科医師にしっかりと見極めてもらい、治療方針をよく相談する必要があります。できる限り早い段階で診ていただいた方が良いと思います。
 
弊害としては見た目の問題が大きいと思います。受け口の方で骨格性の方は、優生的な遺伝子になってしまうので、お父さまお母さまどちらかが受け口の場合は、お子さんが受け口になってしまいます。矯正される場合は、早い段階からの矯正治療をおすすめします。

 

すきっ歯(空隙歯列)

すきっ歯の方は、現在人気の高いマウスピース矯正が対象になるケースが多いですが、まずは原因がどこにあるかを見極めることが必要になります。他の症状と比べて、比較的簡単で一番安価に歯並びを治しやすいと思います。

開咬(骨格性、歯槽性)

開咬(かいこう)に関してはお子さんに特に多く、幼い時に指しゃぶりや爪噛みをしていたことがある方は、開咬してO形に歯が開いてしまいます。そこに舌が出てしまい、会話の時に弊害となってしまいます。歯槽性の開咬で最も大きな原因とされるのが、指しゃぶりや爪噛みなどの習癖です。
 
また、吹奏楽器等を演奏される方にも見られることがあります。開咬は、発音障害や嚥下障害(えんげしょうがい)の原因にもなり、日常生活に支障を来たします。小児歯科で診てもらい、原因が歯槽性か骨格性かを見極めて早めの治療が必要です。

 

交叉咬合、叢生

永久歯が揃った12歳頃から多くの方が悩まれている、いわゆる歯並びが悪いというのが交叉咬合(こうさこうごう)、叢生(そうせい)です。見た目の問題はもちろんのこと、う蝕(虫歯)や歯周病なども発症しやすくなります。
 
近年、国際化が進み、これから世界に行きたいと言う方は矯正治療を受けられることをお勧めします。日本の歯並びの悪さは先進国の中ではワーストクラスに入ります。歯並びの美しさはファーストインプレッションに値するとも言われています。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント:歯並びは見た目だけでなく話し方にも影響してしまう

佐藤美嘉(さとうみか)歯科医師に、歯並びの種類と弊害について紹介していただきました。歯並びは見た目の問題だけでなく話し方にも影響してしまうようです。日本が先進国の中で、歯並びの悪さが最低レベルというのは驚きですね。
 
矯正して歯並びを整えることは、毎日のブラッシングがしやすくなり虫歯や歯周病の予防にも繋がります。欧米ではお口の健康に関して予防意識が高いと言われていますから、見た目の問題はもちろんですが、それらの病気の予防目的もあるのでしょう。
 
歯が動きやすい子どもの頃にできるだけ早く矯正できれば良いですが、大人になっても矯正することはできます。虫歯や歯周病を予防していく意味で、成人してからの矯正も考えてみてはいかがでしょうか。

 
取材日:2019年11月14日
 

プロフィール

佐藤美嘉(さとうみか)歯科医師

・岩手医科大学卒業、2010年に歯科医師免許取得し、研修医終了後、都内医療法人に勤務
・現在は医療法人社団 高輪会、常勤医として外来、総合病院の病棟、ターミナル施設を担当
・一般的な歯科、美容診療の他に歯科口腔外科(摂食嚥下、ターミナル治療を含む)

特に摂食嚥下治療に関しては、高齢による機能低下、器質的変化により、食べることが今後難しいと言われた患者様の摂食のリハビリをしております。さらに、認知機能を摂食により改善させています。

オーラルケア(リハビリも含めた専門家による口腔周囲の衛生管理、および機能向上)の重要性が日本では欧米に比べると認知が低く、認知症改善、嚥下機能改善、生活習慣病に効果があることを広める活動をしております。

・大手生命保険会社生命保険加入者様向けセカンドオピニオンドクターを担当
・大手生命保険会社主催のセミナーで、看護師や保育士の方向けに、小児の予防医療、発育セミナーを開催