小児歯科と一般歯科は何が違う?知っておきたい小児歯科の基礎!

 
「小児歯科」は読んで字のとおり、子供の歯を専門に見てくれる歯医者さんです。
 
しかし、「何歳から何歳頃まで通って大丈夫なのか」「大人が通う一般歯科と何が違うのか」「どんなときに行くべきなのか」など、小児歯科をどう利用したらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
 
そこで今回は、「対象年齢」「一般の歯科との違い」「小児歯科の選び方」の3つをポイントに、小児歯科についてまとめてご紹介します。

 

小児歯科の対象年齢は0歳から中高生ぐらいまで

子供は日々成長していくものです。口の中に関していえば、生後半年ぐらいから乳歯が生え始め、3歳半を迎えるころには上下20本の乳歯が生えそろいます。
 
6歳頃になると乳歯から永久歯への生え替わりが始まり、12歳を過ぎるころにはすべての永久歯が生えそろいます(個人差はあります)。
 
また、あごの骨の成長は、17~18歳頃までにゆっくりと完了するのが一般的です。小児歯科は、このような成長発育を踏まえた上で、子供にとって将来問題になりそうなことがあれば未然に防ぎ、子供が健全に成長できるようサポートします。
 
ですから、小児歯科の対象となる年齢は、歯が生え始める0歳から永久歯が生えそろい、あごの骨の成長が完了する中高生頃までが目安となります。

 

一般歯科との違いは「より良い成長」を目標とすること

子供は「大人を小さくしただけの人」ではありません。子供の体と大人の体は、同じように見えてもさまざまな違いがあります
 
例えば、乳歯は永久歯に比べてエナメル質(歯の表面の層)や、その下の象牙質が弱いので虫歯になりやすく、一度虫歯になってしまうと早く進行してしまいます。
 
また、体が成長中の子供は、あごの骨のずれを矯正するといった大掛かりな治療も可能ですが、骨格が完成してしまった成人では同様の矯正治療は難しくなります。
 
このような成人と子供の体の違いを踏まえた上で、より良い成長の手助けをするのが小児歯科の役割です。
 
特に幼少期の子供に対しては、心理的な不安に配慮して治療してくれるのも、小児歯科ならではのポイントといえるでしょう。
 
例えば、歯医者さんに対する恐怖心が強い子供なら、最初は診療椅子に座ることから始めて、徐々に歯科医院そのものに慣れていけるように対応してくれたり、子供が集中力を保てる短い時間内に治療を終わらせてくれたりします。小児歯科で主に行っていることは、以下のようなものがあります。

 

虫歯や歯周病の予防(フッ素塗布など)

フッ素には、「口の中の虫歯菌が歯を溶かす酸を作るのを抑止する効果」「歯の再石灰化(細菌の酸により溶け出した歯が唾液の働きで元に戻ること)を促す効果」「酸に強い歯を作る効果」という3つの効果がありますので、歯にフッ素を塗ることは虫歯予防に役立ちます。
 
フッ素塗布は、乳歯の前歯が生えそろう1歳前後から定期的に行っていくと効果的です。1~2回塗布しただけでは効果を実感することは難しいですが、歯に何度も重ねて塗布することで高い虫歯予防効果が得られます。また、歯磨き指導や定期的な歯のクリーニングによって早期の歯周病(歯肉炎)予防を促すことができます。

 

虫歯の治療

乳歯は永久歯よりも虫歯菌が出す酸に弱いことに加え、子供は歯磨きが上手にできません。また、乳歯から永久歯への歯の生え替わりでできた隙間に食べかすが残りやすいため、大人に比べて虫歯になりやすいのです。
 
乳歯が虫歯になると、下に埋まっている永久歯にまで影響を与えてしまう可能性がありますので、乳歯の虫歯は早めに治しておくことが重要です。

 

歯並びや噛み合わせの治療

あごの発育に悪い影響がある、または永久歯が生えそろったときに歯並びが悪くなる恐れがあるときは、噛み合わせを改善するための矯正治療が必要になります。
 
近年は食生活の変化により、昔よりあごの骨が小さくなっているといわれています。自然状態のままでは、口内に永久歯が並ぶ十分なスペースがないということも少なくありません。そのための矯正治療を始める時期は、6歳から12歳ぐらいであることが多いです(子供の成長段階によって異なります)。

 

歯磨き指導

正しい歯の磨き方を身に付けることは、長期的に考えると何よりの虫歯予防になります。
 
また、噛み合わせを悪くする頬杖の習慣や、食事の際に前歯を舌で押してしまうなどの舌癖を見つけて、早めに指導してもらうことも小児歯科ならではの利点です。

 

専門性の高い治療を受けたい際は注意

小児歯科の治療を行っている歯医者さんを探すには、まず「小児歯科」を看板やホームページで掲げているかどうかをチェックすると良いでしょう。
 
「歯科」とだけ標榜している歯科医院が子供を診てくれないということはありませんが、「小児歯科」と掲げているかどうかは、子供の治療に力を入れているかどうかの目安になります。
 
ただし、矯正や噛み合わせの治療は専門性が高い治療内容であり、すべての歯科医院で対応しているわけではありません。ホームページを参考に、どんな強みがある歯科医院なのかをチェックするのがおすすめです。日本小児歯科学会認定の「専門医」「認定医」などの肩書きも参考になるでしょう
 
子供の健全な成長発育の為には、お口の中も健康でなければならないことは言うまでもありません。信頼できる小児歯医が見つかれば、虫歯の治療だけではなく、健やかな成長発育をサポートしてくれることになるでしょう。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

お子さんに特化した歯医者が小児歯科だという認識は、皆さんもなんとなく持っていらっしゃることかと思います。
 
では、小児歯科を行っているクリニックはどこかときかれてわかりますか?案外、どのクリニックがどういった専門を持っているかは知らないと思います。
 
そこで医科歯科.comを使うと、診療科別での検索も行え、どのクリニックが小児歯科を扱っているのかがすぐにわかります。気になる方は一度利用してみてくださいね。

 
監修日:2019年11月20日
 

監修医 プロフィール

医療法人社団 輝 藤本歯科長洲医院
藤本 俊輝
歯学博士
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医