【歯科医師に聞く】若い人も増えている!初期症状がほとんどない口腔がん!デンタルチェックが重要

 

 
今回は最近メディアで話題になり、若い人も増えていると言われている「口腔がん」についてインタビューです。
歯科医が考案 毒出しうがい」や「「噛む力」が病気の9割を遠ざける」の著者でもある照山裕子先生に口腔がんの症状や検査方法など詳細をお聞きしました。

nbsp;

口腔がんについてどんな病気か教えてください

口腔がんは口のなかの歯以外の部分にできる粘膜の病気になります。
具体的には、口のなかの歯以外の部分で歯茎やベロ、ほっぺた、口底(こうてい)というベロの下の部分、それから顎骨(がっこつ)、そして唇にできるがんがあります。
それらをまとめて「口腔がん」、と呼んでいます。

 

口腔がんのうち発生頻度の高いものから順に教えてください

口腔がんの発生頻度は大半がベロにできると言われていて、おおよそ55%くらいです。
それから下の歯茎や口底がそれぞれ11%~12%くらい、と言われています。
 
あとは上顎の歯茎が約8%~9%で、ほっぺたの粘膜が約6%、そして硬口蓋(コウコウガイ)といって上の顎の硬い部分が約3%、その他の部位が約3%と言われていますので、圧倒的に舌がんやベロにできるがんが多いというのが特徴です。

 

初期症状はどんなものがありますか?

口腔がんの特徴として初期症状はほとんどない、ということが挙げられます。
痛みや痒み、何かが盛り上がってくるなど、そういった変化はほとんどなく、たとえば少し赤いな、白いな、という色の変化の程度しかなく、それらが長い年月を経て5年くらいで悪くなっていく兆しがあるので、それらを見逃さないということがポイントになります。

 

検診を受ける際の検査方法やタイミングを教えてください

身体のなかにできるがんというのは、食生活や生活習慣というものが大半でできます、と言われていると思うんですね。あとはウイルスとか。
 
ただ、口腔の場合は特徴がひとつあって、口のなかに慢性的な刺激が加わるとがん化してしまうことがあると言われているので、たとえば虫歯を放置していたり、合わない入れ歯を入れっぱなしにしていつもどこかに傷がついていたり、歯周病などで常にどこかに炎症があって、炎症が化学的な刺激となり、がん化につながるという説もあるので、「いろんなトラブルを見逃さない」ということが大事になります。
 
ですので、平均で3ヶ月に1度くらいはデンタルチェックを受けてほしいのですが、ご自身でも普段からチェックをして何か異変があったら先生に伝えてください。
歯以外の場所も診てもらう、という心がけが大切ですし、普段も歯磨きをする際などに、鏡を見て自分の口のなかをくまなく観察する、という習慣をつけてください。

 

口腔がんはメディアで話題になりましたが、若い人でもなりますか?

最近は若い人のがんが増えていると言われています。口腔がん自体は年間で約7,000人が罹患しているのですが、一番注意しないといけないのは非常に死亡率が高いということなんですね。
これは先進国のなかで日本だけに見られる特徴だと言われていて、アメリカに比べると約2.5倍の死亡率なんですね。
 
そこで早期発見、早期治療、ということが大事になってくるのですが、どうしても見落とされているところが今まで多かったのではないかと思いますので、私たち歯科医療従事者だけではなく、患者さんも口腔がんの知識を取り入れて、普段から変化に気づく、ということが大事になってきます。
 
そして男女比なのですが、男女比が約3:1の割合と言われていたのですが、この40年ほどのあいだに徐々に女性の割合も増えていますし、若年層・・・若い人のがん・・・が増えてきている、と言われています。
だいたい原因になることは、食生活、それから喫煙、ということがリスクになるのですが、予防のためにできることは、バランスのいい食事を心がけることや規則正しい生活、というのは当たり前なのですが、なるべくタバコは控えること、それからお酒の量も控えめにすることが大事です。
 
また、セルフチェックで見つかると先ほどお話したのですが、口のなかが綺麗じゃないとやはり発見が遅れます。
常に清潔な状態を保つこと、ということが一番の肝(きも)になってきますね。

 

口腔がんと口内炎との違いについて教えてください

初期の口腔がんは、どうしても口内炎との鑑別が難しいということが挙げられます。
 
口のなかの粘膜は2週間程度でターンオーバーを繰り返すと言われているので、何か異変があった場合に適切な処置をして、2週間程度で改善がみられなければ、悪くなっている可能性があると考えていただきたいので、それがひとつのチェックポイントになります。

 

医科歯科ドットコム編集部まとめ

照山裕子先生からは詳細でわかりやすいお話をお聞きすることができました。3ヶ月に1度くらいは定期的に歯医者でチェックすることで早期発見。
 
早期治療が大事であることを認識することでができました。
引き続き編集部では、患者様の立場に立った最新の治療法等をわかりやすくお伝えしていきます。

 
取材日:2019年9月24日
 

プロフィール

照山 裕子
歯科医師・歯学博士
 
2000年 日本大学歯学部 卒業
2005年 日本大学大学院歯学研究科(歯科臨床系局部床義歯学)修了、東京医科歯科大学歯学部附属病院(回復系診療科顎義歯外来)医員
2009年 大手医療法人にて分院長として勤務
2018年 フリーランスとしての活動を開始
 
日本歯周病学会
日本顎顔面補綴学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科審美学会
日本アンチエイジング歯科学会 理事・認定医
美容口腔管理学会 認定医
IoMT学会
 
顎顔面補綴学を専攻し、日本大学付属歯科病院および東京医科歯科大学歯学部附属病院にて研鑽を積む。口腔がんの早期発見には、患者自身が口元を鏡で見る習慣と医療者側の目を養うことが重要な役割を果たすと確信、メディアでの情報発信を開始。
13万部突破の『歯科医が考案・毒出しうがい』の著者でもあり、台湾語に翻訳された本も発売されている。 「痛い・怖い」といった歯科のネガティヴなイメージをなくし、日本人にとってオーラルケアが身近な存在になるよう啓発活動を行っている。