「ひみこのはがいーぜ」
「なにかの呪文かな?」と疑問に思った人がほとんどだと思います。これはある標語なのですが、いったい何を表しているのでしょうか?
この標語、実は「噛む」ことと関係しているのです。今回はこの謎の標語についてご紹介していきます。
ひみこのはがいーぜ
「噛む」ということはとても良いことです。この噛むことの効用について、学校食事研究会という機関がわかりやすい標語を作りました。
それが「ひみこのはがいーぜ」です。漢字に直すと、「卑弥呼の歯が良いぜ」となります。
なぜ弥生時代の人物である卑弥呼が出てくるのでしょうか?実は、弥生時代の人は現代人に比べて、噛む回数が何倍も多かったと考えられているのです。その弥生時代の代表的人物である卑弥呼もおそらくしっかり噛んで食べていたのでは、ということでこの標語が作られました。これは、噛むことの効用の頭文字をとって繋げたものです。では、以下でこの標語が表す8つの標語をご紹介したいと思います。
8つの効用
【ひ】肥満予防
良く食べ物を噛むことにより、脳の満腹中枢がはたらいて食べ過ぎを防ぎます。少ない量で満腹感を得られるので肥満の予防に繋がります。
【み】味覚の発達
よく噛んで食べ物の味をじっくりと味わうことで味覚が発達するといわれています。
【こ】言葉の発音がはっきり
噛むことで口の周りの筋肉が発達します。これが発音の良さに繋がり、表情の豊かさにも繋がっていきます。
【の】脳の発達
これはとても大きい効用です。よく噛むこと運動は、脳細胞の動きを活発化します。あごを開けたり閉じたりすることで、脳に酸素と栄養を送り、活性化するのです。
子供はよく噛むことでどんどん頭が発達していくのでとても大事ですし、高齢者も良く噛むことで認知症の予防などにも繋がります。
【は】歯の病気を防ぐ
よく噛むことで唾液の分泌がより促されます。唾液は口の中の汚れを取り除いたりしてくれるので、歯の健康を守る上で欠かせない要素なのです。
【が】ガン予防
唾液の中に含まれる酵素が発ガンを防ぐ効果をもっています。大人や高齢者は特に唾液が少ない傾向にあるので、よく噛んで唾液を少しでも多く出すことが大事です。
【いー】胃腸の働きを促進
よく噛むことによって消化酵素が多く分泌されます。
これにより胃腸のはたらきを助け、効率よく食べ物を消化してくれます。
【ぜ】全身の体力向上と全力投球
「ここ一番」力が必要なとき、ぐっと力を入れて噛みしめたいときに、丈夫な歯がなければ力が出ません。
歯が強くなると、食いしばる力も強くなり、体力の向上や筋力アップに繋がります。
スポーツ選手は歯が命、と良く言われますが、運動能力と歯は密接な関係をもっているのです。
<参考>
噛む8大効用
噛む効用を標語にしました 「ひみこの歯がいーぜ」
監修日:2020年2月26日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医