日々の歯磨き、丁寧に細かいところまで行えているでしょうか?
歯ブラシの届きにくい奥歯のほうは虫歯もできやすく、注意が必要です。その中でも特に注意を払わなければいけないのが「親知らず」です。
ただでさえ一番奥にあって歯ブラシが届きにくいのに加えて、生えてくる途中に虫歯になったりしたら抜歯をしなければならなくなるかもしれません。
「親知らず」もきちんと磨けているでしょうか?今回は、「親知らず」の上手なケアの仕方についてご紹介していきたいと思います。
親知らずは磨きにくい…
「親知らず」は単純に磨きにくいですよね。「親知らず」の上の部分には歯ブラシが届くのでなんとか磨けますが、「親知らず」の側面にはスペースがあまりないので、側面や歯と歯茎の間をしっかりと磨くのは難しいです。
また、人によっては「親知らず」に歯肉が被さってしまったり、斜め方向や横方向などの通常とは異なる方向に歯が生えてしまいます。そうなると余計に磨きにくくなりますので、当然歯垢などの汚れも溜まりやすくなります。
無理矢理磨くのはNG
「なんとか綺麗にしたい!」と思って無理矢理に歯ブラシを押し込んだりだとか、強く磨いてしまうのはいけません。
歯や歯肉を傷つけてしまい、かえって逆効果になってしまいます。歯ブラシをあてて磨こうとするのではなく、毛先数本を利用して地道にかきだしていけば汚れが取れないこともありませんが、効率が悪すぎますし時間もかかってしまいます。だからといって磨かずに放置しておくと、さらに状況は悪化します。
虫歯、歯周病になる可能性があるのはもちろん、そこに膿が溜まったり汚れが溜まりすぎて、他の歯は綺麗なのに「親知らず」だけのせいでひどい口臭になったりすることもあるのです。そうなるといよいよ歯医者で治療をしてもらうか、抜歯ということにもなります。
斜め方向や横方向に生えてきて痛みがひどかったり、噛み合わせの関係で抜歯をしたほうが好ましい場合もあります。しかしせっかくまっすぐ生えてきて、噛み合わせも問題なく普通の歯と同様に使えるのにもかかわらず、抜歯をしてしまうのはなんだかもったいないですよね。磨きにくい「親知らず」に対する有効な手立てはないのでしょうか?
親知らずには「ワンタフトブラシ」!
心配無用です、現在では磨きにくい細かい部分が磨きやすい専用の歯ブラシが売られているのです。
その名も「ワンタフトブラシ」です。このワンタフトブラシとはどういうものなのでしょう。ワンタフトブラシとは、歯ブラシの毛が1本の束になって集まっている小さい歯ブラシのことです。
ブラシ部分が小さく、先でまとまっているために「親知らず」のある場所など、普通の歯ブラシでは届きにくいような、細かい部分も磨きやすい形になっています。
まずは普通の歯ブラシで満遍なく磨いた後に、磨きにくかった場所をこれで磨くようにすると効果的に歯垢が除去できます。歯の上のくぼんだ部分に関してはブラシを振動させるように小刻みに動かすように使って汚れを掻き出します。「親知らず」など汚れの溜まりやすい歯と歯茎の間についても、他の歯と同様に歯と歯茎の間に毛先をいれて小刻みに動かしていきます。
これは非常に便利な歯ブラシなので、「親知らず」の健康状態が気になる人はもちろん、細かい部分を磨くのが苦手で磨き残しが多いと思う人にもおすすめの一品となっています。
歯磨き粉はつけたほうがいい?
汚れを掻き出すという意味では、ワンタフトブラシに歯磨き粉を付ける必要はありません。ただ、最近の歯磨き粉にはフッ素が入っており、虫歯対策には有効なのでつけておきましょう。
磨きにくいところにこそ虫歯はできやすいので、そういう箇所にもフッ素を行き届かせるのは重要です。なお、フッ素を多少残すために、あまり水でのうがいを多くしないほうがよいでしょう。
少し歯磨き粉の感じが口の中に残っているかな?と思う程度でうがいをやめておくことで、歯の表面にフッ素が残って虫歯を予防してくれます。
歯間ブラシやデンタルフロスも使おう
ワンタフトブラシと併せて、歯間ブラシやデンタルフロスも使うとさらに良いでしょう。
どうしてもブラシだと、歯と歯の間の深い部分の歯垢がとりきれないので、最後の仕上げとして歯間ブラシ、デンタルフロスでそういった部分の歯垢まで綺麗に取り除くようにしましょう。
普通に歯を磨いて、次にワンタフトブラシで磨いて、最後に歯間ブラシ、デンタルフロスを使う、となると時間は確かにかかって面倒くさいです。ですから、歯磨きのときに毎回しなくても、一日の終わりの歯磨きの時にこれらを使ってあげるだけでもかなり違います。
磨き残しが多いと、特に夜寝ている間は口が乾燥して、細菌にとって嬉しい環境ができてしまいますから、夜の歯磨きでこれらを使うように心がけましょう。歯間ブラシ、デンタルフロスも薬局等で安く何本も入ったものが買えるのでぜひ購入して手元に置いておきましょう。
また、これらを使用する場合はあまり強く歯をこすりすぎないようにしましょう。こすりすぎると歯の表面を傷つけてしまうので、ある程度の力で歯の間をこするようにしてください。
監修日:2020年2月26日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医