【すきっ歯は治せる!】「すきっ歯」の原因と3つの治療法とは?

 
歯のあいだ、特に奥歯ではなく前歯に隙間が空いている状態、いわゆる「すきっ歯」は歯並びにおける悩みの筆頭格です。
 
「目立つのが気になって、口を開けて笑うのを控えてしまう」
「他人の目にどう映っているのかが気になる」
 
という人も多いと思います。しかし「矯正は高額だから…」と治療をあきらめてはいないでしょうか?
 
歯並びの乱れの治療法としては矯正が有名ですが、実はさまざまな治療法があります。
 
むしろ「すきっ歯」の場合は矯正以外の治療法が適切である方も多いのです。そんな「すきっ歯」の原因と治療法についてまとめて紹介します。

 

「すきっ歯」になる2つの原因

すきっ歯になる原因は大きく分けると2つ、遺伝など生まれつきの「先天的なもの」と、習慣や歯周病などによる「後天的なもの」があります。
「先天的なもの」の代表は、生まれつき歯が平均より小さい「矮小歯(わいしょうし)」や、一部の永久歯が生えてこない「欠損歯(けっそんし)」の場合に、歯の大きさとあごの大きさのバランスが悪いために歯と歯のあいだに隙間ができてしまうというものです。
 
例えば、上の前歯2本のすぐ隣にある側切歯(そくせっし)が矮小歯として小さい場合や欠損歯として生えてこなかった場合、本来であれば左右から前歯を中央に寄せる役割を側切歯が果たせないため、前歯のあいだに隙間ができることが多いです。
 
一方「後天的なもの」とは、習慣や病気によって歯列やあごの骨に歪みが生まれ、噛み合わせがおかしくなってしまった場合です。
 
おもに、加齢や歯周病の影響による歯茎の後退、噛み締め・食いしばりなどで歯に大きな力が掛かった場合に歯の移動が起こり、歯に隙間ができる原因となります。

 

すきっ歯を放置すると磨き残しが多くなりがち

すきっ歯は「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼ばれる、歯並びが良くない状態の一種です。
 
その状態が特に痛みがあるものでもないので、治療するかしないかは優先度が高くないと思われがちです。
 
しかし、すきっ歯のあるなしは、口腔内や体全体の機能と無関係ではありません。歯と歯のあいだに隙間があると、歯ブラシやフロスが使いにくいことから清掃不良になりがちです。
 
歯石がつきやすくなるため、デンタルケアには注意が必要です。前歯がすきっ歯の場合は、言葉の発音にも影響を与える場合があります。
 
前歯の歯と歯のあいだの隙間から息がもれるので、日本語なら「さ行」や「た行」、英語なら「s」や「th」が発音しづらくなってしまうのです。
 
また、頬杖やうつ伏せ寝の癖は、すきっ歯の原因になるだけではなく顎関節症の発症にもつながります。

 

「小さな隙間なら2~3回の通院で治ることも

すきっ歯の治療法には、大きく分けると次の3つがあります。
 
・人工歯材を貼り付ける(ラミネートベニア)
・被せ物による治療をする(セラミッククラウンなど)
・矯正治療をする
 
どの治療法が適しているかは口の中全体の状況で決まりますが、歯のあいだの隙間が2~3mm程度と小さく、ほかの部分には特に問題がない場合は、人工歯材を貼り付ける方法で治療できることがほとんどです。
 
また、上記の3つ以外にもコンポジットレジンと呼ばれる歯の色に近い樹脂製の素材を歯の側面に盛り付け、隙間を埋めるという方法もあります。それぞれの治療法の特徴を、もう少し詳しく紹介いたします。

 

●人工歯材を貼り付ける(ラミネートベニア)

歯の表面を0.5~0.7mmほど削り、セラミック製の人工歯材を貼り付けることで隙間を埋める方法で、すきっ歯による小さな隙間を治療するのに向いています。
 
セラミック素材なので、変色もなくきれいな状態が長続きすることと、2~3回の通院で治療が終わるのがメリットです。ただし、少しですが歯を削らなくてはいけないのがデメリットです。

 

●被せ物による治療をする(セラミッククラウンなど)

歯の全周をぐるりと削り、セラミック製の被せ物をすることで隙間を埋める方法です。
 
歯の大きさが不揃いであるときや、すでに神経を失っている場合に用いられることが多いです。
 
ラミネートベニアよりも歯を削る量は多くなりますが、歯の色や形もきれいに整えることができます。

 

●矯正治療をする

矯正器具を使って歯を動かすことで隙間を埋めていく方法です。
 
取り外し可能なマウスピースを使う「マウスピース矯正」と、固定式のワイヤーを使う「ワイヤー矯正」があります。
 
自分の歯を活かして治療することができますが、1~2年程度と治療期間が長く、また数十万円と治療費が高額になるのがデメリットです。
 
「すきっ歯」で悩んでおられる方はあきらめる前に歯科医院に相談してみてください、良い答えが見つかるといいですね。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

すきっ歯が意外と簡単に治るかもしれないとは驚きですね。
もしもすきっ歯が気になるけれども諦めている、という方がいたら一度気軽に歯医者さんに見てもらってはどうでしょうか?

 
監修日:2019年11月20日
 

監修医 プロフィール

医療法人社団 輝 藤本歯科長洲医院
藤本 俊輝
歯学博士
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医