起きた直後は、何となく口の中が気持ち悪いものです。
朝、彼氏や旦那さんとの“目覚めのキス”で、自分やパートナーの口臭が気になったことはないでしょうか?
食べ物を食べたわけでもないのに、起床直後の口臭がきついのは、就寝時のお口の中と深い関係があります。
今回はそのメカニズムと、朝一の口臭を抑える方法を紹介していきます。
朝は生理的に口臭が最もキツくなる時間
口臭といえば、歯周病や胃炎など病気が原因と思いがちですが、健康な人でも程度の差こそあれ、生理的な口臭はあるのが普通です。
口臭の原因になっているのは、口の中に住む嫌気性細菌(空気を嫌う細菌)が食べカスや新陳代謝ではがれ落ちた歯茎の粘膜などを分解したときに出す物質やガスで、よく「卵が腐ったような」と例えられる硫黄に近い臭いがします。
元々口の中には悪玉・善玉含めて何千億という細菌が存在しています。ただ、唾液には抗菌作用や自浄作用がありますので、唾液の分泌が活発に行われている昼間は、細菌が爆発的に増えることはありません。
しかし、就寝時は唾液の分泌が抑えられるために細菌が増えやすい環境となり、寝ているあいだに細菌はどんどん増えていきます。そのため、起床直後は口の中の細菌が一番多くなり、口臭もキツくなるというわけです。
朝一の口臭を抑えるには夜の歯磨きが必須!
口臭は口内の細菌によって引き起こされるわけですから、朝一の口臭を抑えるには細菌の数をできるだけ減らす必要があります。具体的には次のような対策が有効です。
① 寝るまえにしっかり歯を磨く
寝ているあいだに細菌が増えてしまうのは防ぐことができませんが、寝る前に細菌の数を減らしたり、細菌のエサとなる食べかすをきれいに取り除いてやったりすることにより、増殖を抑えることはできます。
寝る前には必ず丁寧に歯を磨き、できればフロスや歯間ブラシも使用して、プラーク(細菌の塊)や食べ残しをしっかり取り除いておきましょう。殺菌効果の高い歯磨き粉や洗口剤を使用して、細菌の数を減らしておくことも効果的です。
②舌の表面をきれいにする
寝ているあいだに動かさない舌は、表面で細菌が繁殖しやすくなっています。歯磨きと同様、寝るまえに舌の表面の汚れや細菌を落としておけば、細菌が増えるのを抑えるのに役立ちます。
③水分補給を多めにしておく
体の中の水分が減ると、唾液の分泌も抑えられます。唾液の減少は口臭がキツくなる原因の一つです。ですから、寝るまえにはコップ1杯程度の水でいいので、水分補給を行っておくといいでしょう。
④ 飲みすぎにも注意
アルコールは体内で悪臭成分に分解されるため、お酒を飲みすぎた翌日も口臭がキツくなりがちです。また、水分不足で唾液が減少する原因にもなりますので、お酒の飲みすぎには注意しましょう。
朝一の口臭を抑えるには、前日の夜の過ごし方が大事です。ただし、ストレスや生理など体のコンディションによっても変わりますので、どうしても口臭がなくならない場合もあります。
そんなときは、パートナーより少しだけ早起きしてしっかりうがいをしてみてください。それだけで口臭はだいぶ解消されますし、口の中がスッキリして朝食もよりおいしく感じられますよ。
医科歯科ドットコム編集部コメント
ちょっとした工夫で予防ができるってことですね。こうした小さな配慮からパートナーを大切にしていくのはとても大事なことだと思いました。
パートナーとより良い関係を作っていきたいと思ったら磨き方や洗口液のチョイスなどももっと工夫してみてもいいかもしれません。かかりつけの歯医者さんにアドバイスをもらいましょう!
監修日:2019年11月20日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医