【歯科医師に聞く】入れ歯?ブリッジ?インプラント?抜歯後の歯を補う治療、ケアしないと顎骨が減っていく

 
抜歯後、入れ歯と違い取り外しの必要がない歯科治療として、ブリッジというものがあるのをご存知でしょうか?
 
針金のバネを使用しないので、噛むときに違和感が少ないという特徴がありますが、ブリッジが適しているかどうかは、歯の生え方や噛む力によって決まるようです。
 
佐藤 美嘉(さとう みか)歯科医師にインタビューし、抜歯後の選択の一つとして歯科治療のブリッジについてお話を伺いました。
 

入れ歯のように取り外す必要がないブリッジの特徴は、歯根の割れやすさ


――ブリッジという歯科治療について教えてください
 
ブリッジという治療をするには、支えになる歯がまっすぐに生えていればいいのですが、斜めに生えている場合は、歯の根っこから割れてしまうことがよくあります。
 
まず、ブリッジにできる歯があるかどうかしっかり診ないと、ブリッジで治療することは難しいです。
 
スペースが足りなかった場合は、インプラントも入れることができないので、すごく難しいです。
 
ブリッジ作成のため、インプラントのスペースを作るために、一時的、部分的に矯正治療を行い、歯を移動させることもあります。
 
ただ、矯正治療の期間も3か月以上は掛かりますし、痛みもあります。そうなると、通える頻度やお金なども問題になります。
 
歯の根が斜めの場合は、矯正治療でまっすぐにしてからブリッジにすることはよくありますが、動かしてもまた元の状態に戻ることもあります。
 
どうしても後戻りのリスクはあるので、そこは難しいところだと思います。
 
ブリッジは橋渡しのように抜歯した箇所の歯を支えるので、支える方の歯の根っこが割れる可能性が高いです。
 
その人のお口の中を診てみないと、ブリッジが合うかどうか分からないです。咬合力(噛む力)の強い人は、特にブリッジは割れやすいです。


インプラントはしっかりケアしないと、インプラント周囲炎に

――先生自身が治療するとしたら、どのような治療を選択しますか?
 
平均寿命が延びているという点がかなりネックで、ブリッジが永遠に使用することは極めて厳しいものがあり、経年劣化で割れやすいという特徴があります。
 
どちらかと言われたらインプラントを考えるかも知れません。ただ、高齢になって認知症になるかも知れないという観点から考えると、悩みどころです。
 
なぜなら、インプラントは天然歯以上に徹底的にケアが必要になります。インプラントは埋めた後のケアが最も重要です。
 
インプラントの歯周病とも呼ばれるインプラント周囲炎が重症化すると支えている骨がなくなり、インプラントが抜けることもあります。
 
特に基礎疾患(糖尿病など)をお持ちの方、喫煙されている方などは充分な注意が必要です。
 
部分入れ歯(義歯)はバネが磨きづらかったり負担もかかりますし、普通の歯よりは汚れやすいですが、人によっては、取り外しができる部分入れ歯の方がいい場合もあります。
 

医科歯科ドットコム編集部コメント

抜歯後の選択の一つのブリッジについて、佐藤 美嘉(さとう みか)歯科医師に教えていただきました。
 
入れ歯のように取り外したりという煩わしさがなくフィットしやすいブリッジですが、割れやすいというリスクがあるようです。また、歯の生え方は十人十色で、適さない場合もあるとのことでした。
 
そして、もしインプラントを選択した場合は、埋めた後のケアがとても重要だとお話されていました。健康にお食事を楽しむためには、メンテナンスが欠かせないようです。
 

取材日:2020年2月6日
 
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プロフィール

佐藤 美嘉(さとう みか)歯科医師
 
・岩手医科大学卒業、2010年に歯科医師免許取得し、研修医終了後、都内医療法人に勤務
・現在は医療法人社団 高輪会、常勤医として外来、総合病院の病棟、ターミナル施設を担当
・一般的な歯科、美容診療の他に歯科口腔外科(摂食嚥下、ターミナル治療を含む)
 
特に摂食嚥下治療に関しては、高齢による機能低下、器質的変化により、食べることが今後難しいと言われた患者様の摂食のリハビリをしております。さらに、認知機能を摂食により改善させています。
 
オーラルケア(リハビリも含めた専門家による口腔周囲の衛生管理、および機能向上)の重要性が日本では欧米に比べると認知が低く、認知症改善、嚥下機能改善、生活習慣病に効果があることを広める活動をしております。
 
・大手生命保険会社生命保険加入者様向けセカンドオピニオンドクターを担当
・大手生命保険会社主催のセミナーで、看護師や保育士の方向けに、小児の予防医療、発育セミナーを開催