歯周病の話になると、必ず出てくる「歯周ポケット」という言葉。
歯磨き粉やマウスウォッシュのCMで、誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
多くは「歯周病予防には歯周ポケットの改善が重要」という文脈で登場するのですが、実際のところ「歯周ポケットはどういうものなのか?」そして「どう改善すればいいのか?」についてはご存じでしょうか?
歯周ポケットとは?
歯と歯茎の境目には、通常1~2mm程度の深さの溝があります。
歯周ポケットとは、この溝が3mm以上の深さになってしまった状態のことです。
溝が深くなると汚れや細菌が溜まりやすくなり、その結果、歯茎の炎症や口臭が発生したり、さらに進行すると歯を支える骨が溶けてしまったりといった「歯周病」の症状の悪化につながります。
歯周病が悪化する直接の原因はプラークの存在ですが、次のような要因によって悪化が早まるといわれています。
・加齢、老化による歯茎と歯肉の変化
・歯ぎしりなどによる歯の揺れ
・精度の悪いかぶせ物の使用
・喫煙による歯茎へのダメージ
・ストレス
・歯周病に隣接する歯の虫歯
歯周ポケットができているか見分ける方法は?
歯周ポケットができているかどうかは、自分で見ただけではわかりません。
ただ、歯周ポケットに溜まった汚れが原因で歯茎が炎症を起こしていると、ブラッシングの際に出血しやすくなったり、歯茎が腫れる、冷たい水がしみたりするなどの症状が現れる場合が多いです。
正確な溝の深さを知るには、歯科医院で「ポケット探針」というL字形をした専用の道具を使って測定してもらう必要があります。
多くの歯科医院では、歯のクリーニングや定期健診の際に検査をしてくれますし、通常の治療で訪れても測定してくれることが多いです。
歯周ポケットができていたらどうすればいいの?
歯周ポケットは放置すればそこにますます汚れやプラークが溜まり、さらに溝が深くなって気付かないうちにどんどん骨を溶かしてしまいます。
ですから、できるだけ早い段階で治療して改善してあげることが重要です。
治療内容は、ポケット内の汚れをきれいに取り除き、歯茎の炎症を抑えて歯茎を引き締めることでポケットを浅くするというものですが、歯周ポケットの深さにより具体的な治療法は変わってきます。
深さが3~4mmと軽度の場合には、歯科医院での歯石の除去と磨き残しを少なくするために正しいブラッシング指導を受けることで改善する場合が多いです。
一方、通常の治療では改善が見込まれない場合には、麻酔をした上で歯周ポケットの歯石をかき出す処置が行われます。
また、重度の場合(深さや状況によって)は、外科手術で歯茎を切開して中の歯石を除去することが必要になってきます。
どの場合も一度の治療で完治するというわけではなく、治療後も日々丁寧にブラッシングを行って歯周ポケットに汚れを溜めないことが何より大切なのは共通です。
歯周ポケットを作らないためには、歯磨きをはじめとする日頃の対策が最も大切です。
歯と歯茎のあいだにある溝を意識して磨く、デンタルフロスを使用して歯のあいだの汚れを丁寧に落とすだけでもだいぶ違いますので、ぜひ生活に取り入れてください。
また、治療が終わった後も、定期的なメンテナンスをお勧めします。
医科歯科ドットコム編集部コメント
確かに歯周ポケットって最近よく聞きますけど、あまりちゃんと知りませんでした。
歯周ポケットがあれば治療しないといけないそうですし、一度歯医者さんに点検してもらったほうがいいかもしれませんね。
監修日:2019年11月20日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医