私たちにとってとても身近なお口の病気である、歯周病。
「歯周病はとても多くの人がかかる病気だから、気をつけた方が良い」
「歯周病になると歯を失ってしまうこともあるから、予防が大切だ」
おそらくほとんどの方が、身近な人や歯医者さんからこんなセリフを聞いたことがあるのではないでしょうか?
しかし、歯周病=患者の多い病気、恐ろしい病気ということは知っていても、具体的にどんなことに気をつければ良いのか知らない方は多いはずです。
そこで今回は、歯周病の原因になる4つの原因を具体的にご紹介します。
●歯周病の原因1 睡眠不足
仕事が忙しくて寝不足や徹夜が続いている……そんな方は、歯周病の発症リスクが高い傾向があります。
睡眠とは、日中に活動して傷ついた組織を回復する為の時間、回復できない事が続くと疲労が蓄積し、それにより免疫力の低下につながります。
これにより、普段は免疫力により抑えられていた歯周病菌が増える事により歯周病が進行してしまうのです。
また、後に記載している歯周病の原因となるストレス(詳細については後述)も溜まりやすくなります。
なお、睡眠時間自体は確保できていても、生活リズムが乱れがちだと同じような状態に陥ります。
看護師やホテルマンなど、夜勤がある仕事をしている方などはこれに該当するため、特に注意が必要です。
●歯周病の原因2 ストレス
ストレス社会と言われる現代では、程度の差こそあれ、非常に多くの方がストレスと戦う毎日を過ごしていることでしょう。
実は、そのストレスも、歯周病を引き起こす原因になるのです。
ストレスは、睡眠不足と同様に体が持つ免疫力を低下させ、歯周病菌の繁殖活動を活発にします。
また、自律神経の働きに悪影響を与えることで唾液の分泌量を減少させてしまいます。
唾液にはお口を清潔に保つ作用があるため、これが不足すると歯周病菌が増えやすい状態になるのです。
さらに、ストレスを感じた時は無意識のうちに歯をくいしばることも多く、これも歯茎に大きな負担をかけます。
歯茎に圧力がかかると、毛細血管が圧迫され血液の循環が悪くなり、酸素の供給不足、二酸化炭素の増加、老廃物の停滞、することにより局所的に免疫力が低下してしまいます。
歯周病菌は歯と歯茎の間にある「歯周ポケット」と呼ばれる部分で繁殖するため、歯茎が弱ると歯周病が進行しやすくなります。
●歯周病の原因3 偏った食生活
栄養バランスが偏ると、体の免疫機能が弱まって歯周病リスクが上昇します。
五大栄養素と呼ばれる炭水化物・タンパク質・脂肪・ビタミン・ミネラルを、バランス良く摂れる食事を心がけることが大切です。
この中で特に不足しがちなのは、ビタミンやミネラルです。野菜や果物などを意識的に摂取するようにしましょう。
また、糖分の多いものや、歯に付着しやすい柔らかいものを過剰に摂取していると、プラーク(歯石)が溜まりやすくなります。
歯周病菌はこのプラークの潜んでいるものですから、これらの過剰な摂取も控えたいところです。
●歯周病の原因4 喫煙
百害あって一利なしと言われるタバコは、歯周病を引き起こす原因にもなります。
全米疫学調査の調べでは、喫煙者の歯周病発症リスクは、非喫煙者の4倍にも上るという結果が出ています。
喫煙による具体的な悪影響としては、血行を悪くすることで免疫機能を低下させる、歯石を付着しやすくする、唾液の分泌を妨げるなどといったことが挙げられます。
また、血流が悪くなるだけでなく歯肉も硬化することで、歯茎から出血しにくい状態になります。実は、歯茎からの出血は数少ない歯周病のサインの1つです。
ただでさえ自覚症状がほとんどないと言われている歯周病に、さらに気づきにくくなってしまうのです。
まとめ
何かと忙しい毎日を送る現代人なら、4つのうちどれにも当てはまらない方はいないと言っても過言ではないかもしれません。
歯周病が進行すればするほど、治療に要する期間や費用は大きくなり、日常生活に大きな影響を及ぼします。
多忙な方にこそ、きちんと時間をつくって歯医者さんに行き、定期的に歯周病のチェックを受けることをおすすめします。
医科歯科ドットコム編集部コメント
喫煙や食事はまだしも、現代社会では睡眠不足やストレスは避けがたいですよね…。なので、専門家である歯医者さんの助けをもらうのも大切だと思います。
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監修日:2019年12月10日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医