歯科医師が回答!「歯を失うと動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高まります!」

 
歯を失うことによる弊害には、どんなものがあるでしょうか?
例えば、歯が抜けた部分をそのままにしておくと、歯並びが悪くなってしまう可能性があります。
歯が隙間なく並んでいることで保たれていたバランスが崩れ、少しずつ位置がずれてしまうのです。
 
そして、歯が抜けることによる悪影響が及ぶ範囲は、口の中だけにとどまりません。
一見関係がないようなところにも弊害は出てくるのです。
ここでは、歯を失うことによる意外な弊害を2つご紹介します。

 

【意外な弊害1】認知症の発症リスクが高くなる

歯が抜けてしまい、かつその部分を治療せずに放置している人は、歯が20本以上残っている人に比べて、認知症の発症リスクが1.85倍も高くなることが分かっています。
 
この理由の1つは、ものを噛むという行為は筋肉を使うため、周囲の血管が脳へ血を送る手助けをしているからです。
歯が抜けてしまうと十分にものを噛めなくなり、血流が悪くなります。
それが脳細胞に悪影響を及ぼして、認知症を引き起こすのです。
 
また、入れ歯を使用している場合でも、自分の歯が20本以上残っている人に比べると、発症リスクは1.09倍になります。
歯が抜けたまま放置した場合と比較すればリスクはぐっと下がりますが、噛み合わせの調整がうまくいかないと、やはり若干の影響は出てくるでしょう。
まずは歯を失わないようにすること、もしも失ってしまった場合は必ず歯医者さんに相談して、きちんと噛める口腔状態をつくることが大切です。

 

【意外な弊害2】動脈硬化になるリスクが高くなる

京都大学の研究グループが、30~75歳の日本人8124人を対象に、「歯周病や虫歯などの病気で歯を失うこと」と「動脈硬化」との関連性を調査しました。
すると、歯を失った人はそうでない人に比べて、動脈硬化が加速する傾向があることが分かったのです。
 
なお、この傾向は男性の場合に顕著に見られました。
動脈硬化は、脳梗塞や脳出血などの命を脅かす病の火種になる症状です。
高血圧や糖尿病がおもな原因であることはよく知られていますが、歯を失っている方も注意が必要です。

 

まとめ

歯を失うことが全身に影響を及ぼすという事実には、驚いた方も多いのではないでしょうか?
 
今回ご紹介したような恐ろしい事態に陥らないためには、常にお口の健康維持に対して意識的でなければなりません。
「転倒して歯を折ってしまった」などという予期せぬ事故はなかなか防ぎようがありませんが、「虫歯や歯周病で抜歯せざるをえなくなった」という事態は、心がけ次第で回避することができるでしょう。
ぜひこの機会に、お口の健康について見直してみてください。

 

<参考>
失った歯の数と動脈硬化が強く関連することをコホート研究で初めて証明 -歯周病の予防が動脈硬化を防ぐ可能性-

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

歯を失うことでいろんな影響が出てくるんですね。
これからも歯が悪くならないようにしっかりと歯を磨きたいと思います。
自分の歯が心配な方は、まず医科歯科.comで予約をして、歯医者さんに相談してみてください。

 
監修日:2020年2月12日
 

監修医 プロフィール

医療法人社団 輝 藤本歯科長洲医院
藤本 俊輝
歯学博士
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医