【現役歯科医師に聞く】20代から要注意の「歯周病」!歯科医師が教える効果的なセルフケアとは?

 
自分は毎日、ちゃんと歯磨きをしているから「歯周病」なんて縁のない病気、と思っていませんか?
自覚症状なく進行するのが歯周病といわれており、歯を失う原因の第1位なんです!
そんな怖い歯周病に対して、現役歯科医師であり生活者向けの啓発活動も行っている照山裕子(てるやま ゆうこ)歯科医師に正しい歯磨きとセルフケアについてお話を伺いました。

 

毎日の歯ブラシについて、おすすめはありますか?

人によって違うので、どの歯ブラシが良いかは一概には言えないのですが、大人の場合は確実に虫歯のリスクよりも歯周病のリスクのほうががぐんと上がります。
虫歯は硬組織(歯の硬い部分)に穴が開く病気なのに対し、歯周病は軟組織(主に歯ぐき)が腫れるところから始まります。
 
毎日の歯ブラシで磨き残しがあるとそこで歯周病の原因となる細菌が増えます
それを排除しようと身体の防御反応が働くのですが、抵抗力は年齢と共に下がっていくので、病原菌の勢力に負けてしまうんですね。
ですからポイントとしては、大人になったら「歯を磨く」というよりも「歯ぐき磨き」をするようなイメージでブラッシングをする。
 
歯と歯ぐきの境目のところにアタックをかけて病原菌が増えない環境を整えることが一番の対策になってきます。

 

歯ブラシは思っている以上にコンパクトなものをチョイス

歯と歯ぐきの境目にあてても痛くない歯ブラシをチョイスしないと、日々の歯ブラシがどうしても億劫になってしまったり、面倒だったり、痛いから嫌だな、ということがあると思うので、あてて痛くないもの、歯ぐきをマッサージできるようなタイプのものを選んでもらいたい、ということがひとつです。
あとは大きすぎてもだめですね。
 
歯ブラシは、だいたい自分の親指の爪の幅と同じくらいが良いといわれており、体格によっても違うと思うのですが、自分が思っている以上にコンパクトなものにしたほうが隅々まで磨けます。
 
また、大きく歯ブラシを動かしてしまうと汚れがとれないだけでなく、無駄に歯ぐきを傷つけるリスクが出ます。
グー握りではなく鉛筆持ちにして、1本ずつちょこちょこ磨くようにしましょう。
最初は大変ですが、慣れると気持ち良いですよ。

 

絶対に欠かせない歯間ケア

あとひとつ、絶対にやってほしいのが歯間ケアですね。
大人の歯の場合は、たとえば汚れがついたとしても、そこを放っておいて虫歯でどんどん穴があいてしまうということはあまりないと思います。
というのは、成熟したエナメル質がしっかり硬い状態を保っているので、ちょっとやそっとじゃ虫歯にやられないためです。
で、どこが虫歯や歯周病になってしまうのかというと、歯と歯の隙間です。
 
逆に言えば、ここさえきちんとケアができていれば大きなトラブルは防げると考えても過言ではないくらい大切です。
まずフロスをして、ついでに歯ブラシをあてる、くらいの気持ちで良いと思います。ですから、何よりも最初にやってほしいのは歯間ケアです。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

「歯ブラシの大きさは、皆さんが思っている以上にコンパクトでだいたい親指くらいの大きさのものが良いでしょう」と照山裕子歯科医師。
小さいサイズの歯ブラシだからこそ、大ざっぱにならずに丁寧に隅々まできちんと磨けるのですね。
そして歯間ケアも虫歯や歯周病の予防に重要なので、毎日することをお勧めされていました。
次回でも引き続き、セルフケアとして歯磨きの正しい方法を照山裕子歯科医師にお話いただきます。

 
取材日:2019年9月24日
 

プロフィール

照山 裕子
歯科医師・歯学博士
 
2000年 日本大学歯学部 卒業
2005年 日本大学大学院歯学研究科(歯科臨床系局部床義歯学)修了、東京医科歯科大学歯学部附属病院(回復系診療科顎義歯外来)医員
2009年 大手医療法人にて分院長として勤務
2018年 フリーランスとしての活動を開始
 
日本歯周病学会
日本顎顔面補綴学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科審美学会
日本アンチエイジング歯科学会 理事・認定医
美容口腔管理学会 認定医
IoMT学会
 
顎顔面補綴学を専攻し、日本大学付属歯科病院および東京医科歯科大学歯学部附属病院にて研鑽を積む。口腔がんの早期発見には、患者自身が口元を鏡で見る習慣と医療者側の目を養うことが重要な役割を果たすと確信、メディアでの情報発信を開始。
 
13万部突破の『歯科医が考案・毒出しうがい』の著者でもあり、台湾語に翻訳された本も発売されている。2020年1月25日に「毒出しうがい」シリーズ第二弾!「歯科医が考案 毒出し歯みがき」 がリリース。「痛い・怖い」といった歯科のネガティヴなイメージをなくし、日本人にとってオーラルケアが身近な存在になるよう啓発活動を行っている。