歯科医師が答える!肩こりや頭痛、それって悪い噛み合わせが原因かも?

 
「肩こりがひどくて、仕事が終わる頃には頭痛がする」
「腰が痛くて整体に通っているけれど、なかなか良くならない」
上記のような症状に悩まされている方はいませんか?
もしかすると、その原因は「噛み合わせが悪いこと」にあるかもしれません。
肩こりや腰痛と噛み合わせは、一見まったく関係がないように思われます。
しかし、噛み合わせは全身のバランスと深く関係しており、これが良くないと全身のさまざまな部分に悪影響が出てくるのです。
今回は、そんな噛み合わせが全身に及ぼす影響や、噛み合わせを悪くする習慣と解決法をご紹介します。

 

悪い噛み合わせが全身に及ぼす影響

まずは、噛み合わせが悪いことで体にどんな影響が出るのか、具体的に見ていきましょう。

 

肩こり

初めに述べた通り、噛み合わせが悪いことは肩こりの原因になります。
これはものを噛む時に動く筋肉が首や肩につながっており、正しい形で噛めないと左右どちらかの筋肉にだけ必要以上の負担がかかって、それが血流を悪くするためです。
 
また、長年噛み合わせが悪いままでいると、頭の位置をまっすぐに保てなくなってきます。
それによって傾いた方に負担がかかり、肩こりに繋がるのです。
なお、肩こりから起こる頭痛に悩まされる方は多いと思いますが、噛み合わせが悪いと、直接的にも頭痛を誘発します。
咀嚼筋である側頭筋は頭の側面を覆っており、うまくものを噛めないとこの部分が緊張した状態になって、頭痛を引き起こすのです。

 

腰痛

悪い噛み合わせは全身のバランスを崩し、体の軸を曲げてしまいます。
これによって腰も中心で体重を支えられず、左右どちらかに負担がかかりすぎることに。
たとえそれが少しのズレであっても、毎日の積み重ねは慢性的な腰痛に繋がります。

 

不眠症

噛み合わせが悪いと、脳に不必要な刺激を与え、アドレナリンの分泌を促進してしまうこともあります。
これによって脳が興奮状態になり、睡眠を妨げるのです。
睡眠は健康的な体を維持する上で欠かせない時間。
夜中に何度も目が覚めてしまう方や寝つきが悪い方、薬に頼っている方などは、一度噛み合わせをチェックしてみることをおすすめします。

 

自律神経失調症

噛み合わせは自律神経とも深い関わりを持っていると言われています。
悪い噛み合わせが頸椎のねじれを生むことが原因とされており、普段は特に異常を感じなくても、強いストレスがかかっている時などに症状として現れてきます。

 

婦人科系の病気

女性の場合、自律神経の調子が悪くなることで生理不順やひどい生理痛を引き起こすこともあります。
ほぼ毎月くるものであり、かつ周りに相談しにくいデリケートな問題であることから、心身にかかる負担はとても大きいはず。
また、最悪の場合、不妊症などの大きな病気につながるケースもあります。
 
この他にも、顔の歪みやめまい、手のしびれ、耳鳴りなども起こりえます。
口から遠い場所の問題であっても、体の各パーツは周囲と関係し合って機能しているため、決して無関係ではないのです。
上記の症状に悩まされている方は、ぜひ一度歯科医院に相談してみてください。

 

噛み合わせが悪くなる原因とその解決策

ここまでご紹介した症状を引き起こさないためには、噛み合わせが悪くならないよう心掛けることが必要です。
では、噛み合わせを悪くする行動・習慣とは、どのようなものなのでしょうか?
解決策と併せてご紹介します。

 

歯ぎしりや食いしばり

寝ている間の歯ぎしりや、緊張した際の食いしばりは、歯を少しずつすり減らしていきます。
人によっては神経が露出してしまうケースもあるほどです。
普段から上下の歯を意識するとともに、歯科医院にて診察を受け、マウスピースの作成や噛み合わせなど原因を排除して症状を改善しましょう。

 

頬杖

頬杖をつくことも、噛み合わせを悪くする原因の1つです。
頬杖は、前傾姿勢になることで上半身の重みを支えられないためについてしまうもの。
姿勢を矯正するコルセットなどのアイテムを上手に使って、背筋を伸ばして座るように心掛けましょう。

 

うつぶせ寝や横向き寝

うつぶせや横向きで寝ることも、歯や顎に負担をかけて噛み合わせを悪くします。
上を向いて寝る習慣をつけるには、自分に合った枕を選ぶことが大切です。
特に高い枕を使っている方は要注意。低めの枕で、肩や頭にきちんとフィットするものを選びましょう。

 

噛み癖

左右どちらかの歯でばかり噛んでしまうことはありませんか?
ものを食べる時は全体を使って咀嚼し、バランスが偏らないように意識しましょう。

 

不適切な歯科治療

歯科医院での詰め物が合わないために噛み合わせが悪くなったというケースも、まれに見られます。
歯科治療を受けたことで不調が始まったという方は、セカンドオピニオンとして、他の歯医者さんにもお口の状態をチェックしてもらうと安心です。

 

まとめ

この他にも、生まれつき歯並びが悪いことなども、悪い噛み合わせの原因になります。
体に不調を感じている方は、詰め物の調整や矯正などの治療が必要かどうか、まずは歯医者さんに相談してみることをおすすめします。
お口の状態を整えることから、全身の健康をつくっていきましょう。

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

歯から体の様々な部分に影響を及ぼすなんて考えてもいませんでした。
噛み合わせってとても大事なことなんですね。
気になっている方は、まずは医科歯科.comを利用して、歯医者さんに相談してみてください。

 
監修日:2020年2月5日
 

監修医 プロフィール

医療法人社団 輝 藤本歯科長洲医院
藤本 俊輝
歯学博士
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医