【現役歯科医師に聞く】治療法はオペ?レーザー?全身に影響を及ぼす歯周病が増えている!

 
現役の歯科医師である佐藤 美嘉(さとう みか)歯科医師にインタビューし、若い世代の歯周病について教えていただきました。初期の歯周病は痛みなどの症状が無く、気付いた頃には手遅れになりかねない歯を多く失うリスクの高い病気です。また、レーザー機器を使用した虫歯・歯周病治療についても伺っています。
 

若い世代(10代〜30代)でも⻭周病になる人は多いですか?

近年、虫歯が減っている代わりに増えているのが歯周病です。10代の方も増えていて、歯周病は特に口腔ケアも去ることながら、歯並びからの影響もあります。悪い歯並びにより歯ぐきまで磨けないことが大きな要因です。
 
特に親から離れる18歳くらいから歯医者さんに通わなくなってしまい、歯石がたくさん付くようになり「前歯がグラグラし始めた。」ということもあります。どうしても10代、20代、30代の働き盛りは、最も口腔ケアが疎かになってしまう傾向があります。
 
大変かと思いますが、補助器具(デンタルフロスや歯間ブラシなど)を使用して歯磨きをしたり、洗口液を使用したりして1日1回で良いので夜はしっかり磨くことが大事です。
 
また、妊娠中はどうしても妊娠性歯周炎になりやすいので、つわりもありホルモンの関係で歯周病菌が活発化しやすいです。妊娠性歯肉炎をほっておくと早期低体重児出産になります。
 
妊婦さんに関しては、歯医者さんに行って歯科衛生士による機械を使わないクリーニングをしていただくと良いと思います。
 

歯周病治療について教えてください

2017年11月に保険適用となった「リグロス(一般名:トラフェルミン)」という歯周病治療薬があります。歯の動揺度が1度、2度、3度とありまして、2度まででしたら歯周病に効くお薬があります。
 
グラつき始めたらすぐ抜歯するのではなく、諦めずに色々な歯科医師にあたって診てもらうことをおすすめします。
 
抜くのは最後にできますので、諦めずに治療を受けていただきたいと思います。歯周病の治療は永遠に続くもので、歯ブラシで毎日歯磨きすることも歯周病の治療のひとつになります。

 

歯周病治療で使用するお薬とはどのようなものですか?

リグロスは歯周病によって破壊された組織を再生させる能力があります。歯ぐきを切って歯石と歯垢を徹底的に除去し、患部にリグロスを入れて歯周組織の修復能力を待ちます。
 
修復期間は衛生管理が重要になり、また全身状態にも左右されるため患者さんの協力が不可欠となります。
 

レーザー機器を使用した治療について教えてください

虫歯が深くなければおすすめですが、神経まで近づいているような場合は無理だと思います。本当に浅い「初期う蝕(初期の虫歯)」であれば良いと思います。
 
しかし、保険適用ではないのでお値段が掛かってしまうと思います。歯周病については、歯周病菌にはレーザーが効かないのでオペ(外科的な治療)でないと厳しいと思います。
 

医科歯科ドットコム編集部コメント:全身に影響を及ぼす歯周病!毎日のケアが大切です

佐藤 美嘉 歯科医師に、若い世代の歯周病について紹介していただきました。忙しいとついつい口腔ケアが疎かになりがちですが、ひとたび歯周病になってしまうと糖尿病や心疾患など全身の健康に影響を及ぼすリスクがあります。
 
痛みもなく何も症状が無いからと軽く考えるのではなく、デンタルフロスや歯間ブラシ、洗口液などを活用して丁寧に歯磨きを行いましょう。若い時からの予防が将来の健康に繋がります。
 
取材日:2019年11月14日
 

プロフィール

佐藤 美嘉 歯科医師

・岩手医科大学卒業、2010年に歯科医師免許取得し、研修医終了後、都内医療法人に勤務
・現在は医療法人社団 高輪会、常勤医として外来、総合病院の病棟、ターミナル施設を担当
・一般的な歯科、美容診療の他に歯科口腔外科(摂食嚥下、ターミナル治療を含む)

特に摂食嚥下治療に関しては、高齢による機能低下、器質的変化により、食べることが今後難しいと言われた患者様の摂食のリハビリをしております。さらに、認知機能を摂食により改善させています。

オーラルケア(リハビリも含めた専門家による口腔周囲の衛生管理、および機能向上)の重要性が日本では欧米に比べると認知が低く、認知症改善、嚥下機能改善、生活習慣病に効果があることを広める活動をしております。

・大手生命保険会社生命保険加入者様向けセカンドオピニオンドクターを担当
・大手生命保険会社主催のセミナーで、看護師や保育士の方向けに、小児の予防医療、発育セミナーを開催