歯の治療は、患者と歯科医師の二人三脚で進めるものです。
しかし、いざ診療室に入ると、
「緊張して要点を上手く伝えられなかった」
「こんな基本的なことを聞いていいのか迷ってしまった」
「忙しそうで質問しづらかった」
などの理由から、十分に話をできなかったという経験を持つ人は、結構多いのではないでしょうか。
いい治療を受けるためには、歯医者さんとしっかりコミュニケーションを取ることが不可欠です。
そんなコミュニケーションに役立つ、上手に質問をするためのポイントを紹介します。
まずは基本的なマナーを守ること
「歯科医師と患者」というと何やら特殊な関係のように聞こえますが、その根本はもちろん普通の人間関係と変わりありません。
まずは基本的なマナーとして、以下のような点に気を付けましょう。
・あいさつをする
・予約の時間を守る。やむなくキャンセルする場合は事前に連絡する
・歯科医院へ行く前に歯を磨いておく
・歯科医院へ行く前に口紅は落としておく
・歯医者さんへの感謝の気持ちは率直に伝える
歯医者さんにお任せはNG!自分の歯に興味を持ちましょう!
少し意外に思うかもしれませんが、実は歯の治療は多くの場合、「○○は必ずやらなければならない」と決まっているわけではありません。
もちろん、虫歯菌に侵された部分の歯を取り除いたり歯石を取り除いたりなど、治療上必要不可欠なものはあります。
しかし、例えば歯の修復の場合、材料一つとってもコンポジットレジン(樹脂製の白い修復剤)やメタルボンド(金属の外側にセラミックを貼り付けたもの)など数々の種類があり、治療法はいくつかあるのが普通です。
症状によって医療的にベストな治療はありますが、治療にかけられる費用や期間は人それぞれですし、「その人にとっていい治療」が何かは本人がどこまでの治療を求めるかによっても違います。
満足のいく治療を受けるには、歯医者さんにお任せでなく、しっかり自分の希望を伝えること、自分の状態を把握した上で歯医者さんのアドバイスを受けながら治療法を選んでいくことが重要になるわけです。
多くの場合、歯医者さんは診断に基づき、患者の希望を考慮した上でいくつかの治療法を提案してくれます。
以下のような点に注意しながらその説明にじっくりと耳を傾け、自分に合ったものを選んでください。
①伝えたいことはメモしておく
いつ頃からどんな時に、どんな風に症状が出始めたのか、治療費用や期間はどのくらいまでに抑えたいのかなど、歯医者さんが治療法を選ぶ前提となる情報はしっかり伝えることが大切です。
箇条書きでメモしておけば、伝え忘れを防ぐことができます。
②どんな小さなことでも、分からないことは聞く
患者は歯科の専門家ではないので、分からないことがあって当然です。
歯医者さんもそこは分かっていて丁寧に教えてくれるので、遠慮せずに疑問に思うことについてはその都度質問しましょう。
どうしても診察中に聞きにくければ、担当の歯科衛生士さんに聞いたり、受付で尋ねるのも良い方法です。
③正面から聞きづらいことは、少しオブラートに包んで質問してみる
歯科治療の幅は広く、歯医者さんにもそれぞれ専門分野があります。
そのため、受けようとしている治療にその歯科医師がどのくらい精通しているのかを知ることは、歯科医院を選ぶ上でも重要な情報です。
ホームページには先生の経歴や○○学会認定医、専門医、指導医などの資格、所属学会や修了した研修講座など書かれていることが多いので、まずはそこを参考にするのも1つです。
直接質問する場合は「先生は腕がいいですか?」とは聞けませんし、客観的な基準がないと答えようもありません。
今までの治療実績や手がけた症例数、その治療を受ける上でのメリット・デメリット、その治療を受けることでどのような効果が期待できるのか、過去にどんな成功例・失敗例があったかなど、具体的な質問をしてみた回答をもとに判断するとよいでしょう。
まとめ
歯を大事にしたいという患者の思いをむげにする歯科医師はいません。
「患者さんからの質問は大歓迎。協力してしっかり治療していきたい」という歯医者さんがほとんどです。
遠慮せずにまずは質問してみましょう。
医科歯科ドットコム編集部コメント
質問の仕方も大切ですが、まず大前提として、いい歯医者さんに巡り合うことが不可欠ですよね。
医科歯科.comを使えば、その確率を上げることができるかもしれません。
クリニックへ通おうと思った際には、ぜひ使ってみてくださいね。
監修日:2020年1月23日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医