「入れ歯」というと高齢者のイメージがあるかもしれません。
しかし、20代や30代といった若い年齢で入れ歯を利用されている方も少なくないのです。
歯の寿命は「最初に抜けた歯の処置」によって大きく左右されるといっても過言ではなく、早期に治療するほど、その後に残る歯の本数は多くなります。
そこで、歯が抜けてしまったら早期に治療した方が良い理由について、解説していきます。
「歯が抜ける」のに年齢は関係ない!?
80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目標とした「8020(ハチマルニイマル)運動」。
今現在、歯が全て揃っている人の中には「20本なんて楽勝じゃないの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
若い自分にはまだまだ関係の無い話、と思うのは無理もありません。
しかし「20代や30代で総入れ歯の人もいる」と言えば、他人事では無いことだと分かっていただけると思います。
<参考>厚生労働省 e-ヘルスネット
8020推進財団調査によると、歯が失われる原因で最も多かったのが「歯周病」(42%)で、次に「虫歯」(32%)となっています。
ご存じの通り、「歯周病」や「虫歯」は年齢に関係なく、誰もがなる症状です。
老化はこれらのリスクが高くなるだけで、直接的な原因ではありません。
つまり、若くてもお口のトラブルを放置していれば、歯が抜けてしまう可能性があるのです。
抜けた歯を放置したらどうなる?
歯周病や虫歯が進行すると歯を抜かなくてはいけなくなってしまうわけですが、実はここが「歯を多く残せるかどうかの最後のターニングポイント」となっています。
最もやってはいけないのが歯を抜けたまま治療途中で放置してしまうことです。
では、仮に治療しなかった場合、口の中はどうなってしまうのでしょうか。
①歯並びが悪くなる
一見すると歯は全てが自立しているように見えますが、実はそれぞれがお互いを支えあっています。
抜けてしまった歯の両隣は、支えを失ってしまうため、抜けた歯のスペースに向かって徐々に傾いてしまいます。
そして傾いてしまった歯の隣の歯がまた傾いて…というように、まるでドミノが倒れるように歯並びが悪くなってしまうのです。
また噛み合わせのない歯がある場合、上にある歯は下のほうに、下にある歯は上の方に伸びていきます。
これを「挺出(ていしゅつ)」と言います。
挺出は歯そのものが伸びるわけではなく、歯肉から出ているだけなので、長時間放置するとやがて抜け落ちる可能性があります。
②虫歯や歯周病になりやすくなる
歯が傾いてしまうということは、その分、歯と歯の間にスペースが生じて、食べかすが詰まりやすくなることを意味します。
つまり「歯周病や虫歯リスクの高い口内環境」になってしまうわけです
歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは除去するのが難しく、デンタルフロスや歯間ブラシなどを活用しなければ十分に磨くことができません。
今まで以上に念を入れて磨かなければ、今度はまた違う歯が細菌に侵されて、抜け落ちてしまうかもしれません。
③あごの骨がやせてしまう
ポイントはなるべく早めに治療をすることです。歯並びが変わったり、歯が伸びたりしたら、その分治療に時間がかかってしまいます。
またあごの骨が衰えてしまった場合、インプラントなどの処置ができなくなる可能性もあります。
歯が抜けてしまったときは「一本ぐらいならなくても大丈夫」と放置するのではなく、なるべく早めに歯科医院へ行くようにしてください。早いに越したことはありません。
医科歯科ドットコム編集部コメント
20代や30代で総入れ歯という方が普通にいるという事実には驚きです。
後で後悔しないよう、歯のことはしっかりと考えていかないといけないですね。
何か気になることがあったらすぐに歯医者さんに診てもらいましょう。
医科歯科.comを使えば、信頼に足る歯医者さんに出会えるかもしれません。
監修日:2020年1月21日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医