歯科医師が答える!担当衛生士制の歯医者さんは診療レベルが高い?

2020年3月1日第29回歯科衛生士国家試験が近づいてまいりました。受験生の皆さんは残り約1ヶ月で追い込みの時期かと思います!
そこで今回は歯科衛生士についてスポットをあててみたいと思います。
 
あなたには、「担当の歯科衛生士さん」がいますか?
この質問に「いる」と答えられる方は、そんなに多くないかもしれません。
では、質問を変えましょう。
あなたには、「担当の美容師さん」はいますか?
こちらには「いる」と答える方が多いのではないかと思います。
 
毎回同じ美容師にヘアメインテナンスをお願いする理由としては
「自分の髪質や好みを分かってくれているから」
「定期的に通う中で信頼関係を築けているから」
などといったことが挙げられるでしょう。
これを歯科医院でのメインテナンスに置き換えてみてください。
自分のお口の状態を分かってくれている歯科衛生士に診てもらえれば安心ですし、信頼関係が築けている相手となら世間話も盛り上がって、楽しく通院できるようになるはずでしょう。
 
そこで今回は、担当衛生士制のメリット・デメリットや、担当衛生士制の有無から見えてくる歯科医院の裏事情をご紹介します。
ぜひ、歯科医院選びの参考にしてみてください。

 

担当衛生士制ってどんなもの?

担当衛生士制とは、患者さんを特定の歯科衛生士が継続して診療するシステムのことです。
きちんと予約をとりさえすれば、毎回同じく対応をしてくれます。
担当衛生士制のおもなメリットとしては、以下のようなことが挙げられるでしょう。

 

メリット

 
●お口の変化に気付いてもらいやすい
毎回同じ担当者が診ることで、お口の些細な変化にも気付きやすくなります。
担当衛生士制でなくてもカルテには情報を記載しますが、自分の目で見た情報と、別の人間が文字で残した情報とでは、大きな違いがあることは容易に想像できるでしょう。
 
●「自分に合ったメインテナンス」になりやすい
メインテナンスでは、セルフケアへの取り組み方や生活習慣について質問されることがあります。
担当者が決まっていれば、細かい情報まで覚えていてもらえたり、会話の中で性格を理解してもらえたりして、より自分に合ったメインテナンスを受けられる可能性が高まるでしょう。
担当衛生士制でない場合、どんなに丁寧に引き継ぎをしていても、生活スタイルの詳細や性格までを把握してもらうことはなかなか期待できません。
 
●信頼関係を築きやすい
先にも触れたとおり、1人の担当者と付き合いを深めていけば、自ずと信頼関係も強まります。
仕事や家庭、プライベートなことも気軽に話せる間柄になれば、歯科医院という場所がぐっと身近になることでしょう。
「ホワイトニングに興味があるんだけど、正直なところ費用や効果はどう?」などといった質問もしやすくなるはずです。

 

デメリット

 
●合わなかった時に「担当を変えてほしい」と言いにくい
「担当者がいまいち頼りない」「性格が合わなくて居心地が悪い」などという場合は、担当者の変更希望を申し出れば変えてもらえます。
しかし、なかなか言い出しにくいと感じる方も少なくないはずです。
歯科医院側から担当変更の希望がないかどうかを定期的に聞いてくれる場合もありますが、基本的には自分で判断し、要望を伝える必要があります。
 
●歯科衛生士の勤務スケジュールを気にしなくてはならない
 メインテナンスの日取りを決める際、自分のスケジュールだけでなく、「担当者が勤務している日かどうか」もチェックする必要があります。

 

担当衛生士制の歯医者さんは診療レベルが高い? 担当衛生士が機能する条件とは

担当衛生士制は、どの歯科医院でも採用できるものではありません。
さまざまな条件が整っていなければ、運用するのは難しいシステムなのです。
具体的には、以下のような条件が挙げられます。
 
●技術的にも人間的にも信頼できる歯科衛生士が、複数名在籍している!
担当衛生士制にすると、基本的に1人の歯科衛生士にメインテナンスを任せることになります。
歯科医師が最終チェックを行う医院もありますが、ベースは歯科衛生士のみで完了していることが大前提です。
歯石の取り残しがあってはいけないし、「メインテナンスに来院する患者さんを増やしたい」という歯科医院の事情を考えれば、患者さんに失礼があってもいけません。
また、歯科衛生士の目線で考えてみると、担当衛生士制で診療するには強い責任感が必要で、プレッシャーもかかります。
これにやりがいを感じられる人材でないと、続けていくことは難しいでしょう。
このように、担当衛生士制にするには、技術的にも人間的にも一定以上の水準に達した歯科衛生士がいることが必須です。
それも1名では成り立たないので、なかなかハードルが高いシステムと言えます。
 
●歯科衛生士がメインテナンスに集中できる環境が整っている
患者さんの数に対して十分な人数の歯科衛生士が在籍している、もしくは歯科助手や受付スタッフなどが在籍している歯科医院でないと、担当衛生士制を運用するのは難しいと言えます。
なぜなら、歯科衛生士がメインテナンスに専念しても、治療補助や受付をはじめとしたすべての業務が、問題なく進行しなければならないからです。
人手が足りているのはもちろんのこと、職種ごとの役割が明確であるなど、歯科医院全体の体制がきちんと整っていないと担当衛生士制はうまく機能しません。
 
もちろん、上記のような条件が整っていても、担当衛生士制を採っていない歯科医院もあります。
しかし、担当衛生士制を順調に運用できている歯科医院は、一定の基準をクリアしていると考えることはできるでしょう。

 

まとめ

自分に合う担当の歯科衛生士さんが見つかれば、お口の健康維持により前向きになれるはずです。
歯科医院選びに悩まれている方は、「信頼できるお口のパートナーを見つける」という視点を持って探してみてはいかがでしょうか?

 

医科歯科ドットコム編集部コメント

健康な歯を保つためにはクリニックへ定期的に通うことが必須だとされている世の中ですが、そうはいっても正直、年に何度も行くのは面倒だと感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
そんなとき仲の良い歯科衛生士さんがいれば、自然とクリニックへの足取りも軽くなるはずです。
医科歯科.comを使えば、それぞれのクリニックにどんな歯科衛生士さんが在籍しているかが写真でわかります。
みなさんもお気に入りの衛生士さんを見つけて、クリニックへ楽しく通えるようになるといいですね。

 
監修日:2020年1月21日
 

監修医 プロフィール

医療法人社団 輝 藤本歯科長洲医院
藤本 俊輝
歯学博士
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医