糖質制限ダイエットで息が臭くなるってホント?歯科医師が解説!

口臭といっても飲食物や嗜好品によるものや、病気によるものなど、さまざまな口臭がありますが、そのひとつに「ダイエットを原因とする口臭」があるのをご存じでしょうか?
美を求める女性にとってダイエットは身近な存在です。
カロリー制限ダイエットや糖質制限ダイエットなどを行っている方も多いと思います。
しかし、きびしい食事制限を続けていると、内臓への負担が大きくなり、結果的に口臭がきつくなってしまうこともあるのです。
今回はダイエットが原因で息が臭くなってしまうメカニズムについて解説しましょう。

 

糖質制限ダイエットで息が臭くなる!?

私たちの体のエネルギーとなる三大栄養素の「糖質」「脂質」「タンパク質」。
このなかで最も重要なのが糖質です。ご存じのとおり、脳のエネルギーとなる重要な栄養素で、体内に取り込まれると肝臓及び筋肉中にグリコーゲン(貯蔵型ブドウ糖)として貯蔵されます。
脳は一日約120グラムのブドウ糖を使うのですが、グリコーゲンを分解しても不足する場合は、肝臓が脂肪酸から「ケトン体」を作りだし、これをエネルギーとして代用します。

<参照>「絶食時の代謝」

 
ただし、このケトン体というのがくせ者で、「ケトン臭」という独特の臭いがあります。
ケトン体が栄養として血液中に供給されたとき、肺から空気中にケトン臭が排出されます。
ケトン臭をたとえるならば、フルーツが腐ったような酸っぱい臭いです。
フルーツというとそれほど悪くないと思われるかもしれませんが、けっしていい香りではありません。
人によっては「加齢臭のような臭い」「ワキガのような臭い」と感じる人もいる、といえばどれくらい深刻な臭いなのか何となくイメージできると思います。
食事制限のなかでも特に糖質制限ダイエットを行っている場合、知らず知らずのうちに口からケトン臭を発している人がいます。
歯や内臓に異常がなかったとしても、口臭が出てしまうこともあるので注意してください。

 

ケトン臭を減らすには

ケトン臭はダイエットをする人ならば、年齢に関係なく発生します。
きびしい栄養制限を行うと息が臭ってしまうので、なるべく避けた方がいいのですが、なかには「夏までにどうしても痩せたい!」とすぐに成果を出したい人もいるはずです。
そのようなときは、水をたくさん飲むようにしましょう。
ケトン体は尿と共に排出されるので、どんどん体外に出してしまえば、肺から出る臭いを抑えることができます。
 
ケトン臭は食事制限を続ければ自然と消えると言われていますが、これは個人の体質によります。
三カ月程度で消える人もいれば、半年経っても消えない人もいるようです。
接客業など人と接する機会が多い場合は、徐々に食事制限をしたほうがいいかもしれません。

 

ダイエットは基礎代謝UPが基本

健康や美容のために体重を落とすダイエット。きびしい食事制限や運動を通して、余分な脂肪を燃やしていくわけですが、方法を間違えると体に大きな負担がかかってしまいます。
「髪がパサパサになってしまった」「肌に潤いがなくなってしまった」など、美しくなるつもりが裏目に出てしまうケースは珍しくありません。
このようにダイエットによる影響のうちで最も気を付けたいうちのひとつが、「口臭の悪化」です。
触れば分かる髪や肌と違って、口臭は自分で嗅げません。
知らず知らずのうち、周囲に迷惑を掛けているかもしれないのです。
 
口臭を防ぎつつ体重を落としたいときは、「基礎代謝の向上」を目指しましょう。
体を構成する栄養素はしっかりと摂取しながら、運動を通してエネルギー消費をすれば、健康的に痩せられます。
ボディが引き締まるだけでなく、ストレス発散もできるのでおすすめです。
せっかく痩せても、口からツーンとしたケトン臭が漂うようではイメージダウンです。
ダイエットをするのならば、健康かつ計画的に痩せていくようにしましょう。

 
監修日:2020年1月22日
 

監修医 プロフィール

医療法人社団 輝 藤本歯科長洲医院
藤本 俊輝
歯学博士
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医