【歯科医師が教える】移植に使える歯は鮮度が命!15分以内に歯を移植し、定着すれば普通の歯と同様に食事や歯磨きもできる

 
けがや虫歯などで歯を失ったとき、自分の歯を移植することができるということをご存知でしょうか?
 
お口の状況によっては適さない場合もありますが、しっかりと定着すれば普通の歯と同様に食事や歯磨きなどもできるようです。
 
歯の移植をおこなっている「中村歯科クリニック」院長の中村 貴則(なかむら たかのり)歯科医師にお話を伺いました。
 

移植した歯が定着すれば、普通の歯と同様に食事や歯磨きができます

――インプラントや入れ歯と比較した場合、歯の移植のメリットは何ですか?
 
歯の移植の最大のメリットは、しっかりと根付けば普通の歯と同じように噛めて、噛み心地も変わらないということだと思います。
 
しかし、移植に適した歯があるのか、またそれが移植先に植えられる状態のものなのかというのは、しっかり検査して正しく判断する必要があります。
 
――しっかり根付いたら普通に歯磨きもできますか?
 
移植直後から2~3日の間は、ゴシゴシ磨くと傷を悪化させてしまうため、移植箇所に当たらないよう気を付けて磨いていただきます。
 
それ以降は柔らかい歯ブラシを使って磨き、汚れから歯の根がばい菌感染しないようできるだけきれいにしてください。
 
しっかり根付き噛むこともできるようになりましたら、他の普通の歯と同様のメンテナンスになります。
 
従って、根付いてしまえばインプラントや入れ歯より管理がしやすくなると思います。
 

移植に使える歯は最大2時間まで!なるべく15分以内に移植しています

――昔抜いて保存しておいた親知らずは使えますか?
 
移植用に使える歯の鮮度は、抜歯して最大2時間という論文が出ています。
 
その時間は短ければ短い程いいと言われている為、15分以内にできるだけ移植ができるように心がけています。
 
先に移植先の形状を整えて、すぐに歯を入れることができるという状態にしてから移植用の歯を抜きます。
 
なので、残念ながら昔抜いて引き出しに保存しておいた親知らずなどは、移植に使うことができません。
 
――歯の移植が受けられる年齢は何歳までですか?
 
若ければ若いほど理想的な状態になりやすいと思います。何歳だからできない、ということではなく人によって状況は変わりますので、まずしっかりとした診断が必要です。
 
また、やはり移植の為の歯を抜くという負担が患者さんにはかかりますので、それが生活スタイルや状況に合うのか相談させていただき、治療ができるかどうかを決めていきます。
 

編集部コメント:しっかり検査をおこなってから診断してもらいましょう

「中村歯科クリニック」院長の中村 貴則(なかむら たかのり)歯科医師に、について教えていただきました。
 
きちんと定着すれば、お手入れは他の歯と同じという点は魅力的ですね。抜いてから15分以内に移植するというスピードにびっくりです。
 
しかし、お口の状況によっては出来ない場合もあるため、しっかりと診てもらうことが大事なようです。
 
取材日:2019年11月28日
 

プロフィール

中村歯科クリニック 院長
中村 貴則(なかむら たかのり)歯科医師
 
<経歴>
平成11年3月 神奈川大学附属高等学校卒業
平成11年4月 日本歯科大学歯学部入学(剣道部に所属)
平成17年3月 日本歯科大学歯学部卒業(学術優秀賞)
平成17年4月~平成22年7月 医療法人社団歯愛会 須貝歯科医院 勤務
平成22年7月~ 医療法人社団健歯会 中村歯科クリニックでの診療開始
 
<資格>
日本歯周病学会 認定医