睡眠時の歯ぎしりに悩まされている人は意外と多いようです。
歯ぎしりと聞くと、上下の歯をこすり合わせてぎりぎりと音を立てるものを想像しがちですが、歯を強く食いしばるものや、ガチガチと何度も噛む動作を繰り返すものなども歯ぎしりと呼ばれます。
起きているときなら自分で意識するだけでも多少改善することができますが、寝ているときだとどうすることもできませんよね。自分でも分かっているのになかなか治すことのできない悪癖は、どうやって治療したら良いのでしょうか。
歯ぎしりが及ぼす悪影響
歯ぎしりは不愉快な音を立ててしまうので、周りの人にいい印象を与えませんよね。
更に、見た目にもあまり美しい動作ではないので、女性は特に気を付けたいところでしょう。
そして本人や周囲の人へ不快感を与えるという以上に、体への悪影響が問題視されています。
歯ぎしりが与える悪影響とはどのようなものがあるのでしょうか。
歯がすり減る、欠けるというような症状は、目に見えるため本人も気が付きやすいですよね。
更に、歯やあごに痛みを感じる人もいるでしょう。
それだけにとどまらず、歯ぎしりによる二次障害のなかでも、よく取り沙汰されるのが「顎関節症」です。
顎関節症とは、口を開けるとあごの関節がひっかかるようにカクカクしたり、口を開閉したりする際に痛みを伴う症状です。
あごの筋肉がこわばり、口が開けにくくなり、悪化してしまうと食事をするのもままならない状態になります。
実は顎関節症の潜在的な症状を患っている人はとても多いのですが、ほとんどの人はちょっと違和感があっても気にせず放置してしまっています。
更に、歯ぎしりは「睡眠時無呼吸症候群」とも関係があると言われています。
これは寝ている間に一時的に呼吸が止まってしまう病気で、安眠の妨げとなります。
呼吸が止まるたびに体が緊張状態となるため、寝ても疲れが取れないようになり、最悪の場合、心筋梗塞などを引き起こすこともある、とても危険なものなのです。
自分でもできる歯ぎしり改善法
健康の面からも、ぜひ改善したい歯ぎしり。自分でもできる方法をご紹介します。
睡眠時の歯ぎしりが気になる場合には、就寝環境を見直すことで改善できる可能性があります。
枕の高さが合っていないと、それがストレスとなり歯ぎしりをしてしまうことがあるので、枕の高さが高すぎないかチェックしてみましょう。
その他にも、横向きやうつぶせ寝はあごに必要以上の負荷がかかってしまうことがあります。
仰向けでリラックスした体勢で寝るようにしましょう。
更に寝る前に喫煙や飲酒を控えることも、歯ぎしりに効果があると言われています。
起きているときは、できるだけ上の歯と下の歯が合わないように注意しましょう。
歯を食いしばっていることに気付いたらすぐに離すようにして、首や頬、口の力を抜いた状態を心掛けると良いです。
そして一番重要なのが、日頃からストレスを溜めないということです。
そのためにもストレス発散に軽い運動や趣味を楽しむ時間を作るようにしましょう。
重度の歯ぎしりの治療は?
自分で気を付けていてもなかなか良くならないという場合には、歯科医に相談するのが一番です。
歯医者では食いしばりや歯ぎしりの治療も行っていますので、歯の状態やあごの状態を見てもらって、自分に向いている治療方法をアドバイスしてもらいましょう。
特に、寝ているときの歯ぎしりには、専用のマウスピースを使用することで歯や歯茎、あごのダメージを軽減することができます。強い痛みを感じている人はマウスピースを使用するだけでも随分と楽になります。
日本顎咬合学会が認定している「咬み合わせ認定医」という資格もありますので、歯ぎしりが気になる場合には咬み合わせ認定医の資格を持った専門の歯科医がいる医院へ行くことをお勧めします。
医科歯科ドットコム編集部コメント
日頃のストレスで知らない間に歯ぎしりをしているかもしれませんね。
ご家族に歯ぎしりをしている方がいらっしゃいましたら、クリニックでご相談されるのも良いかもしれません。
ご予約は医科歯科.comからできます。
監修日:2020年1月21日
監修医 プロフィール
藤本 俊輝
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅱ講座兼任講師
日本補綴歯科学会 専門医・指導医
日本磁気歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医